故郷の話
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ジャンバール視点
「喋るフクロウ?」
朝食の席で当初に比べれば小康状態にまで落ち着いたペンギンに昨夜の出来事を話すと、ペンギンはお粥を食べながらジャンバールの言葉を繰り返した。
「眼の色が左右違うんだ」
「そりゃ『ムクロウ』だろぉ。この島の領主の部下が飼ってるフクロウで、一定条件下で喋る」
「一定条件下?」
「飼い主が特殊な奴で、他人や動物に憑依出来るんだぁ。だから喋ってるのはフクロウってより飼い主の奴だよ」
「憑依というのは、船長の“シャンブルス”みたいなものか?」
「まぁ近けぇけど、一方的に操るモンだと思ったほうがいいかなぁ」
食べている途中で顔を背けて咳き込むペンギンに、今日も船から出ずに寝ているべきだなと思う。せっかくの故郷のようだが、風邪も悪化させないほうがいい。
昨日の夜は喋るフクロウから逃げた後、驚き疲れたこともあって三人ともそのまま寝てしまった。早朝になって目を覚ましたジャンバールは、風邪を引いているからとクルーの食事の時間と重ならないよう、早めに朝食をとっていたペンギンを見つけて話しかけたのである。
もう暫くすればまだ寝ているクルー達も起きてくるだろうし、そうすればペンギンは部屋へ篭もってしまう。安静にしているところへシャチやベポの様に顔を出すのはジャンバールには憚られて、話すとすればこの時間しかない。
咳き込む為に口元を押さえているペンギンの左手首には、いつも身に着けている腕輪が揺れている。
「もう一つ訊きたい事が有るんだが、お前は『指輪』は持っていないのか?」
「ケホッ、ああ? 指輪ぁ?」
「この島では炎を扱える者が生まれると聞いたんだ。その炎を安定させる為に指輪を貰うとも」
「ああ、『リング』のことなぁ。普通の指輪と区別する為にもリングって言ってくれぇ。俺は『リング』は持って無ぇよ」
「どうしてだ?」
「リングじゃ属性にあったモノで一つの属性しか灯せねぇし、ナイフを握るのに邪魔だから指輪の形は受け取らなかったんだよ」
そう言って左手首の腕輪を大袈裟に揺らすペンギンに、それがペンギンの『リング』だと理解した。腕輪の形もあるのだなと思う。
「ただ、これは……っ、ケホッ、ゲホッ、ごめ、ちょっ」
「いや、無理に話すほどではない。もう部屋へ戻ったらどうだ」
咳き込んでまともに話せないペンギンの背中へ手を伸ばしてさすってやりながら、ジャンバールは横になる事を勧めた。テーブルの上のコップを掴んで水を無理に飲み込んだペンギンは、呻くような声を出してから勧めを受け入れるように頷く。
「部屋に戻る。……ジャンバールは、今日は、どうするんだぁ?」
「シャチと一緒に領主の屋敷へ行こうかと思っている」
「喋るフクロウ?」
朝食の席で当初に比べれば小康状態にまで落ち着いたペンギンに昨夜の出来事を話すと、ペンギンはお粥を食べながらジャンバールの言葉を繰り返した。
「眼の色が左右違うんだ」
「そりゃ『ムクロウ』だろぉ。この島の領主の部下が飼ってるフクロウで、一定条件下で喋る」
「一定条件下?」
「飼い主が特殊な奴で、他人や動物に憑依出来るんだぁ。だから喋ってるのはフクロウってより飼い主の奴だよ」
「憑依というのは、船長の“シャンブルス”みたいなものか?」
「まぁ近けぇけど、一方的に操るモンだと思ったほうがいいかなぁ」
食べている途中で顔を背けて咳き込むペンギンに、今日も船から出ずに寝ているべきだなと思う。せっかくの故郷のようだが、風邪も悪化させないほうがいい。
昨日の夜は喋るフクロウから逃げた後、驚き疲れたこともあって三人ともそのまま寝てしまった。早朝になって目を覚ましたジャンバールは、風邪を引いているからとクルーの食事の時間と重ならないよう、早めに朝食をとっていたペンギンを見つけて話しかけたのである。
もう暫くすればまだ寝ているクルー達も起きてくるだろうし、そうすればペンギンは部屋へ篭もってしまう。安静にしているところへシャチやベポの様に顔を出すのはジャンバールには憚られて、話すとすればこの時間しかない。
咳き込む為に口元を押さえているペンギンの左手首には、いつも身に着けている腕輪が揺れている。
「もう一つ訊きたい事が有るんだが、お前は『指輪』は持っていないのか?」
「ケホッ、ああ? 指輪ぁ?」
「この島では炎を扱える者が生まれると聞いたんだ。その炎を安定させる為に指輪を貰うとも」
「ああ、『リング』のことなぁ。普通の指輪と区別する為にもリングって言ってくれぇ。俺は『リング』は持って無ぇよ」
「どうしてだ?」
「リングじゃ属性にあったモノで一つの属性しか灯せねぇし、ナイフを握るのに邪魔だから指輪の形は受け取らなかったんだよ」
そう言って左手首の腕輪を大袈裟に揺らすペンギンに、それがペンギンの『リング』だと理解した。腕輪の形もあるのだなと思う。
「ただ、これは……っ、ケホッ、ゲホッ、ごめ、ちょっ」
「いや、無理に話すほどではない。もう部屋へ戻ったらどうだ」
咳き込んでまともに話せないペンギンの背中へ手を伸ばしてさすってやりながら、ジャンバールは横になる事を勧めた。テーブルの上のコップを掴んで水を無理に飲み込んだペンギンは、呻くような声を出してから勧めを受け入れるように頷く。
「部屋に戻る。……ジャンバールは、今日は、どうするんだぁ?」
「シャチと一緒に領主の屋敷へ行こうかと思っている」