故郷の話
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ロー視点
見つかってしまった以上更に奥へ忍び込む事もできず、ローを迷子だと勘違いしているらしい青年に案内される形で屋敷の門のところへまで出ると、港へ繋がる通りをジャンバールが歩いてくるのが見えた。
「ヒッヒッヒ。出迎えなどいらんかったのじゃが?」
「タルボお爺さん何やってるんですか」
「街には出たくなかったんじゃないのか」
「不可抗力だ」
ジャンバールが両手に乗せていた老人をローと青年の前で降ろす。何処かの原住民のような格好をしたその老人は、目を隠す様に布を巻いているというのに、正確にローと青年を見上げて笑っていた。
「ジャンバールの連れかのう? 随分と不健康そうな男じゃ」
「ジイサン見えてるのか」
「ヒヒヒ。この年になると見えなくていいモンまで見えてしまうわ」
ローの隣では青年が呆れたような息を吐いている。その様子からしてこの老人は普段からこんな様子なのだろう。
格好からして占い師でもしているのか。
「買い物でしたらオレ達に言ってくれれば行きますのに」
「次代の領主を扱き使うほど傲慢ではない」
「領主?」
老人の言葉に思わず繰り返せば、隣の青年がたった今思い出したようにローを見た。
「そういえば自己紹介もしてませんでした! ごめんなさい!」
「アンタ、領主の後継者なのか?」
青年ははにかむように笑う。
「『ツナヨシ』って言います。一応領主の血族で、次の領主候補になってますけど……」
「一応も何も無かろう。決定事項じゃ」
「まだ決まってないですよ。それにオレじゃ駄目だって話もあるじゃないですか」
「そりゃ何も知らん馬鹿共だけじゃ。おぬしはボンゴレの十代目じゃろう?」
内輪の話を始めてしまっていた二人に口を挟めないでいれば、屋敷の中から髪にメッシュの入った男が駆けてきた。男は老人を探していたらしく、ロー達の前で歩調を緩めて歩み寄ってくる。
「タルボ爺さま! 出かける時は一言言ってからってお願いしたでしょ!?」
「ガナッシュ。そう怒ると早く老けるぞ?」
「怒らせてんのはアンタでしょうが!」
「はは……」
力なくツナヨシが笑い、溜め息を付いた男が顔を上げてローとジャンバールを見た。
「あんた等は?」
「船旅の方ですガナッシュさん」
「ああ、今日来た潜水艦の海賊ね」
「え、海賊!? あの潜水艦海賊だったの!?」
「……十代目。貴方が『入れた』とはいえ知らずに話してたんですか」
「え、えっと、悪い人じゃないから大丈夫だなって……」
視線をさ迷わせながらもローのことを『悪い人ではない』と言い切ったツナヨシに違和感を覚えたものの、何が変なのか分からない。
呼ばれているからと屋敷の中へと戻る三人と分かれ、ローもジャンバールを伴って船へと戻り始める。結局知りたいことは何一つ調べられなかった。
見つかってしまった以上更に奥へ忍び込む事もできず、ローを迷子だと勘違いしているらしい青年に案内される形で屋敷の門のところへまで出ると、港へ繋がる通りをジャンバールが歩いてくるのが見えた。
「ヒッヒッヒ。出迎えなどいらんかったのじゃが?」
「タルボお爺さん何やってるんですか」
「街には出たくなかったんじゃないのか」
「不可抗力だ」
ジャンバールが両手に乗せていた老人をローと青年の前で降ろす。何処かの原住民のような格好をしたその老人は、目を隠す様に布を巻いているというのに、正確にローと青年を見上げて笑っていた。
「ジャンバールの連れかのう? 随分と不健康そうな男じゃ」
「ジイサン見えてるのか」
「ヒヒヒ。この年になると見えなくていいモンまで見えてしまうわ」
ローの隣では青年が呆れたような息を吐いている。その様子からしてこの老人は普段からこんな様子なのだろう。
格好からして占い師でもしているのか。
「買い物でしたらオレ達に言ってくれれば行きますのに」
「次代の領主を扱き使うほど傲慢ではない」
「領主?」
老人の言葉に思わず繰り返せば、隣の青年がたった今思い出したようにローを見た。
「そういえば自己紹介もしてませんでした! ごめんなさい!」
「アンタ、領主の後継者なのか?」
青年ははにかむように笑う。
「『ツナヨシ』って言います。一応領主の血族で、次の領主候補になってますけど……」
「一応も何も無かろう。決定事項じゃ」
「まだ決まってないですよ。それにオレじゃ駄目だって話もあるじゃないですか」
「そりゃ何も知らん馬鹿共だけじゃ。おぬしはボンゴレの十代目じゃろう?」
内輪の話を始めてしまっていた二人に口を挟めないでいれば、屋敷の中から髪にメッシュの入った男が駆けてきた。男は老人を探していたらしく、ロー達の前で歩調を緩めて歩み寄ってくる。
「タルボ爺さま! 出かける時は一言言ってからってお願いしたでしょ!?」
「ガナッシュ。そう怒ると早く老けるぞ?」
「怒らせてんのはアンタでしょうが!」
「はは……」
力なくツナヨシが笑い、溜め息を付いた男が顔を上げてローとジャンバールを見た。
「あんた等は?」
「船旅の方ですガナッシュさん」
「ああ、今日来た潜水艦の海賊ね」
「え、海賊!? あの潜水艦海賊だったの!?」
「……十代目。貴方が『入れた』とはいえ知らずに話してたんですか」
「え、えっと、悪い人じゃないから大丈夫だなって……」
視線をさ迷わせながらもローのことを『悪い人ではない』と言い切ったツナヨシに違和感を覚えたものの、何が変なのか分からない。
呼ばれているからと屋敷の中へと戻る三人と分かれ、ローもジャンバールを伴って船へと戻り始める。結局知りたいことは何一つ調べられなかった。