故郷の話
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シャチ視点
生絞りのオレンジジュースが自慢だという店へ入り、そのご自慢のジュースを注文すれば確かに美味かった。店主は顔が怖かったが人間見た目で判断してはいけないらしい。
「っはー。ウメー。バンダナも飲みなよ」
「オレは珈琲でいいって。シャチこそ珈琲飲んでみなよ。美味しいよぉ?」
「砂糖入れてくれたら飲むよ」
「子供舌だねぇ」
自由時間を与えられたものの、船長は何処かへ行ってしまったしベポも買い物がしたいと行ってしまったから、シャチは煙草を買う以外に予定がないと言っていたバンダナを連れて歩き回っていた。別に一人でフラフラしても良かったのだが、シャチは一人歩きすると所持金を空にする自信がある。
普段であればペンギンが一緒に歩いてシャチの金遣いの荒さを注意してくれるが、今回は風邪を引いているせいで船から降りていない。騒がしい出来事が続いたとはいえ、島に着くタイミングで風邪を引くなんて災難だよなぁと思いつつストローをがじがじと噛んでいると、目の前の通りをライオンが横切った。
見間違いではない。ライオンが、公衆の大通りを、優雅に歩いている。
「シャチ?」
「……バ、バンダナ、あ、あれ」
「なんだい? ……ああん?」
バンダナにも見えているということはシャチが幻覚を見ているという訳でもないらしい。白く、虎のような縞模様のあるものの立派な鬣を纏ったライオンは、周囲の人間など視界にすら入っていないかのように堂々と歩いており、しかし同じ通りに立つ人々はそんなライオンへ恐れる様子も無かった。
一体どういう事かと二人が頭に疑問符を飛ばしていれば、ふとライオンが立ち止まる。その場で匂いを探るように鼻をひくつかせたかと思うと、ぐるりとシャチとバンダナのいる方向へと首を向けてきた。
「ヒッ!?」
のそりと再び歩き出したライオンがシャチの座っている屋外席のテーブルへと近付いてくる。逃げればいいものを獰猛な動物へ対する恐怖で二人とも動くに動けずにいると、ライオンはシャチのすぐ傍へまで到るとシャチの匂いを嗅ぎ始めた。
「ぅあ、あ、あ、ああああ……」
ふんふんと鼻を鳴らすライオンに出る声は変なものだけだ。
客の様子がおかしい事に気付いてか店主が奥から出てくる。そしてシャチと白いライオンを見ると意外そうな顔をした。顔は怖いが表情は豊かな様である。
「ザンザス様のベスターじゃないか」
「ベスター? ザンザス様ってのはここの領主かい?」
「馬鹿言うな。ザンザス様が領主なもんか。それにしても人に寄ってくるなんて珍しいもんだ。下手に手ぇ出そうとしないほうがいいぞ。他の奴らと違って強暴だかんな」
生絞りのオレンジジュースが自慢だという店へ入り、そのご自慢のジュースを注文すれば確かに美味かった。店主は顔が怖かったが人間見た目で判断してはいけないらしい。
「っはー。ウメー。バンダナも飲みなよ」
「オレは珈琲でいいって。シャチこそ珈琲飲んでみなよ。美味しいよぉ?」
「砂糖入れてくれたら飲むよ」
「子供舌だねぇ」
自由時間を与えられたものの、船長は何処かへ行ってしまったしベポも買い物がしたいと行ってしまったから、シャチは煙草を買う以外に予定がないと言っていたバンダナを連れて歩き回っていた。別に一人でフラフラしても良かったのだが、シャチは一人歩きすると所持金を空にする自信がある。
普段であればペンギンが一緒に歩いてシャチの金遣いの荒さを注意してくれるが、今回は風邪を引いているせいで船から降りていない。騒がしい出来事が続いたとはいえ、島に着くタイミングで風邪を引くなんて災難だよなぁと思いつつストローをがじがじと噛んでいると、目の前の通りをライオンが横切った。
見間違いではない。ライオンが、公衆の大通りを、優雅に歩いている。
「シャチ?」
「……バ、バンダナ、あ、あれ」
「なんだい? ……ああん?」
バンダナにも見えているということはシャチが幻覚を見ているという訳でもないらしい。白く、虎のような縞模様のあるものの立派な鬣を纏ったライオンは、周囲の人間など視界にすら入っていないかのように堂々と歩いており、しかし同じ通りに立つ人々はそんなライオンへ恐れる様子も無かった。
一体どういう事かと二人が頭に疑問符を飛ばしていれば、ふとライオンが立ち止まる。その場で匂いを探るように鼻をひくつかせたかと思うと、ぐるりとシャチとバンダナのいる方向へと首を向けてきた。
「ヒッ!?」
のそりと再び歩き出したライオンがシャチの座っている屋外席のテーブルへと近付いてくる。逃げればいいものを獰猛な動物へ対する恐怖で二人とも動くに動けずにいると、ライオンはシャチのすぐ傍へまで到るとシャチの匂いを嗅ぎ始めた。
「ぅあ、あ、あ、ああああ……」
ふんふんと鼻を鳴らすライオンに出る声は変なものだけだ。
客の様子がおかしい事に気付いてか店主が奥から出てくる。そしてシャチと白いライオンを見ると意外そうな顔をした。顔は怖いが表情は豊かな様である。
「ザンザス様のベスターじゃないか」
「ベスター? ザンザス様ってのはここの領主かい?」
「馬鹿言うな。ザンザス様が領主なもんか。それにしても人に寄ってくるなんて珍しいもんだ。下手に手ぇ出そうとしないほうがいいぞ。他の奴らと違って強暴だかんな」