故郷の話
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シャチ視点
白亜造りの建物が並ぶ街並みはウォーターセブンの街並みにも少し似ている。しかしあの場所のように造船場があるでもなく水路が張り巡らされている訳でもない。
港や市場は老若男女関係なく活気が溢れ、様々な場所から何処からとも無く聞こえる音楽は混じりあいこそすれそこに不協和音は生まれておらず、どこか誘い込むような路地の造りに感歎の声を上げたのはシャチだけではなかった。
「スッゲェー……」
「綺麗な街だな」
辛うじてそんな言葉が口に出来る程度の、ジャンパールの言う通り綺麗な街である。レンガを敷き詰められた道は太陽の光を反射して白く輝き、窓から乾された洗濯物の一枚さえ風景画の重要な一部のようにはためいていた。
港へ入ってきたハートの船のジョリーロジャーを見ても、住民達は怯える様子も忌避する様子さえ無い。船から降りたシャチ達を見て、遠巻きに露天の前へ居る子供が手を振ってさえいる。
海賊へ対する警戒心すら無いのかと不思議に思ったものの、その疑問は話しかけてきた男に氷解した。
「食糧とかの補充かい? だったらあっちの市場へ行くといいよ。新鮮なモンが揃ってる」
「あ、どうも……なぁ、この島の人達って海賊が怖かったりしねーの?」
「あんた等は“入って来れた”からなぁ。警戒する必要が無いって証明されたのさ」
「証明?」
降りてきた船長に男が笑顔を向ける。
「この島へ入ってくる船ってのは、全部敵意や害意が無いか確認されてるのさ。それで無害だと分かった船だけが港へまで入ってこれる。そういう仕組みだ」
「確認された覚えはないな」
「領主様が見て終わりだもんで、普通は気付かないってもんだよ」
「見るだけで害が無いとかって分かるのか?」
「この島の領主様ならね」
船の監視と見張り番と、風邪で寝ているペンギン以外のクルーが降りてきた。シャチと同様島の風景に見惚れているクルーを眺め、男はそれでも警戒すらしない。
船長がさり気無く長刀を持ち直しながら男へ尋ねる。
「敵意があると判断された船はどうなるんだ?」
「島に寄れないらしいとは聞いた事があるけど、実際はどうなってるのか知らないなぁ。でも漁に出た沖で、グルグルと三日ぐらい同じ場所を回り続けている船を見たことはあるよ。一週間後には見なくなったけど」
それは沈没したか寄港を諦めたのか。後者であったほうがいいなと思うものの、真実は定かではない。
ともあれハートの海賊団は無害だと判断されたのだろう。それを良しとしてここはスルーするべきか。
後でペンギンに聞いてみようとシャチが思った傍で、船長が男へ尋ねている。
「領主に会うことは出来るか?」
白亜造りの建物が並ぶ街並みはウォーターセブンの街並みにも少し似ている。しかしあの場所のように造船場があるでもなく水路が張り巡らされている訳でもない。
港や市場は老若男女関係なく活気が溢れ、様々な場所から何処からとも無く聞こえる音楽は混じりあいこそすれそこに不協和音は生まれておらず、どこか誘い込むような路地の造りに感歎の声を上げたのはシャチだけではなかった。
「スッゲェー……」
「綺麗な街だな」
辛うじてそんな言葉が口に出来る程度の、ジャンパールの言う通り綺麗な街である。レンガを敷き詰められた道は太陽の光を反射して白く輝き、窓から乾された洗濯物の一枚さえ風景画の重要な一部のようにはためいていた。
港へ入ってきたハートの船のジョリーロジャーを見ても、住民達は怯える様子も忌避する様子さえ無い。船から降りたシャチ達を見て、遠巻きに露天の前へ居る子供が手を振ってさえいる。
海賊へ対する警戒心すら無いのかと不思議に思ったものの、その疑問は話しかけてきた男に氷解した。
「食糧とかの補充かい? だったらあっちの市場へ行くといいよ。新鮮なモンが揃ってる」
「あ、どうも……なぁ、この島の人達って海賊が怖かったりしねーの?」
「あんた等は“入って来れた”からなぁ。警戒する必要が無いって証明されたのさ」
「証明?」
降りてきた船長に男が笑顔を向ける。
「この島へ入ってくる船ってのは、全部敵意や害意が無いか確認されてるのさ。それで無害だと分かった船だけが港へまで入ってこれる。そういう仕組みだ」
「確認された覚えはないな」
「領主様が見て終わりだもんで、普通は気付かないってもんだよ」
「見るだけで害が無いとかって分かるのか?」
「この島の領主様ならね」
船の監視と見張り番と、風邪で寝ているペンギン以外のクルーが降りてきた。シャチと同様島の風景に見惚れているクルーを眺め、男はそれでも警戒すらしない。
船長がさり気無く長刀を持ち直しながら男へ尋ねる。
「敵意があると判断された船はどうなるんだ?」
「島に寄れないらしいとは聞いた事があるけど、実際はどうなってるのか知らないなぁ。でも漁に出た沖で、グルグルと三日ぐらい同じ場所を回り続けている船を見たことはあるよ。一週間後には見なくなったけど」
それは沈没したか寄港を諦めたのか。後者であったほうがいいなと思うものの、真実は定かではない。
ともあれハートの海賊団は無害だと判断されたのだろう。それを良しとしてここはスルーするべきか。
後でペンギンに聞いてみようとシャチが思った傍で、船長が男へ尋ねている。
「領主に会うことは出来るか?」