故郷の話
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ロー視点
世界政府へ加入することなく独立しているこの国では、変わった能力の存在が確認されている。
それは総じて『炎を灯せる』能力であり、生まれつきであったり成長途中で唐突に灯せるようになったりすることもあるが、殆どが成人前に使えるようになるものだ。空島における羽や手長族における一つ多い間接のように、それはこの国で生まれ育ったものにとってはごく普通のものである。
『炎』には大きく分けて七つの属性があり、大抵は一人に一つの属性の炎しか灯せない。属性にはそれぞれ特色があり、女将の息子が灯した黄色い炎は『活性』の特色を持つのだという。
「つまり細胞を活性化させて傷を治す事も可能だと?」
「ええ。アタシは逆に『鎮静』の特色を持つ青い炎しか灯せません。ダンナは緑の『硬化』の炎ですよ」
女将の話を聞きながら、珍しい事もあるものだと思った。触っても熱くないし、様々な色の炎を悪魔の実の能力者でもない人間が灯せるというのは、おそらく研究者が知れば垂涎ものだろう。
黄色い炎だけでも怪我の治療という応用が出来るのなら、それだけでも医療機関が黙ってはいないに違いない。その炎が持つ特色とやらが何処までの利便性を持っているのか知らないが、研究次第では何にでも使えるのではと思う。
同時に、この国が長年鎖国状態にあった理由も理解できた。『外』の人間を入れてこの事が知らしめられれば、すぐに奴隷や研究材料として連れて行かれるのが関の山である。
「『外』から来たオレ達にそれを話して大丈夫なのか?」
「貴方方はこの島への上陸を『許可』されてますからね。領主様の屋敷の一般開放されている部分にはこの『炎』に関する文献も置かれてますし、別段緘口令が敷かれているワケでもないんですよ」
チラリとバンダナの傷を治している女将の息子を見た。指輪の飾り部分へ灯される黄色い炎。それが当たっている部分からバンダナの傷が治っている。
「あの指輪は?」
「これは炎を安静させる為のものです。国の彫金師が一人ひとりの属性へ合わせて作ってくれるんです。これがあるのと無いのとじゃ大違いなので、この国の大抵の人は持ってますよ」
「普通の指輪じゃダメなの?」
シャチに尋ねられて女将が自分の指輪をそっと撫でた。
「炎を灯せるリングの作り方は彫金師しか知らないんです。普通の指輪には炎は灯せませんねぇ」
「オレも指輪手に入れたら炎出せるかな?」
「バカ。話聞いてただろ? この国の人でないと出せないんだって」
「ほい、終わったよオッちゃん!」
バンダナの治療を終えた少年が指輪を外して首に掛けなおしている。手を伸ばせば素直に貸してくれたそれを眺めた。
どう見ても少しゴツめなごく普通の指輪である。
世界政府へ加入することなく独立しているこの国では、変わった能力の存在が確認されている。
それは総じて『炎を灯せる』能力であり、生まれつきであったり成長途中で唐突に灯せるようになったりすることもあるが、殆どが成人前に使えるようになるものだ。空島における羽や手長族における一つ多い間接のように、それはこの国で生まれ育ったものにとってはごく普通のものである。
『炎』には大きく分けて七つの属性があり、大抵は一人に一つの属性の炎しか灯せない。属性にはそれぞれ特色があり、女将の息子が灯した黄色い炎は『活性』の特色を持つのだという。
「つまり細胞を活性化させて傷を治す事も可能だと?」
「ええ。アタシは逆に『鎮静』の特色を持つ青い炎しか灯せません。ダンナは緑の『硬化』の炎ですよ」
女将の話を聞きながら、珍しい事もあるものだと思った。触っても熱くないし、様々な色の炎を悪魔の実の能力者でもない人間が灯せるというのは、おそらく研究者が知れば垂涎ものだろう。
黄色い炎だけでも怪我の治療という応用が出来るのなら、それだけでも医療機関が黙ってはいないに違いない。その炎が持つ特色とやらが何処までの利便性を持っているのか知らないが、研究次第では何にでも使えるのではと思う。
同時に、この国が長年鎖国状態にあった理由も理解できた。『外』の人間を入れてこの事が知らしめられれば、すぐに奴隷や研究材料として連れて行かれるのが関の山である。
「『外』から来たオレ達にそれを話して大丈夫なのか?」
「貴方方はこの島への上陸を『許可』されてますからね。領主様の屋敷の一般開放されている部分にはこの『炎』に関する文献も置かれてますし、別段緘口令が敷かれているワケでもないんですよ」
チラリとバンダナの傷を治している女将の息子を見た。指輪の飾り部分へ灯される黄色い炎。それが当たっている部分からバンダナの傷が治っている。
「あの指輪は?」
「これは炎を安静させる為のものです。国の彫金師が一人ひとりの属性へ合わせて作ってくれるんです。これがあるのと無いのとじゃ大違いなので、この国の大抵の人は持ってますよ」
「普通の指輪じゃダメなの?」
シャチに尋ねられて女将が自分の指輪をそっと撫でた。
「炎を灯せるリングの作り方は彫金師しか知らないんです。普通の指輪には炎は灯せませんねぇ」
「オレも指輪手に入れたら炎出せるかな?」
「バカ。話聞いてただろ? この国の人でないと出せないんだって」
「ほい、終わったよオッちゃん!」
バンダナの治療を終えた少年が指輪を外して首に掛けなおしている。手を伸ばせば素直に貸してくれたそれを眺めた。
どう見ても少しゴツめなごく普通の指輪である。