空白の二年間編
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夢主視点
酒場に来る卸売り業者が、厨房で料理に振りかけられる『魔法の粉』こと麻薬も卸しに来ているのだと知って、仕事が休みの日に酒場へソイツが来たのを確認して尾行すれば、漁港の倉庫の一つにたどり着いた。
厨房の料理人達も、魅惑の調味料だと言われてそう易々と使うなと思う。麻薬が広められる前から人のいい土地柄だったのかも知れないが、時には人を疑うことだって必要だ。
でないとビアガームやシルビのような者へ軽々と騙されてしまうのだから。
騙している側のいう事ではないなと内心苦笑して、倉庫の警備の人数を確認してシルビは港から町のほうへと戻る。
さりげない程度にここ数日で親しくなった住民達と挨拶を交しながら、一度拠点にしている借家へ戻ろうと広場を横切ろうと歩いていると、広場のベンチに特徴的な男が座っているのが見えた。
派手な服にフルフェイスのマスク。どう見ても『殺戮武人』キラーである。
何やってんだアイツと思うものの、シルビと同じでビアガームへ関する情報集めだろう。しかしあんな目立つ格好で情報収集となると、むしろ敵側へ気付いてくれといっているようなものだ。
そういう作戦かもしれないなと考えたところで、シルビはふと思い付いてキラーへと歩み寄る。ベンチへ座って俯いているらしいキラーは、シルビが殺気や敵愾心を出さずに一般人の振りをして近付いたせいか、シルビの影がその身に掛かるまで気付かなかった。
大丈夫だろうか殺戮武人。
『気分でも悪いのですか?』
肩から提げていたスケッチブックへ書いて差し出す。流石に声を出せば男だとばれるだろうという懸念から、キラーの前でも演じ続ける。
「いや、そうではない」
警戒も無く答えてくれるキラーに掴みは大丈夫のようだ。
『この前お店へ来てくださった海賊の方ですよね。今日は散歩ですか?』
「散歩では……キミは喋れないのか?」
『火事で顔以外の全身に怪我をしてしまいまして、声帯も傷ついてしまったんです』
「それは、いや、失礼なことを聞いた」
本気で謝っているらしいキラーは、シルビがハートの海賊団の『ペンギン』だと気付いているどころか、男である事にも全く気付いていない。
少し傷つくが、これならイケルかと隣へと腰を降ろしてスケッチブックを捲る。
『貴方のお名前は?』
「キラーだ」
『私は、アマネといいます』
「珍しい名前だな。聞かない響きだ」
ナンパ文句かと思った。
『火傷の痕を治そうと思って、お金を貯めながらセント・ポプラへ行く途中なんです。だから故郷はもっと遠いところ』
「そうか。では何処の海なんだ?」
『北の海です』
ローと出会ったのが。
「オレは南の海だ」
『いいですね。行ったことは無いんですけれどきっと暖かいのでしょう? 私は寒いのが苦手で』
キラーはあまり喋るのが得意という訳ではない様だが、意外と優しいのかシルビのスケッチブックを介した会話に付き合ってくれる。これはありがたい誤算だ。
シルビの考えでは、キラーがそう簡単に立ち去ってしまわないように話題を次々に持ち出して、シルビとキラーが話しているところをより多くの人へ目撃させたい。そしてキラーが賞金首だと知っている『誰か』に、シルビ自身を注目させたかったのだ。
その誰かがビアガームだと尚更喜ばしい。
酒場に来る卸売り業者が、厨房で料理に振りかけられる『魔法の粉』こと麻薬も卸しに来ているのだと知って、仕事が休みの日に酒場へソイツが来たのを確認して尾行すれば、漁港の倉庫の一つにたどり着いた。
厨房の料理人達も、魅惑の調味料だと言われてそう易々と使うなと思う。麻薬が広められる前から人のいい土地柄だったのかも知れないが、時には人を疑うことだって必要だ。
でないとビアガームやシルビのような者へ軽々と騙されてしまうのだから。
騙している側のいう事ではないなと内心苦笑して、倉庫の警備の人数を確認してシルビは港から町のほうへと戻る。
さりげない程度にここ数日で親しくなった住民達と挨拶を交しながら、一度拠点にしている借家へ戻ろうと広場を横切ろうと歩いていると、広場のベンチに特徴的な男が座っているのが見えた。
派手な服にフルフェイスのマスク。どう見ても『殺戮武人』キラーである。
何やってんだアイツと思うものの、シルビと同じでビアガームへ関する情報集めだろう。しかしあんな目立つ格好で情報収集となると、むしろ敵側へ気付いてくれといっているようなものだ。
そういう作戦かもしれないなと考えたところで、シルビはふと思い付いてキラーへと歩み寄る。ベンチへ座って俯いているらしいキラーは、シルビが殺気や敵愾心を出さずに一般人の振りをして近付いたせいか、シルビの影がその身に掛かるまで気付かなかった。
大丈夫だろうか殺戮武人。
『気分でも悪いのですか?』
肩から提げていたスケッチブックへ書いて差し出す。流石に声を出せば男だとばれるだろうという懸念から、キラーの前でも演じ続ける。
「いや、そうではない」
警戒も無く答えてくれるキラーに掴みは大丈夫のようだ。
『この前お店へ来てくださった海賊の方ですよね。今日は散歩ですか?』
「散歩では……キミは喋れないのか?」
『火事で顔以外の全身に怪我をしてしまいまして、声帯も傷ついてしまったんです』
「それは、いや、失礼なことを聞いた」
本気で謝っているらしいキラーは、シルビがハートの海賊団の『ペンギン』だと気付いているどころか、男である事にも全く気付いていない。
少し傷つくが、これならイケルかと隣へと腰を降ろしてスケッチブックを捲る。
『貴方のお名前は?』
「キラーだ」
『私は、アマネといいます』
「珍しい名前だな。聞かない響きだ」
ナンパ文句かと思った。
『火傷の痕を治そうと思って、お金を貯めながらセント・ポプラへ行く途中なんです。だから故郷はもっと遠いところ』
「そうか。では何処の海なんだ?」
『北の海です』
ローと出会ったのが。
「オレは南の海だ」
『いいですね。行ったことは無いんですけれどきっと暖かいのでしょう? 私は寒いのが苦手で』
キラーはあまり喋るのが得意という訳ではない様だが、意外と優しいのかシルビのスケッチブックを介した会話に付き合ってくれる。これはありがたい誤算だ。
シルビの考えでは、キラーがそう簡単に立ち去ってしまわないように話題を次々に持ち出して、シルビとキラーが話しているところをより多くの人へ目撃させたい。そしてキラーが賞金首だと知っている『誰か』に、シルビ自身を注目させたかったのだ。
その誰かがビアガームだと尚更喜ばしい。