原作前日常編
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青年視点
トラファルガー達と酒を飲んだ次の日、目を覚ますと妹が泣いていた。
寝ている間にトラファルガー達に何かされたのかと慌てて声を掛けたら、妹は『兄さんのせいだ!』『どうしてわたしだけ!?』『嘘吐き!』と叫びながら家を出て行った。何がなんだか分からないままとにかく妹を追いかけると、妹は領主の屋敷へと入っていき、オレが流石に領主の屋敷へまで追いかけられずにいると屋敷で働いている使用人が出てくる。
妹が入って行ったのだが知らないかと尋ねようとすると、使用人たちはオレを殴って押さえつけ、そのまま屋敷の中にある地下牢へと放り投げられた。
どうして自分が地下牢に入れられるんだ、出してくれと喚いても出してもらえない。
やがて声も枯れそうになった頃、妹が一人で地下へとやって来た。
「助けに来てくれたのか?」
「あのね兄さん。わたし領主様と結婚する事にしたわ」
「……え?」
「領主の息子が駄目なら領主と結婚すれば良かったのよ。鳥たちは何も言わなかった。不幸で惨めで貧しい生活はこれで終わるの。昨日の海賊たちが助けてくれるんだと思ってたけれど、助けてくれないって言うし、じゃあなんで来たのって話よね。あんな海賊いらない。兄さんも領主様と結婚したら、無駄だし必要ないからいらない。わたしが幸せになるんだから兄さんも幸せでしょう?」
何を言っているのか分からなかった。領主と結婚とか、オレの事をいらないとか、鳥たちとか一体何を言っているんだと聞き返したかったが、驚きすぎて声が出ない。
お前はオレの残されたたった一人の家族で、貧乏でもずっと一緒にいたというのに。
言うだけ言って妹は地下を出ていった。昨日の今日で何が起こったのか全く訳が分からず、一人の地下牢で何度も妹の言葉を繰り返して考えて、それでようやく『オレは妹に捨てられたのだ』と気付く。
今までの苦労も、妹の為の努力も、オレの我慢さえ妹にはどうでも良かったらしい。ショックでお袋の死んだ時以来の涙が出た。
そのまま泣いて泣き疲れて、時間も分からない地下牢でボンヤリとしていると声を掛けられた。トラファルガーの部下である防寒帽の男がどうやってこの屋敷へ入ってきたのかはともかく、オレに気付くと牢屋の前でしゃがんで視線を合わせるその男が、今のオレには妹より救いに思える。
「君の妹さんに謀られたよ。君はどうしてこんな場所へいるんだぁ?」
「……なんでだろうな。オレにも分かんないや」
分かっていたら、きっともっと泣き喚いていた。
トラファルガー達と酒を飲んだ次の日、目を覚ますと妹が泣いていた。
寝ている間にトラファルガー達に何かされたのかと慌てて声を掛けたら、妹は『兄さんのせいだ!』『どうしてわたしだけ!?』『嘘吐き!』と叫びながら家を出て行った。何がなんだか分からないままとにかく妹を追いかけると、妹は領主の屋敷へと入っていき、オレが流石に領主の屋敷へまで追いかけられずにいると屋敷で働いている使用人が出てくる。
妹が入って行ったのだが知らないかと尋ねようとすると、使用人たちはオレを殴って押さえつけ、そのまま屋敷の中にある地下牢へと放り投げられた。
どうして自分が地下牢に入れられるんだ、出してくれと喚いても出してもらえない。
やがて声も枯れそうになった頃、妹が一人で地下へとやって来た。
「助けに来てくれたのか?」
「あのね兄さん。わたし領主様と結婚する事にしたわ」
「……え?」
「領主の息子が駄目なら領主と結婚すれば良かったのよ。鳥たちは何も言わなかった。不幸で惨めで貧しい生活はこれで終わるの。昨日の海賊たちが助けてくれるんだと思ってたけれど、助けてくれないって言うし、じゃあなんで来たのって話よね。あんな海賊いらない。兄さんも領主様と結婚したら、無駄だし必要ないからいらない。わたしが幸せになるんだから兄さんも幸せでしょう?」
何を言っているのか分からなかった。領主と結婚とか、オレの事をいらないとか、鳥たちとか一体何を言っているんだと聞き返したかったが、驚きすぎて声が出ない。
お前はオレの残されたたった一人の家族で、貧乏でもずっと一緒にいたというのに。
言うだけ言って妹は地下を出ていった。昨日の今日で何が起こったのか全く訳が分からず、一人の地下牢で何度も妹の言葉を繰り返して考えて、それでようやく『オレは妹に捨てられたのだ』と気付く。
今までの苦労も、妹の為の努力も、オレの我慢さえ妹にはどうでも良かったらしい。ショックでお袋の死んだ時以来の涙が出た。
そのまま泣いて泣き疲れて、時間も分からない地下牢でボンヤリとしていると声を掛けられた。トラファルガーの部下である防寒帽の男がどうやってこの屋敷へ入ってきたのかはともかく、オレに気付くと牢屋の前でしゃがんで視線を合わせるその男が、今のオレには妹より救いに思える。
「君の妹さんに謀られたよ。君はどうしてこんな場所へいるんだぁ?」
「……なんでだろうな。オレにも分かんないや」
分かっていたら、きっともっと泣き喚いていた。