故郷の話
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ロー視点
大小様々な島が連なり、それぞれに領主を置くことで一つの国として成立させているその諸島は、数百年前から海図へも載らず海から来る者を拒む完全鎖国状態だったと言う。しかし時代がゴールド・ロジャーの処刑を発端とした昨今の大航海時代に移行した事により、首都的役割を持つ父島への寄港だけが少数の海を行く者達の為に許可され、それ以外は依然として海軍の介入さえ拒む鎖国状態が続いている。
諸島に住む島民もその住み易さから外へ出て行くという思考に到る者が少なく、時々外から来た者が移住をすることはあれど、島から出て行く者は極端に少ない。
というのがその島を知る者の了見だ。
「別に、出て行っちゃいけねぇって訳でも無ぇんですよ。住み心地がいいから出て行かねぇってのと、出て行ってもこの島のことを、言い広めようとしねぇだけで……けほっ」
「という事はこの島出身は意外といるって事か」
「寄港制限だって、島に麻薬とか賞金首とかを入れて、治安を悪くさせねぇ為で……ゴホッ」
「もういい。大人しく寝ていろ」
熱を出してへばっているペンギンをベッドへ押し込め、ローは船室を出る。部屋の外の通路ではシャチやベポが心配そうにうろうろしていたが、ローに気付くとペンギンの様子を聞きに近付いてきた。
「船長ペンギンは?」
「ただの疲労からくる風邪だ。大人しくしてりゃすぐ良くなる。ただ島には降りられないかもな」
「せっかくの故郷なのに、残念だね」
数日前に発覚したペンギンの故郷だという諸島。ローがペンギンと初めて出会ったのが北の海であった為に、ペンギンも北の海出身なのだろうと思っていたのだがよくよく思い出してみればペンギンを勧誘したとき、ペンギンは『俺が来た頃に』と言っていた気がする。
そのペンギンは昨日から風邪を引いて寝込んでいた。事実の発覚する少し前から、どうも体調が芳しくなくボンヤリしていたらしい。
寝れば治るだろうと放置し続けていたのがこのザマである。副船長としてクルー達の体調管理を気にしてくれているのは知っているが、ローとしてはそこに自分の体調管理も組み込めと思わざるを得ない。
「部屋の外で騒がれても寝れねェだろうから、お前らもあまりここに寄るな」
「アイアイ。島の話もっと聞きたかったのにねー」
「仕方ないだろ。島に着いたらお土産でも買ってきてやろうぜ」
ペンギンの部屋を後にするシャチ達に続きながら、ローは内心気になる事について考える。
先程の島の説明でペンギンは『住み心地がいい』と言ったが、それなら何故ペンギンは島を出たのだろうか。
後で聞くかと、ローは頭の片隅へ押しやった。
大小様々な島が連なり、それぞれに領主を置くことで一つの国として成立させているその諸島は、数百年前から海図へも載らず海から来る者を拒む完全鎖国状態だったと言う。しかし時代がゴールド・ロジャーの処刑を発端とした昨今の大航海時代に移行した事により、首都的役割を持つ父島への寄港だけが少数の海を行く者達の為に許可され、それ以外は依然として海軍の介入さえ拒む鎖国状態が続いている。
諸島に住む島民もその住み易さから外へ出て行くという思考に到る者が少なく、時々外から来た者が移住をすることはあれど、島から出て行く者は極端に少ない。
というのがその島を知る者の了見だ。
「別に、出て行っちゃいけねぇって訳でも無ぇんですよ。住み心地がいいから出て行かねぇってのと、出て行ってもこの島のことを、言い広めようとしねぇだけで……けほっ」
「という事はこの島出身は意外といるって事か」
「寄港制限だって、島に麻薬とか賞金首とかを入れて、治安を悪くさせねぇ為で……ゴホッ」
「もういい。大人しく寝ていろ」
熱を出してへばっているペンギンをベッドへ押し込め、ローは船室を出る。部屋の外の通路ではシャチやベポが心配そうにうろうろしていたが、ローに気付くとペンギンの様子を聞きに近付いてきた。
「船長ペンギンは?」
「ただの疲労からくる風邪だ。大人しくしてりゃすぐ良くなる。ただ島には降りられないかもな」
「せっかくの故郷なのに、残念だね」
数日前に発覚したペンギンの故郷だという諸島。ローがペンギンと初めて出会ったのが北の海であった為に、ペンギンも北の海出身なのだろうと思っていたのだがよくよく思い出してみればペンギンを勧誘したとき、ペンギンは『俺が来た頃に』と言っていた気がする。
そのペンギンは昨日から風邪を引いて寝込んでいた。事実の発覚する少し前から、どうも体調が芳しくなくボンヤリしていたらしい。
寝れば治るだろうと放置し続けていたのがこのザマである。副船長としてクルー達の体調管理を気にしてくれているのは知っているが、ローとしてはそこに自分の体調管理も組み込めと思わざるを得ない。
「部屋の外で騒がれても寝れねェだろうから、お前らもあまりここに寄るな」
「アイアイ。島の話もっと聞きたかったのにねー」
「仕方ないだろ。島に着いたらお土産でも買ってきてやろうぜ」
ペンギンの部屋を後にするシャチ達に続きながら、ローは内心気になる事について考える。
先程の島の説明でペンギンは『住み心地がいい』と言ったが、それなら何故ペンギンは島を出たのだろうか。
後で聞くかと、ローは頭の片隅へ押しやった。