空白の二年間編
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夢主視点
「いらっしゃ……お、また来たねお客さん。アマネちゃーん!」
「……無理に呼ばなくても」
「いいんだよ、あの子だって楽しみにアンタのこと待ってんだから」
厨房の外からそんな声が聞こえて、シルビはお盆を抱えて飛び出す。店主に示された方を見れば、此処連日一日に一回は来てくれるキラーがテーブルへ着いていた。
どうしてこうなったと思っていいだろうか。
お前何なんだよビアガームの情報集めや自分の海賊団どうしたんだよ。なんて言ったら殺戮武人ご自慢の曲刀で襲われそうだ。返り討ちにするが。
広場のベンチで話をした結果、キラーは何が気に入ったのかシルビが扮している『アマネ』へ会いに、連日働いている酒場へと通ってくるようになったのである。一日に一回は必ず来るものだから、店主や従業員だけではなくキッド海賊団の船員数名にまで『キラーはアマネに気があるんじゃないか』と思われている始末。
違うだろうと思う。
店主や従業員はともかく、どうして仲間である船員達も分からないのか。キラーは『異性』ではなく『気安く話せる相手』を求めているというのに。
シルビは心理学など専門ではないが、『×××』のお陰で心理学どころか意識すれば相手の考えていることさえお見通しだ。頭が痛くなるし必要も無いのでそれを普段から利用する気はないが、これは利用せずとも分かるというものだろう。
『いつも有難うございます。でも、毎日来て大丈夫なのですか?』
「問題ない。それにここの料理は美味いからな」
『おだてても安くなりませんよ?』
腰に提げている帳面でそんな会話をしてみるものの、シルビの視線は仮面に覆われたキラーの顔へ向けられていた。目は口ほどに物を言うとはよく言うが、キラーの場合はその目も仮面に覆われている。
だというのに、彼の雰囲気と態度は非常に雄弁だった。
『ホントだよ。美味しいよ。でも君と話すのも楽しいよ!』
犬か。
『でも今日は言わなくちゃいけないことがあるんだ。……ああでもどうしよう』
昔ネットサーフィンをしていて『犬の言葉を代弁してみた』みたいなものを読んだ覚えがあるが、正直それに似ている。
というよりシルビがベポという、身近な動物の口調を勝手に当て嵌めてしまっているから、こんな口調になっているのだろう。そのせいでベポを相手にしている時のように甘やかしてしまいそうだ。
実際はもっと堅苦しい感じの内心だと思いたい。億越え殺戮武人の内心がこんなのでは嫌だ。
キラーと仲良くなること自体はシルビが途中から組み込んだ計画の内なのでいいのだが。それにしてもキラーの仲間の船員達もしくはユースタスは、彼のこの雰囲気と態度に何も気づいていないのかと不思議に思う。これでは心理戦など出来やしないだろう。
いいのか、彼は『殺戮武人』だから。
「いらっしゃ……お、また来たねお客さん。アマネちゃーん!」
「……無理に呼ばなくても」
「いいんだよ、あの子だって楽しみにアンタのこと待ってんだから」
厨房の外からそんな声が聞こえて、シルビはお盆を抱えて飛び出す。店主に示された方を見れば、此処連日一日に一回は来てくれるキラーがテーブルへ着いていた。
どうしてこうなったと思っていいだろうか。
お前何なんだよビアガームの情報集めや自分の海賊団どうしたんだよ。なんて言ったら殺戮武人ご自慢の曲刀で襲われそうだ。返り討ちにするが。
広場のベンチで話をした結果、キラーは何が気に入ったのかシルビが扮している『アマネ』へ会いに、連日働いている酒場へと通ってくるようになったのである。一日に一回は必ず来るものだから、店主や従業員だけではなくキッド海賊団の船員数名にまで『キラーはアマネに気があるんじゃないか』と思われている始末。
違うだろうと思う。
店主や従業員はともかく、どうして仲間である船員達も分からないのか。キラーは『異性』ではなく『気安く話せる相手』を求めているというのに。
シルビは心理学など専門ではないが、『×××』のお陰で心理学どころか意識すれば相手の考えていることさえお見通しだ。頭が痛くなるし必要も無いのでそれを普段から利用する気はないが、これは利用せずとも分かるというものだろう。
『いつも有難うございます。でも、毎日来て大丈夫なのですか?』
「問題ない。それにここの料理は美味いからな」
『おだてても安くなりませんよ?』
腰に提げている帳面でそんな会話をしてみるものの、シルビの視線は仮面に覆われたキラーの顔へ向けられていた。目は口ほどに物を言うとはよく言うが、キラーの場合はその目も仮面に覆われている。
だというのに、彼の雰囲気と態度は非常に雄弁だった。
『ホントだよ。美味しいよ。でも君と話すのも楽しいよ!』
犬か。
『でも今日は言わなくちゃいけないことがあるんだ。……ああでもどうしよう』
昔ネットサーフィンをしていて『犬の言葉を代弁してみた』みたいなものを読んだ覚えがあるが、正直それに似ている。
というよりシルビがベポという、身近な動物の口調を勝手に当て嵌めてしまっているから、こんな口調になっているのだろう。そのせいでベポを相手にしている時のように甘やかしてしまいそうだ。
実際はもっと堅苦しい感じの内心だと思いたい。億越え殺戮武人の内心がこんなのでは嫌だ。
キラーと仲良くなること自体はシルビが途中から組み込んだ計画の内なのでいいのだが。それにしてもキラーの仲間の船員達もしくはユースタスは、彼のこの雰囲気と態度に何も気づいていないのかと不思議に思う。これでは心理戦など出来やしないだろう。
いいのか、彼は『殺戮武人』だから。