空白の二年間編
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夢主視点
賞金首ビアガームが潜んでいるという噂の島へ潜伏三日目。
一番ビアガームの隠れている情報の信憑性が高い町の酒場で働いていたら、『キッド海賊団』が来た件に着いて。
酒場の店主や従業員には幻覚を掛けて、今のシルビは『身体の傷を治す為に金を貯めながら旅をしている娘』である。港で働く漁師も頻繁に訪れる酒場だった為、幻覚を掛けて潜り込むのは難しいかと危惧したものだが、この町の住民は揃って人が良いのか酒場の店主と従業員へ幻覚を掛けて誤魔化せば、後は彼等が勝手に嘘の出自を広まり、漁師達はそれを信じた。
港で働く彼等の前で『船を降りた』訳でもないのにだ。
幻覚も掛けていないのにアッサリと信じすぎだろうと不審に思って、酒場の休憩時間に探りを入れてみれば、この町は『汚染』され始めているだと分かった。
胸糞の悪くなる話だ。麻薬取引を成功させる為だけに島の住民に麻薬を広めたのである。
そうすることで島民の反応を鈍くして気付き難くするのと同時に、仮に麻薬の存在に気付かれても既に麻薬が無ければ生きていけない体にされている為通報して麻薬を排除することが出来ない様にするのだ。
だが商品を自分の手元で使ってしまった時点で、ビアガームが三流の麻薬ブローカーであることを理解した。
ビアガームの手が蔓延している以上、この島のどれに麻薬が入れられているか分かったものではない。簡単に摂取させることが出来るのは食べ物だ。シルビは極力誰かから貰ったものを口にしないようにして身を守っている。
そんな矢先に島へ来た『キッド海賊団』に、シルビはさてどうしようかと首を捻る。彼等がこの島へ来たのは食料補給の為の偶然か、それともシルビと同じビアガームを狙っての必然か。
同じ海賊としてライバルではある。しかも億越えが二人。
「とはいえ死なせたら俺のプライドが汚れるよなぁ」
誰にも聞こえないように嘯いて、厨房の料理人が既に体内へ蔓延した麻薬によってそう思い込まされて『善意』でやっているのだろう魔法の粉を掛ける行為を、幻覚で騙して阻止した。それから他の給仕達と一緒に注文の品を運びに行く。シルビが持った酒瓶はキッド海賊団の船長であるユースタス・キッドのテーブルへ運ぶものだった。
「……噂はガセの様だな」
「ついでだからいいけどよ、少しツマンネェな」
ユースタスは同じ席に着いていたもう一人の億越え『殺戮武人』キラーと話をしている。内容はシルビの知る限りこの島に関する噂などビアガームのものしかない。
やはりコイツ等もビアガーム狙いか。そう思いながら酒瓶を置けば、ふとキラーが顔を上げたので目が合った。
給仕などスルーすると思っていたので思わず目を見開いてしまったが、今の姿ならシルビがハートのクルーだなどとバレはしないだろう。直ぐに目を細めて微笑み、声が出せない設定なので『ごゆっくり』と唇を動かして厨房へと戻っていく。
「ああいうのがタイプか?」
「からかうな。……どこかで見たことがある気がしただけだ」
シャボンティ諸島での事だろうかと思ったが、分かられても困る。
賞金首ビアガームが潜んでいるという噂の島へ潜伏三日目。
一番ビアガームの隠れている情報の信憑性が高い町の酒場で働いていたら、『キッド海賊団』が来た件に着いて。
酒場の店主や従業員には幻覚を掛けて、今のシルビは『身体の傷を治す為に金を貯めながら旅をしている娘』である。港で働く漁師も頻繁に訪れる酒場だった為、幻覚を掛けて潜り込むのは難しいかと危惧したものだが、この町の住民は揃って人が良いのか酒場の店主と従業員へ幻覚を掛けて誤魔化せば、後は彼等が勝手に嘘の出自を広まり、漁師達はそれを信じた。
港で働く彼等の前で『船を降りた』訳でもないのにだ。
幻覚も掛けていないのにアッサリと信じすぎだろうと不審に思って、酒場の休憩時間に探りを入れてみれば、この町は『汚染』され始めているだと分かった。
胸糞の悪くなる話だ。麻薬取引を成功させる為だけに島の住民に麻薬を広めたのである。
そうすることで島民の反応を鈍くして気付き難くするのと同時に、仮に麻薬の存在に気付かれても既に麻薬が無ければ生きていけない体にされている為通報して麻薬を排除することが出来ない様にするのだ。
だが商品を自分の手元で使ってしまった時点で、ビアガームが三流の麻薬ブローカーであることを理解した。
ビアガームの手が蔓延している以上、この島のどれに麻薬が入れられているか分かったものではない。簡単に摂取させることが出来るのは食べ物だ。シルビは極力誰かから貰ったものを口にしないようにして身を守っている。
そんな矢先に島へ来た『キッド海賊団』に、シルビはさてどうしようかと首を捻る。彼等がこの島へ来たのは食料補給の為の偶然か、それともシルビと同じビアガームを狙っての必然か。
同じ海賊としてライバルではある。しかも億越えが二人。
「とはいえ死なせたら俺のプライドが汚れるよなぁ」
誰にも聞こえないように嘯いて、厨房の料理人が既に体内へ蔓延した麻薬によってそう思い込まされて『善意』でやっているのだろう魔法の粉を掛ける行為を、幻覚で騙して阻止した。それから他の給仕達と一緒に注文の品を運びに行く。シルビが持った酒瓶はキッド海賊団の船長であるユースタス・キッドのテーブルへ運ぶものだった。
「……噂はガセの様だな」
「ついでだからいいけどよ、少しツマンネェな」
ユースタスは同じ席に着いていたもう一人の億越え『殺戮武人』キラーと話をしている。内容はシルビの知る限りこの島に関する噂などビアガームのものしかない。
やはりコイツ等もビアガーム狙いか。そう思いながら酒瓶を置けば、ふとキラーが顔を上げたので目が合った。
給仕などスルーすると思っていたので思わず目を見開いてしまったが、今の姿ならシルビがハートのクルーだなどとバレはしないだろう。直ぐに目を細めて微笑み、声が出せない設定なので『ごゆっくり』と唇を動かして厨房へと戻っていく。
「ああいうのがタイプか?」
「からかうな。……どこかで見たことがある気がしただけだ」
シャボンティ諸島での事だろうかと思ったが、分かられても困る。