故郷の話
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シャチ視点
シャチ達が海賊だと知っても臆することなく迎え入れた大衆向け食堂の女将さんは気のいい人で、シャチ達が食べるのを見て作り甲斐があるとオマケまで出してくれた。この島の住民はこんな人が良くて大丈夫なのだろうかと思うほどで、シャチはボンゴレパスタを頬張りながらちょっと考える。パスタだけではなくどの料理も美味く、ペンギンがこれを食べられないことが少し残念だった。
「はいよ。注文のマルゲリータ!」
「お、ありがとよ坊主!」
バンダナにマルゲリータを差し出したのは女将の息子らしい少年である。普段から店を手伝っているらしく、最初こそベポとジャンバールの姿を見て驚いていたが、その後はクルクルと店内を走り回って料理を運んでいた。
「お母さんの手伝いかい? えらいねえ」
「へへっ、お駄賃くれてもいいよ!」
「よく言う!」
両手を差し出して悪戯っぽく笑う少年にバンダナがその頭をかき混ぜるように撫でる。それから少年が何かに気付いてバンダナの手を掴んだ。
「どうした?」
「オッちゃん怪我してる」
「ん? ああ、どっかで擦っちまったんだろうね。後で消毒しなくちゃな」
バンダナの腕には本人が言う通り何処かで擦ってしまったのか、何かで引っかいたような擦り傷が出来ていた。赤い線になっているそれは、普通であればほっといても治ると気にしないところだが、ハートのクルーだと誰もが少なからず医学に通じているせいかしっかり治療をする。
下手に放置して悪化させたら、船長が嬉々として解体に掛かるからだ。
「おれが治したげるよ!」
傷を指先でなぞっていたバンダナへ少年が申し出る。治すのではなく治療だろと思ったシャチ達の前で、少年はおもむろに服の下から首から下げていたらしい指輪を取り出した。
チェーンから外したその指輪を指に嵌めたかと思うと、少年の嵌めた指輪の飾り部分から黄色い炎が燃え上がる。
「!?」
「腕貸して!」
「ぃ、ぃや、坊主、その炎は……?」
少年は自分の嵌めている指輪から炎が出ていることを気にした様子も無く、むしろシャチやバンダナが驚いている理由が分からないとばかりに首を傾げた。
その頭へ拳骨が振り下ろされる。
「っいってぇ!」
「『外』の人の前で説明もなしに炎を灯すんじゃないよ! ったく、お客さん驚いてるじゃないか!」
拳骨を振り下ろした女将はそう言って息子を叱り、それからその場を誤魔化すような笑いを浮かべた。
「すみませんねぇ。この子ったら『リング』を貰えて喜んでるモンですから」
「……女将、その炎は?」
今まで黙っていた船長が、食べる手を止めて尋ねる。
シャチ達が海賊だと知っても臆することなく迎え入れた大衆向け食堂の女将さんは気のいい人で、シャチ達が食べるのを見て作り甲斐があるとオマケまで出してくれた。この島の住民はこんな人が良くて大丈夫なのだろうかと思うほどで、シャチはボンゴレパスタを頬張りながらちょっと考える。パスタだけではなくどの料理も美味く、ペンギンがこれを食べられないことが少し残念だった。
「はいよ。注文のマルゲリータ!」
「お、ありがとよ坊主!」
バンダナにマルゲリータを差し出したのは女将の息子らしい少年である。普段から店を手伝っているらしく、最初こそベポとジャンバールの姿を見て驚いていたが、その後はクルクルと店内を走り回って料理を運んでいた。
「お母さんの手伝いかい? えらいねえ」
「へへっ、お駄賃くれてもいいよ!」
「よく言う!」
両手を差し出して悪戯っぽく笑う少年にバンダナがその頭をかき混ぜるように撫でる。それから少年が何かに気付いてバンダナの手を掴んだ。
「どうした?」
「オッちゃん怪我してる」
「ん? ああ、どっかで擦っちまったんだろうね。後で消毒しなくちゃな」
バンダナの腕には本人が言う通り何処かで擦ってしまったのか、何かで引っかいたような擦り傷が出来ていた。赤い線になっているそれは、普通であればほっといても治ると気にしないところだが、ハートのクルーだと誰もが少なからず医学に通じているせいかしっかり治療をする。
下手に放置して悪化させたら、船長が嬉々として解体に掛かるからだ。
「おれが治したげるよ!」
傷を指先でなぞっていたバンダナへ少年が申し出る。治すのではなく治療だろと思ったシャチ達の前で、少年はおもむろに服の下から首から下げていたらしい指輪を取り出した。
チェーンから外したその指輪を指に嵌めたかと思うと、少年の嵌めた指輪の飾り部分から黄色い炎が燃え上がる。
「!?」
「腕貸して!」
「ぃ、ぃや、坊主、その炎は……?」
少年は自分の嵌めている指輪から炎が出ていることを気にした様子も無く、むしろシャチやバンダナが驚いている理由が分からないとばかりに首を傾げた。
その頭へ拳骨が振り下ろされる。
「っいってぇ!」
「『外』の人の前で説明もなしに炎を灯すんじゃないよ! ったく、お客さん驚いてるじゃないか!」
拳骨を振り下ろした女将はそう言って息子を叱り、それからその場を誤魔化すような笑いを浮かべた。
「すみませんねぇ。この子ったら『リング』を貰えて喜んでるモンですから」
「……女将、その炎は?」
今まで黙っていた船長が、食べる手を止めて尋ねる。