原作前日常編
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夢主視点
作戦を立てろと言われたところで、やることは領主の屋敷の襲撃だ。町全体を襲うにはたった三人では出来なくないが人手が少ないし、かといってあの兄妹だけを狙うにしてもつまらない。
となるとやはりここは妹を陥れる様にするのが一番だろう。病弱だった事を言い訳に、兄の苦労も知らずに育った娘は辛酸を舐めるのがお似合いだ。
夜になって、潜水状態のまま領主の屋敷へ一番近い海辺である崖へと潜水艦を移動させ、そこでシルビだけが降りる。
「いいですか。くれぐれも鳥に気をつけてください。父親の死因が『鳥に襲われて』だったことを考えると、鳥に襲撃される恐れも十二分にあります」
「そっちこそ大丈夫か」
「フクロウ以外の鳥は、夜間はほぼ目が利きません。屋内へ入る分俺の方が安全でしょう。タイミングを間違えないでください」
ローとバンダナだけになった潜水艦が再び沈んでいくのを見送り、シルビは火薬樽を背負って背後へそびえる崖を登り始めた。命綱無しのロッククライミングは久しぶりだが、この高さならそう時間も掛からずに登頂出来る自信があるし、最悪第八の炎で空間移動してしまえばいい。
ローやバンダナが一緒にいないからこそ出来る手段だよなと思いつつ、崖を登り終えて周囲を確認する。昼間に『ハートの海賊団が襲撃してくる』というネタで町民を動かしたくせに、その町民の目の前で潜水艦が去っていったからか警備は全くされていない。
然程大きな町でもないからかもしれないが、それでも警戒しつつ建物へと近付き、シルビは鍵の開いている窓を見つけて潜入した。
ここには領主とその息子。妻は病死だかで居らず、あとは使用人が住んでいる筈だ。息子の嫁にと妹へ求婚していたらしいので、息子はまだ若いのだろう。
火薬樽を仕掛けるのに一番良さそうな場所を探していると、奥の部屋から遊興にふける男女の声が聞こえる。領主の家という権力を使ってのお遊びかと思いながら、下衆な覗きの趣味は無いが人数の確認の為にもその部屋を覗き込んだ。
「……ふぅん」
目にしたものへこれは予想外だったなと思いつつその場を後にして、再び屋敷内を探索する。数ヶ所仕掛けるのにいいなと思える場所を見つけ、それからこの屋敷の武器庫を探して地下へ降りた。
石畳の冷たく薄暗い通路の奥で、これまた意外なものを見つけて立ち止まる。
「石畳に寝転がるのは身体が冷えて体力の消耗が激しくなるぜぇ」
「……それも、医者の知識?」
「いやぁ、この場合経験則かなぁ」
牢屋の中で倒れていた青年は、泣き腫らしたような目でシルビを見上げた。けれども暗くてシルビのことは見えてないだろう。
作戦を立てろと言われたところで、やることは領主の屋敷の襲撃だ。町全体を襲うにはたった三人では出来なくないが人手が少ないし、かといってあの兄妹だけを狙うにしてもつまらない。
となるとやはりここは妹を陥れる様にするのが一番だろう。病弱だった事を言い訳に、兄の苦労も知らずに育った娘は辛酸を舐めるのがお似合いだ。
夜になって、潜水状態のまま領主の屋敷へ一番近い海辺である崖へと潜水艦を移動させ、そこでシルビだけが降りる。
「いいですか。くれぐれも鳥に気をつけてください。父親の死因が『鳥に襲われて』だったことを考えると、鳥に襲撃される恐れも十二分にあります」
「そっちこそ大丈夫か」
「フクロウ以外の鳥は、夜間はほぼ目が利きません。屋内へ入る分俺の方が安全でしょう。タイミングを間違えないでください」
ローとバンダナだけになった潜水艦が再び沈んでいくのを見送り、シルビは火薬樽を背負って背後へそびえる崖を登り始めた。命綱無しのロッククライミングは久しぶりだが、この高さならそう時間も掛からずに登頂出来る自信があるし、最悪第八の炎で空間移動してしまえばいい。
ローやバンダナが一緒にいないからこそ出来る手段だよなと思いつつ、崖を登り終えて周囲を確認する。昼間に『ハートの海賊団が襲撃してくる』というネタで町民を動かしたくせに、その町民の目の前で潜水艦が去っていったからか警備は全くされていない。
然程大きな町でもないからかもしれないが、それでも警戒しつつ建物へと近付き、シルビは鍵の開いている窓を見つけて潜入した。
ここには領主とその息子。妻は病死だかで居らず、あとは使用人が住んでいる筈だ。息子の嫁にと妹へ求婚していたらしいので、息子はまだ若いのだろう。
火薬樽を仕掛けるのに一番良さそうな場所を探していると、奥の部屋から遊興にふける男女の声が聞こえる。領主の家という権力を使ってのお遊びかと思いながら、下衆な覗きの趣味は無いが人数の確認の為にもその部屋を覗き込んだ。
「……ふぅん」
目にしたものへこれは予想外だったなと思いつつその場を後にして、再び屋敷内を探索する。数ヶ所仕掛けるのにいいなと思える場所を見つけ、それからこの屋敷の武器庫を探して地下へ降りた。
石畳の冷たく薄暗い通路の奥で、これまた意外なものを見つけて立ち止まる。
「石畳に寝転がるのは身体が冷えて体力の消耗が激しくなるぜぇ」
「……それも、医者の知識?」
「いやぁ、この場合経験則かなぁ」
牢屋の中で倒れていた青年は、泣き腫らしたような目でシルビを見上げた。けれども暗くてシルビのことは見えてないだろう。