故郷の話
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ベポ視点
ペンギンの看病をしていた船番のクルーに今なら起きていると教えられて、ベポがペンギンのいる船室へ向かうとペンギンは寝台に横になっておらず、薬品が並べられている棚を漁っていた。
「ペンギン寝てなきゃダメだよ!」
「あー、おかえりぃ。いや、ちょっと探し物してて……」
「治ったらにしないとキャプテンに言いつけるよ!」
「それは困るぅ」
安静に寝ていられないのなら動けなくしてやるとばかりに、身体を能力でバラバラにされるのは流石に嫌なのか、ペンギンは素直に寝台へと潜り込む。その枕元にあった椅子に座って、ベポが買ってきた飴を差し出せば、ペンギンが寝返りを打ってベポを見上げた。
「これオミヤゲ。なんかね、ちょっとペンギンに似た匂いがするんだ」
起き上がって座り直し、ペンギンが飴の入っている袋を手に取る。
「……ナミモリーヌの飴、ね。ありがとうなぁベポ」
今すぐ食べるつもりなのか袋を開けて飴を二つ取り出し、一つをベポへ差し出してきたペンギンは、ベポがそれを受け取るとベポの頭を撫でて自分も口に入れた。同じくベポも口に入れれば甘い匂いが口の中に広がる。
「あのね、皆優しくてね、オミヤゲ何がいいかって相談にも乗ってくれたんだ。この島の人はオレのことも怖がんないんだよ」
「いいところだろぉ?」
「うん。あと、バイザクって子と友達になったんだ!」
「バイザク?」
お菓子屋の前でぶつかった後、船へ帰ってくるまで一緒に居た少女のことを報告すれば、ペンギンが飴の入っている袋の口を畳みながら顔を上げた。寝込んでいる時までいつもの帽子を被っているのはどうかと思ったものの、顔を見られたくないのでは仕方ないのかもしれない。
「黒髪で、赤い目をした子かぁ?」
「うん。白クマに触るのは初めてだったんだって!」
「そりゃ普通は白クマに触る機会なんて無ぇだろうけど……バイザクが」
「知ってるの?」
「バイザクは――」
その続きの言葉が出てくる前にドアが開いてシャチが飛び込んできた。シャチは半分泣きべそを掻いていて、ペンギンを確認すると座っているベポを押し退ける勢いでペンギンのいる寝台へと飛びつく。
「怖かったよぉぉおお!」
「えっと、おかえりぃシャチ」
「どうしたの?」
「ど、どうしたのじゃヌェーよ! 何この島!? ライオンがさ、ライオンがさぁ!」
顔を上げて捲くし立てるシャチの説明ではベポには分からなかったが、この島の出身であるらしいペンギンは分かったようだった。
「あー、ベスターに会ったんだろぉ」
「べすたー?」
よしよしと宥めるようにシャチの頭を帽子越しに撫でているペンギンがベポを見る。
「この島の領主の息子が飼ってるライガーって動物だぁ。ライオンと虎の合いの子で、生まれる確率は低いし毛並みが白いと更に珍しい。ベスターはその珍しい白いライガーで、島を好き勝手に歩き回ってる」
「それって島の人が襲われたりしない?」
「アイツは飼い主に似て酒と自分の興味がある事にしか感心が無ぇ。それに島の住民は襲っちゃいけねぇって分かってるんだよ。襲われることは滅多に無ぇ」
ペンギンの看病をしていた船番のクルーに今なら起きていると教えられて、ベポがペンギンのいる船室へ向かうとペンギンは寝台に横になっておらず、薬品が並べられている棚を漁っていた。
「ペンギン寝てなきゃダメだよ!」
「あー、おかえりぃ。いや、ちょっと探し物してて……」
「治ったらにしないとキャプテンに言いつけるよ!」
「それは困るぅ」
安静に寝ていられないのなら動けなくしてやるとばかりに、身体を能力でバラバラにされるのは流石に嫌なのか、ペンギンは素直に寝台へと潜り込む。その枕元にあった椅子に座って、ベポが買ってきた飴を差し出せば、ペンギンが寝返りを打ってベポを見上げた。
「これオミヤゲ。なんかね、ちょっとペンギンに似た匂いがするんだ」
起き上がって座り直し、ペンギンが飴の入っている袋を手に取る。
「……ナミモリーヌの飴、ね。ありがとうなぁベポ」
今すぐ食べるつもりなのか袋を開けて飴を二つ取り出し、一つをベポへ差し出してきたペンギンは、ベポがそれを受け取るとベポの頭を撫でて自分も口に入れた。同じくベポも口に入れれば甘い匂いが口の中に広がる。
「あのね、皆優しくてね、オミヤゲ何がいいかって相談にも乗ってくれたんだ。この島の人はオレのことも怖がんないんだよ」
「いいところだろぉ?」
「うん。あと、バイザクって子と友達になったんだ!」
「バイザク?」
お菓子屋の前でぶつかった後、船へ帰ってくるまで一緒に居た少女のことを報告すれば、ペンギンが飴の入っている袋の口を畳みながら顔を上げた。寝込んでいる時までいつもの帽子を被っているのはどうかと思ったものの、顔を見られたくないのでは仕方ないのかもしれない。
「黒髪で、赤い目をした子かぁ?」
「うん。白クマに触るのは初めてだったんだって!」
「そりゃ普通は白クマに触る機会なんて無ぇだろうけど……バイザクが」
「知ってるの?」
「バイザクは――」
その続きの言葉が出てくる前にドアが開いてシャチが飛び込んできた。シャチは半分泣きべそを掻いていて、ペンギンを確認すると座っているベポを押し退ける勢いでペンギンのいる寝台へと飛びつく。
「怖かったよぉぉおお!」
「えっと、おかえりぃシャチ」
「どうしたの?」
「ど、どうしたのじゃヌェーよ! 何この島!? ライオンがさ、ライオンがさぁ!」
顔を上げて捲くし立てるシャチの説明ではベポには分からなかったが、この島の出身であるらしいペンギンは分かったようだった。
「あー、ベスターに会ったんだろぉ」
「べすたー?」
よしよしと宥めるようにシャチの頭を帽子越しに撫でているペンギンがベポを見る。
「この島の領主の息子が飼ってるライガーって動物だぁ。ライオンと虎の合いの子で、生まれる確率は低いし毛並みが白いと更に珍しい。ベスターはその珍しい白いライガーで、島を好き勝手に歩き回ってる」
「それって島の人が襲われたりしない?」
「アイツは飼い主に似て酒と自分の興味がある事にしか感心が無ぇ。それに島の住民は襲っちゃいけねぇって分かってるんだよ。襲われることは滅多に無ぇ」