故郷の話
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ジャンバール視点
「ヒヒヒ……空が近いのう」
ジャンバールの手の上へ乗っている老人に、ジャンバールはどうしたものかと考える。
遡る事数十分前。自由時間を与えられたものの、巨人族であるジャンバールが自由に散策するのはいつもであれば巨人族だと周囲に恐れられて遠慮したいものだった。しかしこの島の住民は船から降りてきたジャンバールを見ても誰一人怖がる様子は無く、他のクルー達同様の歓迎をしてくれたのである。
不思議に思いながらも、港を少し歩くだけなら大丈夫そうだと判断して、決して大通りの方へは行かずに港を少し歩いていると、港に出されていた露店の前にいた老人へ声を掛けられた。
「でかい男よのう。名はなんというんじゃ?」
「オレか?」
小さな木箱へ腰を降ろし杖に両手を乗せていた老人は、周囲の島民とは違って未開の地の原住民のような服装をしている。その両目には覆うように布が巻かれていて、これではジャンバールの姿など分からないだろうと思ったものの、老人の顔は正確にジャンバールを見上げていた。
そもそも見えなければジャンバールが巨人である事も分からないはずだ。
「ジャンバールだ」
「ヒヒヒヒ……聞いた事がある名じゃ。さて何処で聞いた名か……」
特徴的な笑い声を漏らす老人に、ジャンバールは貶されているのかと思う。
「タルボ爺さま、冗談は初対面に言いなさんなって。ゴメンなぁジャンバールさん? 爺さまったら気に入った相手に絡むのが好きでさ」
「何を言うかこの小童め」
「爺さま声が笑ってる笑ってる」
露店の店主が苦笑しながら老人をたしなめた。タルボというらしい老人は相変わらず特徴的な笑い声を上げながら木箱から立ち上がり、ジャンバールへと近付いてくる。
下手をすれば踏んでしまいそうで危ない。
「サテ、ワシの用は済んだでの。ジャンバール。ちとこの枯れた老いぼれを屋敷まで運んでくれんかのう?」
初対面で『運べ』などと言われたのは流石に初めてである。唐突の申し出にジャンバールは戸惑い、助けを求めて露店の店主を見れば店主は気にした様子も無く笑いながら作業を続けていた。
「爺さまの言ってる屋敷ってのは領主様のお屋敷のことだよ。時間があるなら悪いけど連れてってやってくれないかな?」
海賊にそれを頼むのもどうかと思ったが、ジャンバールが何を言ってもこのタルボという老人も店主も気にしなさそうで。年配には優しくすべきだとも言うし、仕方なく揃えた両手の上にタルボを乗せてジャンバールは歩き出したのである。
「ヒヒヒ……空が近いのう」
ジャンバールの手の上へ乗っている老人に、ジャンバールはどうしたものかと考える。
遡る事数十分前。自由時間を与えられたものの、巨人族であるジャンバールが自由に散策するのはいつもであれば巨人族だと周囲に恐れられて遠慮したいものだった。しかしこの島の住民は船から降りてきたジャンバールを見ても誰一人怖がる様子は無く、他のクルー達同様の歓迎をしてくれたのである。
不思議に思いながらも、港を少し歩くだけなら大丈夫そうだと判断して、決して大通りの方へは行かずに港を少し歩いていると、港に出されていた露店の前にいた老人へ声を掛けられた。
「でかい男よのう。名はなんというんじゃ?」
「オレか?」
小さな木箱へ腰を降ろし杖に両手を乗せていた老人は、周囲の島民とは違って未開の地の原住民のような服装をしている。その両目には覆うように布が巻かれていて、これではジャンバールの姿など分からないだろうと思ったものの、老人の顔は正確にジャンバールを見上げていた。
そもそも見えなければジャンバールが巨人である事も分からないはずだ。
「ジャンバールだ」
「ヒヒヒヒ……聞いた事がある名じゃ。さて何処で聞いた名か……」
特徴的な笑い声を漏らす老人に、ジャンバールは貶されているのかと思う。
「タルボ爺さま、冗談は初対面に言いなさんなって。ゴメンなぁジャンバールさん? 爺さまったら気に入った相手に絡むのが好きでさ」
「何を言うかこの小童め」
「爺さま声が笑ってる笑ってる」
露店の店主が苦笑しながら老人をたしなめた。タルボというらしい老人は相変わらず特徴的な笑い声を上げながら木箱から立ち上がり、ジャンバールへと近付いてくる。
下手をすれば踏んでしまいそうで危ない。
「サテ、ワシの用は済んだでの。ジャンバール。ちとこの枯れた老いぼれを屋敷まで運んでくれんかのう?」
初対面で『運べ』などと言われたのは流石に初めてである。唐突の申し出にジャンバールは戸惑い、助けを求めて露店の店主を見れば店主は気にした様子も無く笑いながら作業を続けていた。
「爺さまの言ってる屋敷ってのは領主様のお屋敷のことだよ。時間があるなら悪いけど連れてってやってくれないかな?」
海賊にそれを頼むのもどうかと思ったが、ジャンバールが何を言ってもこのタルボという老人も店主も気にしなさそうで。年配には優しくすべきだとも言うし、仕方なく揃えた両手の上にタルボを乗せてジャンバールは歩き出したのである。