故郷の話
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ベポ視点
昨日約束して広場で落ち合ったバイザクと一緒に、ベポは大通りを歩く。外から来た『旅行客』であるベポに、この島を案内してくれるという話だった。
「昨日の飴ね、喜んでもらえたんだ」
「それは良かったですね。あのお店の飴はお父さんも好きだったんですよ」
「バイザクのお父さん?」
「うん。私のお父さん。ベポのお父さんは、やっぱり白クマなんですか?」
「うーん。キャプテンに拾われる前のことはあんまり覚えてないけど、多分そうだよ」
「キャプテン?」
「オレが乗ってる船の船長だよ。懸賞金が億越えしてて強いんだよ!」
「私のお父さんだって強いです!」
ベポ達の会話を聞いて通りに居る人たちが微笑ましげにベポ達を見ている。時々バイザクが『様』をつけて呼ばれて、その度に手を振り返したりしているのを見て、ベポは首を傾げた。
「バイザクってえらい人?」
「偉くないです。ただ、お父さんが居なくなってから、皆さんが私のこと気に掛けてくれてます」
「お父さん居ないの?」
「旅に出てしまいました」
「えっ、それは……ごめんなさい」
思わずベポが謝れば、バイザクはどうして謝罪されたのか分からないとばかりに首を傾げた。それを見て、バイザクにとってお父さんが亡くなったことはもう心の整理がついているのだと理解する。
それでも父親なんて大切な存在だと思うから、ベポは謝罪の言葉を打ち消したりしなかった。
「オレもね、本当のオトウサンとオカアサンは分かんないけど、今はキャプテン達がオレの家族なんだ。キャプテンはいつも頭を撫でてくれるし、ペンギンは怒ると怖いけど色々教えてくれるし、シャチはお兄ちゃんって感じがするよ」
「仲がいいんですね」
「うん。でも、だから、居なくなったらイヤだよ。バイザクは寂しくない?」
「そのうち帰ってくると思いますから」
「……お父さん生きてるの?」
「? はい。他の島にしか生えない薬草の事で調べたい事があると言って、数年前に旅に出ただけですから」
「そうなんだー……」
「どうしました?」
「ううん。……ちょっと恥ずかしいだけ」
どうやら自分は酷く失礼な思い違いをしていたようだと気付いて、ベポは両手で顔を覆った。バイザクはそんなベポを不思議そうに見ていたが、やがて見えてきた門にベポの腕を掴んで脚を早める。
お城のように大きい屋敷だ。此処が領主の屋敷なのだろう。
「ここがお父さんのコウハイのツナヨシさん達が住んでるお屋敷です。……大きい人が居ますね」
「え……ジャンバールだ!」
バイザクの声に顔を覆っていた手を退かせば、庭にジャンバールの頭が見えた。
昨日約束して広場で落ち合ったバイザクと一緒に、ベポは大通りを歩く。外から来た『旅行客』であるベポに、この島を案内してくれるという話だった。
「昨日の飴ね、喜んでもらえたんだ」
「それは良かったですね。あのお店の飴はお父さんも好きだったんですよ」
「バイザクのお父さん?」
「うん。私のお父さん。ベポのお父さんは、やっぱり白クマなんですか?」
「うーん。キャプテンに拾われる前のことはあんまり覚えてないけど、多分そうだよ」
「キャプテン?」
「オレが乗ってる船の船長だよ。懸賞金が億越えしてて強いんだよ!」
「私のお父さんだって強いです!」
ベポ達の会話を聞いて通りに居る人たちが微笑ましげにベポ達を見ている。時々バイザクが『様』をつけて呼ばれて、その度に手を振り返したりしているのを見て、ベポは首を傾げた。
「バイザクってえらい人?」
「偉くないです。ただ、お父さんが居なくなってから、皆さんが私のこと気に掛けてくれてます」
「お父さん居ないの?」
「旅に出てしまいました」
「えっ、それは……ごめんなさい」
思わずベポが謝れば、バイザクはどうして謝罪されたのか分からないとばかりに首を傾げた。それを見て、バイザクにとってお父さんが亡くなったことはもう心の整理がついているのだと理解する。
それでも父親なんて大切な存在だと思うから、ベポは謝罪の言葉を打ち消したりしなかった。
「オレもね、本当のオトウサンとオカアサンは分かんないけど、今はキャプテン達がオレの家族なんだ。キャプテンはいつも頭を撫でてくれるし、ペンギンは怒ると怖いけど色々教えてくれるし、シャチはお兄ちゃんって感じがするよ」
「仲がいいんですね」
「うん。でも、だから、居なくなったらイヤだよ。バイザクは寂しくない?」
「そのうち帰ってくると思いますから」
「……お父さん生きてるの?」
「? はい。他の島にしか生えない薬草の事で調べたい事があると言って、数年前に旅に出ただけですから」
「そうなんだー……」
「どうしました?」
「ううん。……ちょっと恥ずかしいだけ」
どうやら自分は酷く失礼な思い違いをしていたようだと気付いて、ベポは両手で顔を覆った。バイザクはそんなベポを不思議そうに見ていたが、やがて見えてきた門にベポの腕を掴んで脚を早める。
お城のように大きい屋敷だ。此処が領主の屋敷なのだろう。
「ここがお父さんのコウハイのツナヨシさん達が住んでるお屋敷です。……大きい人が居ますね」
「え……ジャンバールだ!」
バイザクの声に顔を覆っていた手を退かせば、庭にジャンバールの頭が見えた。