空白の二年間編
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夢主視点
酒盛りを終えて、酒場の店主へ会計を清算しているとシルビが席を立った後も一人で飲んでいたホーキンスが近付いてきた。
「“逆さまの悪魔”」
「その呼び方なんか納得いかねぇんだけど。何だぁ?」
「トラファルガーが、お前を見限ったらどうするのか聞いていなかった」
視線だけで船長達が既に外へ居る事を確かめる。そんな際どい質問を聞かれていたら、シルビは絶対に答えなかった。
だがハートのクルー達は殆どが外へ出ているし、店内に残っているベポやワカメもシルビとホーキンスの話は聞いていない。
「あの人が俺を見限ったら、『ペンギン』はこの世から居なくなる。それだけだぁ」
「それでいいのか」
「それでいいも何も、それ以外をなくしたんだよ、俺は」
ホーキンスは何も言わず、ただ無表情でシルビを見つめていた。それでいいのかと理解しきれないといった様子ではあったが、ホーキンスには納得できずともシルビには納得できている。
酒場を出て岸辺へ泊めている船へ帰る道すがら、酔い冷ましに丁度いい風を受けながら歩いていると前の方で酔ったワカメがイルカに絡んでいた。
シャチが機嫌良く空想の誰かと競争しながら船へと走って行く。確実に二日酔いになるなと思われる人数を数えながら、薬を今夜のうちに調合しておくか考えていると、隣に船長が並んだ。
「手は大丈夫ですか?」
「ああ」
遅れがちな返事に眠いのかジョッキを割ったことがまだ気まずいのか良く分からない。一応酒場の店主には多めに支払いをしたので、最後は満面の笑みで機嫌よく送り出された。
ジョッキの一つくらい海賊相手に店を開いていれば頻繁に割られているだろうし、然程怒りはしないだろう。
普段であればこんなに気落ちしないだろうにと不思議に思っていると、船長がシルビを見た。
「ホーキンス屋と、何話してたんだ」
「ああ、勧誘されてただけです。断りましたけど」
「断ったのか」
「断らなくても良かったですか?」
「いや、断って当然だ。お前はオレの船の副船長だしな」
ベポが眠いのか歩きながら欠伸をしている。ジャンバールが気にしてくれているから転ぶ事はないだろうが、船へ戻ったらすぐに寝かせた方がいいかもしれない。
直ぐ隣からも欠伸を噛み殺す音がした。
「今日はちゃんと寝てくださいね」
「……ああ」
「明日も出来ればちゃんと起きてください。二日酔いになる奴用に薬作っておきますから」
「ああ」
「酒臭ぇんですけど」
「ああ」
「ああ、しか喋れねぇんですか。海に放り込みますよアンタ」
「そしたら、助けにきてくれんだろ」
「船長ですからねぇ」
もう何度目になるか分からない言葉を口にすれば、隣の雰囲気が良くなるのが分かる。海に放り込まれて、助けられるのが好きなのかと思わず冷めた視線を向けてしまった。
酒盛りを終えて、酒場の店主へ会計を清算しているとシルビが席を立った後も一人で飲んでいたホーキンスが近付いてきた。
「“逆さまの悪魔”」
「その呼び方なんか納得いかねぇんだけど。何だぁ?」
「トラファルガーが、お前を見限ったらどうするのか聞いていなかった」
視線だけで船長達が既に外へ居る事を確かめる。そんな際どい質問を聞かれていたら、シルビは絶対に答えなかった。
だがハートのクルー達は殆どが外へ出ているし、店内に残っているベポやワカメもシルビとホーキンスの話は聞いていない。
「あの人が俺を見限ったら、『ペンギン』はこの世から居なくなる。それだけだぁ」
「それでいいのか」
「それでいいも何も、それ以外をなくしたんだよ、俺は」
ホーキンスは何も言わず、ただ無表情でシルビを見つめていた。それでいいのかと理解しきれないといった様子ではあったが、ホーキンスには納得できずともシルビには納得できている。
酒場を出て岸辺へ泊めている船へ帰る道すがら、酔い冷ましに丁度いい風を受けながら歩いていると前の方で酔ったワカメがイルカに絡んでいた。
シャチが機嫌良く空想の誰かと競争しながら船へと走って行く。確実に二日酔いになるなと思われる人数を数えながら、薬を今夜のうちに調合しておくか考えていると、隣に船長が並んだ。
「手は大丈夫ですか?」
「ああ」
遅れがちな返事に眠いのかジョッキを割ったことがまだ気まずいのか良く分からない。一応酒場の店主には多めに支払いをしたので、最後は満面の笑みで機嫌よく送り出された。
ジョッキの一つくらい海賊相手に店を開いていれば頻繁に割られているだろうし、然程怒りはしないだろう。
普段であればこんなに気落ちしないだろうにと不思議に思っていると、船長がシルビを見た。
「ホーキンス屋と、何話してたんだ」
「ああ、勧誘されてただけです。断りましたけど」
「断ったのか」
「断らなくても良かったですか?」
「いや、断って当然だ。お前はオレの船の副船長だしな」
ベポが眠いのか歩きながら欠伸をしている。ジャンバールが気にしてくれているから転ぶ事はないだろうが、船へ戻ったらすぐに寝かせた方がいいかもしれない。
直ぐ隣からも欠伸を噛み殺す音がした。
「今日はちゃんと寝てくださいね」
「……ああ」
「明日も出来ればちゃんと起きてください。二日酔いになる奴用に薬作っておきますから」
「ああ」
「酒臭ぇんですけど」
「ああ」
「ああ、しか喋れねぇんですか。海に放り込みますよアンタ」
「そしたら、助けにきてくれんだろ」
「船長ですからねぇ」
もう何度目になるか分からない言葉を口にすれば、隣の雰囲気が良くなるのが分かる。海に放り込まれて、助けられるのが好きなのかと思わず冷めた視線を向けてしまった。