故郷の話
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シャチ視点
ジャンバールと一緒に向かった屋敷は、下手な城よりも大きかった。天井も高いのでジャンバールでも中へ入る事が普通の建物よりは楽のようで、窮屈そうな思いをさせずに済んだことは僥倖である。
「でも、あまり珍しそうなモンはないな」
「領主の屋敷に何を期待しているんだ」
周囲を見回しながら歩いていれば、後ろから付いてくるジャンバールが呆れたような声を出した。公共の施設然とした屋敷だが、奥へは入れない。立ち入り禁止の看板が立てられた先では、書類を抱えた使用人らしき人影が時々横切るが、それ以外に居るとしたら犬や猫くらいである。
「にょおん」
「変な鳴き声だなー。でも喋るよりはいっか」
「ベポが聞いたらへこむぞ」
まだらな豹柄の様な模様の猫を両手で抱き上げて撫でた。昨夜のフクロウを思い出してしまったが、フクロウは夜行性なので昼間の今は出てこないだろう。
庭に面した談話室のような部屋ではシャチ達の他に、この島の住民らしい老婆と孫のような子供がテラスの日当たりのいい場所を陣取って日向ぼっこをしていた。孫がチラチラとシャチ達を見てくるのは、巨人であるジャンバールが珍しいのだろう。
猫を抱いたままシャチはその老婆と孫へと近付いてみた。シャチが近付いてきた事に気付いて老婆の背中へ隠れる子供に対し、老婆はシャチへ微笑みかける。
「こんにちは。いい天気ですねぇ」
「コンニチワ! 婆ちゃん達この島の人?」
「おにいさんたちは、旅の人かい?」
「うん。オレがシャチでコッチがジャンバール。その子は?」
「……チェリーニ」
「いい名前じゃん!」
しゃがんで子供に目線を合わせるようにすれば、シャチが抱いていた猫が肩を駆け上がってキャスケット帽の上に乗り上がった。それを見て子供が笑みを浮かべる。
「なぁチェリーニ、ジャンバールの手に乗ってみる?」
「え、えと」
「乗せてもらいなさい。気になっていただろう?」
促されて子供がそろそろと老婆の背後から出てきた。手を差し出せば恐る恐る握り締める子供を連れて、シャチは先に外へ出ていたジャンバールの前に移動する。
ジャンバールは心得ていた様子でシャチと子供の前に手を差し出した。
「怖かったら直ぐに言うといい」
そう言ってシャチと子供が乗った掌を高く上げるジャンバールに、子供は最初こそ怖がっていたが遠くの海どころか水平線までも見えることに気付くと興奮して騒ぎ立てる。地上の老婆へ手を振り、老婆に振り返されては笑っていた。
「すごい! 高いよおばあちゃん!」
「良かったねぇ」
「オジサン大きいね! 何食べたらこんなに大きくなれるの!?」
「う、む……好き嫌いはいけないな」
巨人を知らず、ジャンバールが成長だけでここまで大きくなったと思っているらしい子供は、屋敷の門の方を見て誰かに気付く。
「バイザクさまだ!」
ジャンバールと一緒に向かった屋敷は、下手な城よりも大きかった。天井も高いのでジャンバールでも中へ入る事が普通の建物よりは楽のようで、窮屈そうな思いをさせずに済んだことは僥倖である。
「でも、あまり珍しそうなモンはないな」
「領主の屋敷に何を期待しているんだ」
周囲を見回しながら歩いていれば、後ろから付いてくるジャンバールが呆れたような声を出した。公共の施設然とした屋敷だが、奥へは入れない。立ち入り禁止の看板が立てられた先では、書類を抱えた使用人らしき人影が時々横切るが、それ以外に居るとしたら犬や猫くらいである。
「にょおん」
「変な鳴き声だなー。でも喋るよりはいっか」
「ベポが聞いたらへこむぞ」
まだらな豹柄の様な模様の猫を両手で抱き上げて撫でた。昨夜のフクロウを思い出してしまったが、フクロウは夜行性なので昼間の今は出てこないだろう。
庭に面した談話室のような部屋ではシャチ達の他に、この島の住民らしい老婆と孫のような子供がテラスの日当たりのいい場所を陣取って日向ぼっこをしていた。孫がチラチラとシャチ達を見てくるのは、巨人であるジャンバールが珍しいのだろう。
猫を抱いたままシャチはその老婆と孫へと近付いてみた。シャチが近付いてきた事に気付いて老婆の背中へ隠れる子供に対し、老婆はシャチへ微笑みかける。
「こんにちは。いい天気ですねぇ」
「コンニチワ! 婆ちゃん達この島の人?」
「おにいさんたちは、旅の人かい?」
「うん。オレがシャチでコッチがジャンバール。その子は?」
「……チェリーニ」
「いい名前じゃん!」
しゃがんで子供に目線を合わせるようにすれば、シャチが抱いていた猫が肩を駆け上がってキャスケット帽の上に乗り上がった。それを見て子供が笑みを浮かべる。
「なぁチェリーニ、ジャンバールの手に乗ってみる?」
「え、えと」
「乗せてもらいなさい。気になっていただろう?」
促されて子供がそろそろと老婆の背後から出てきた。手を差し出せば恐る恐る握り締める子供を連れて、シャチは先に外へ出ていたジャンバールの前に移動する。
ジャンバールは心得ていた様子でシャチと子供の前に手を差し出した。
「怖かったら直ぐに言うといい」
そう言ってシャチと子供が乗った掌を高く上げるジャンバールに、子供は最初こそ怖がっていたが遠くの海どころか水平線までも見えることに気付くと興奮して騒ぎ立てる。地上の老婆へ手を振り、老婆に振り返されては笑っていた。
「すごい! 高いよおばあちゃん!」
「良かったねぇ」
「オジサン大きいね! 何食べたらこんなに大きくなれるの!?」
「う、む……好き嫌いはいけないな」
巨人を知らず、ジャンバールが成長だけでここまで大きくなったと思っているらしい子供は、屋敷の門の方を見て誰かに気付く。
「バイザクさまだ!」