故郷の話
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ロー視点
朝と呼ぶには遅い時間になって、ローは船を出て領主の屋敷へと向かう。出る前にペンギンへ幾つか尋ねたい事があったが、部屋を覗き込めば寝ていたので止めた。
ベポやシャチは既に船に居らず、残っていたクルーに聞けばそれぞれ新しく出来た友達と遊ぶだの、領主の館に行ってみるのだと言っていたらしい。ということはどちらかには屋敷で会えるかもしれないので、見つけたら手伝わせようと思う。
こういう時こそペンギンがいれば助かるのだ。ハートの海賊団で一番情報収集に長けているのはペンギンである。ペンギンは一体どうやって手に入れたのか、ローですら分からない情報さえ仕入れてくるのだ。
まぁ地道に探せば見つかるだろうと、ローはたどり着いた屋敷で使用人らしい者へ聞いて資料室へ入る。その使用人も指に指輪を嵌めていた。
資料室というよりは図書館のようなその場所で、ローはこの島の領主について載っている本を探して開く。歴代領主の名前とその半生が書かれている物は多くあるが、知りたいことが何処へ書かれているのかも分からない。
「……あの」
声を掛けられて顔を上げれば、右目を眼帯で隠した少女が立っていた。少女といってもペンギンより少し若いくらいで、少女と呼ぶには大人すぎる。
「なんだ」
「ボスから、調べごと、手伝うようにって」
「ボス?」
「『ツナヨシ』」
昨日の青年を思い出してローは半分納得した。何処かからローが屋敷へ来たことを見ていたのかもしれない。領主の次期後継者らしいし、人を寄越すことは出来るだろう。
気になることは、どうしてローが調べごとをしていると分かったのかだ。
「オレはアイツに調べごとをしていると言った覚えは無い」
「気付いただけだと思う。ボスだから」
その『ボスだから』という言葉の何処に根拠があると思っているのだろうか。目の前の少女に是非その辺を詳しく話してもらいたかった。
「何を、調べてるの?」
「この島へ入ってくる奴は、領主が逐一確認してんだろ。オレはその確認方法が知りたい」
すっかり手伝う気でいる少女に、ローは帽子の角度を直して白状する。港へ入港した直後教えられたそれが気になっていた。
妙な確認方法をされていたとしたら、クルーを乗せる船を預かる身として心穏やかではいられない。ましてやローの船は潜水艦で通常とは異なるのだ。変な方法を取られ潜水艦の危機に異変が生じれば、この先の航海さえ危うくなる。
ローの思惑を全て理解したとは言い難いが、まだ名前さえ聞いていない少女はローを見つめたまま首を傾げた。
「あれは、ボスの『超直感』を利用しているの」
「超直感?」
今度はローが首を傾げる番である。
朝と呼ぶには遅い時間になって、ローは船を出て領主の屋敷へと向かう。出る前にペンギンへ幾つか尋ねたい事があったが、部屋を覗き込めば寝ていたので止めた。
ベポやシャチは既に船に居らず、残っていたクルーに聞けばそれぞれ新しく出来た友達と遊ぶだの、領主の館に行ってみるのだと言っていたらしい。ということはどちらかには屋敷で会えるかもしれないので、見つけたら手伝わせようと思う。
こういう時こそペンギンがいれば助かるのだ。ハートの海賊団で一番情報収集に長けているのはペンギンである。ペンギンは一体どうやって手に入れたのか、ローですら分からない情報さえ仕入れてくるのだ。
まぁ地道に探せば見つかるだろうと、ローはたどり着いた屋敷で使用人らしい者へ聞いて資料室へ入る。その使用人も指に指輪を嵌めていた。
資料室というよりは図書館のようなその場所で、ローはこの島の領主について載っている本を探して開く。歴代領主の名前とその半生が書かれている物は多くあるが、知りたいことが何処へ書かれているのかも分からない。
「……あの」
声を掛けられて顔を上げれば、右目を眼帯で隠した少女が立っていた。少女といってもペンギンより少し若いくらいで、少女と呼ぶには大人すぎる。
「なんだ」
「ボスから、調べごと、手伝うようにって」
「ボス?」
「『ツナヨシ』」
昨日の青年を思い出してローは半分納得した。何処かからローが屋敷へ来たことを見ていたのかもしれない。領主の次期後継者らしいし、人を寄越すことは出来るだろう。
気になることは、どうしてローが調べごとをしていると分かったのかだ。
「オレはアイツに調べごとをしていると言った覚えは無い」
「気付いただけだと思う。ボスだから」
その『ボスだから』という言葉の何処に根拠があると思っているのだろうか。目の前の少女に是非その辺を詳しく話してもらいたかった。
「何を、調べてるの?」
「この島へ入ってくる奴は、領主が逐一確認してんだろ。オレはその確認方法が知りたい」
すっかり手伝う気でいる少女に、ローは帽子の角度を直して白状する。港へ入港した直後教えられたそれが気になっていた。
妙な確認方法をされていたとしたら、クルーを乗せる船を預かる身として心穏やかではいられない。ましてやローの船は潜水艦で通常とは異なるのだ。変な方法を取られ潜水艦の危機に異変が生じれば、この先の航海さえ危うくなる。
ローの思惑を全て理解したとは言い難いが、まだ名前さえ聞いていない少女はローを見つめたまま首を傾げた。
「あれは、ボスの『超直感』を利用しているの」
「超直感?」
今度はローが首を傾げる番である。