空白の二年間編
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夢主視点
麻薬ブローカー、『ビアガーム』懸賞金五千三百万ベリー。
大物ではないが、小物と称するにはいささか高い賞金の首を持つ男が潜伏しているという噂のある島へ、シルビは商船に乗せてもらっていた旅人のフリをして足を踏み入れる。
事の始まりはニュース・クーが新聞を運んできたついでに世間話をしていった事だろう。クルー達の休暇を兼ねて停泊予定の島から、然程遠くないところで近いうちに麻薬取引が行われるらしい。
「麻薬取引、なー。あんま関係なくね?」
「でもビアガーム賞金ついてるよ?」
「船長に比べれば“はした金”がな」
シャチの隣に座っていた船長は、そのシャチの台詞に機嫌を良くしている。まぁ自分を遠回しに褒められて、その褒めた相手が自分のクルーだったからだろう。これが他人だったらあそこまでは機嫌良くならない。
ニュース・クーの言葉が何故分かるのか、なんて疑問は今更らしいシャチ達が雑談のネタ扱いをしているのに、シルビはそんな船長の機嫌もどうでも良く、ただある単語に意識が向いたままだった。
「ペンちゃん? どうしたい?」
「ん、何でもねぇです。えっと……麻薬ブローカーなら尋問すれば製造場所も吐きますよねぇ」
「気になるのか」
「ええ、ちょっと」
船長へ聞かれて正直に答えるほど、シルビは我慢出来ないのだと悟る。
シルビは長年マフィアと関わってきた経験があった。それはこの海賊団へ加入するよりも八桁に近い年数単位で昔の話だが、それでもそれだからこそ骨身に染み付いている事もある訳で。
裏社会の法を乱すような輩は好きじゃない。
ついでに言うと麻薬を取り扱う奴等は個人的に好きではない。
無論シルビだって裏社会でそういう薬の取引が堂々と横行している理由も、そういう奴等がいてこそ成立している部分もあることは知っている。だが親しかったマフィアのファミリーが薬物をご法度にしていたからか、シルビの個人的な感想で言うなら、『麻薬は滅していい』ものだ。
思いきり私怨である。分かっていた。だが聞けば最近暴れていなかったこともあってうずうずする。
「船長」
「なんだ」
「次の島で、俺少し別行動してきていいですか」
「またか」
「休暇の間だけです」
「ちゃんと戻ってこいよ」
二度目だからか、それとも休暇だから大目に見るのか。ともあれ船長の許可が出たことに少しテンションが上がった。
「船長ありがとう! 敬愛してるぜぇ! いやっほぉおおお!」
「ペンギンがデレた!? いや壊れた!?」
なかなか失礼な事を言われた気がするが構わない。休暇の予定は二週間だからそれだけあれば余裕だろう。
麻薬ブローカー、『ビアガーム』懸賞金五千三百万ベリー。
大物ではないが、小物と称するにはいささか高い賞金の首を持つ男が潜伏しているという噂のある島へ、シルビは商船に乗せてもらっていた旅人のフリをして足を踏み入れる。
事の始まりはニュース・クーが新聞を運んできたついでに世間話をしていった事だろう。クルー達の休暇を兼ねて停泊予定の島から、然程遠くないところで近いうちに麻薬取引が行われるらしい。
「麻薬取引、なー。あんま関係なくね?」
「でもビアガーム賞金ついてるよ?」
「船長に比べれば“はした金”がな」
シャチの隣に座っていた船長は、そのシャチの台詞に機嫌を良くしている。まぁ自分を遠回しに褒められて、その褒めた相手が自分のクルーだったからだろう。これが他人だったらあそこまでは機嫌良くならない。
ニュース・クーの言葉が何故分かるのか、なんて疑問は今更らしいシャチ達が雑談のネタ扱いをしているのに、シルビはそんな船長の機嫌もどうでも良く、ただある単語に意識が向いたままだった。
「ペンちゃん? どうしたい?」
「ん、何でもねぇです。えっと……麻薬ブローカーなら尋問すれば製造場所も吐きますよねぇ」
「気になるのか」
「ええ、ちょっと」
船長へ聞かれて正直に答えるほど、シルビは我慢出来ないのだと悟る。
シルビは長年マフィアと関わってきた経験があった。それはこの海賊団へ加入するよりも八桁に近い年数単位で昔の話だが、それでもそれだからこそ骨身に染み付いている事もある訳で。
裏社会の法を乱すような輩は好きじゃない。
ついでに言うと麻薬を取り扱う奴等は個人的に好きではない。
無論シルビだって裏社会でそういう薬の取引が堂々と横行している理由も、そういう奴等がいてこそ成立している部分もあることは知っている。だが親しかったマフィアのファミリーが薬物をご法度にしていたからか、シルビの個人的な感想で言うなら、『麻薬は滅していい』ものだ。
思いきり私怨である。分かっていた。だが聞けば最近暴れていなかったこともあってうずうずする。
「船長」
「なんだ」
「次の島で、俺少し別行動してきていいですか」
「またか」
「休暇の間だけです」
「ちゃんと戻ってこいよ」
二度目だからか、それとも休暇だから大目に見るのか。ともあれ船長の許可が出たことに少しテンションが上がった。
「船長ありがとう! 敬愛してるぜぇ! いやっほぉおおお!」
「ペンギンがデレた!? いや壊れた!?」
なかなか失礼な事を言われた気がするが構わない。休暇の予定は二週間だからそれだけあれば余裕だろう。