空白の二年間編
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シャチ視点
酒場に着いたらそこはお通夜状態だった。
シャチがそう思ったのはきっと悪くない。酒場の中に居た集団は揃ってハートのクルーとは逆の黒い外套で身を包み、更には骸骨や何かの羽や、十字架のアクセサリーをつけていたりする。そんな奴等がメソメソとしていたら、それだけで酒が不味くなりそうだ。
「ホーキンス屋のとこの船員だな」
「っ!? テメッ、『死の外科医』!」
船長の声に反応して顔を上げたのは、この集団の中では比較的明るそうな奴だった。頭は一部を残して坊主にしている奴で、比較的明るそうだと思ったのはその服装が他よりは海賊らしいからである。とはいえ裸コートのようなものだけれど。
「ホーキンス屋はどうした。とうとうあの魔術師も死んだか?」
「勝手に殺すな! 船長は、船長は……せんちょぉおおおおおう」
顔を覆って泣き出す裸コート(名前知らない)に、シャチはちょっと引いた。良く見れば他の奴等も泣いているらしく、本当に何があったのだろうかと不思議に思う。
「何なんだろうな、ペンギン……あれ、ペンギンは?」
振り返って冷静に状況判断の出来そうな我らが副船長へ話しかけようとしたものの、後ろにペンギンの姿は無かった。何処へ居るのだろうかと周囲を見回しても、ペンギンのあの防寒帽姿が見えない。
そんなシャチに気付いてかベポがシャチを見下ろす。
「どうしたの?」
「ペンギンがいないんだけど」
「え? 最後尾に……いないね」
ベポもペンギンを探して周囲を見回し始め、更にそれに気付いた船長が振り返った。
「キャプテン。ペンギンがいないよー?」
「あぁ? はぐれたか?」
「せんちょぉ……」
酒場の店主が困り果てている。店内では黒い集団、入口ではツナギの集団がたむろしていたら確かに困らざるも得ないだろう。せめてハートのクルー達が店内へ入れば違うのだろうが、あの黒い集団を見てしまうと何となくこの店で飲みたくないし、ハートもハートで一人居なくなっているのだ。
もうオレ酒飲めなくてもいいしペンギン探しに行くっていう名目でも良いから、ここから離れたいなとシャチが思っていると、ベポが何かに気付いて酒場の外へと出て通りを眺めた。
「ペンギーン! 何処行ってたの?」
手を振るベポに倣ってシャチも店の外へ出れば、ペンギンが誰かを連れて歩いてくる。その連れてきたのが誰だか分かった時、シャチは思わず声を上げてしまった。
「げっ、なんでホーキンスなんて連れて来るんだよ!?」
「なんでって、見つけたからかぁ?」
「せ、船長ー!」
酒場の中から裸コートが出てきて、ペンギンが連れて来たホーキンスの足元で泣き出す。やっぱりアイツだけ毛色が違うと思った。
酒場に着いたらそこはお通夜状態だった。
シャチがそう思ったのはきっと悪くない。酒場の中に居た集団は揃ってハートのクルーとは逆の黒い外套で身を包み、更には骸骨や何かの羽や、十字架のアクセサリーをつけていたりする。そんな奴等がメソメソとしていたら、それだけで酒が不味くなりそうだ。
「ホーキンス屋のとこの船員だな」
「っ!? テメッ、『死の外科医』!」
船長の声に反応して顔を上げたのは、この集団の中では比較的明るそうな奴だった。頭は一部を残して坊主にしている奴で、比較的明るそうだと思ったのはその服装が他よりは海賊らしいからである。とはいえ裸コートのようなものだけれど。
「ホーキンス屋はどうした。とうとうあの魔術師も死んだか?」
「勝手に殺すな! 船長は、船長は……せんちょぉおおおおおう」
顔を覆って泣き出す裸コート(名前知らない)に、シャチはちょっと引いた。良く見れば他の奴等も泣いているらしく、本当に何があったのだろうかと不思議に思う。
「何なんだろうな、ペンギン……あれ、ペンギンは?」
振り返って冷静に状況判断の出来そうな我らが副船長へ話しかけようとしたものの、後ろにペンギンの姿は無かった。何処へ居るのだろうかと周囲を見回しても、ペンギンのあの防寒帽姿が見えない。
そんなシャチに気付いてかベポがシャチを見下ろす。
「どうしたの?」
「ペンギンがいないんだけど」
「え? 最後尾に……いないね」
ベポもペンギンを探して周囲を見回し始め、更にそれに気付いた船長が振り返った。
「キャプテン。ペンギンがいないよー?」
「あぁ? はぐれたか?」
「せんちょぉ……」
酒場の店主が困り果てている。店内では黒い集団、入口ではツナギの集団がたむろしていたら確かに困らざるも得ないだろう。せめてハートのクルー達が店内へ入れば違うのだろうが、あの黒い集団を見てしまうと何となくこの店で飲みたくないし、ハートもハートで一人居なくなっているのだ。
もうオレ酒飲めなくてもいいしペンギン探しに行くっていう名目でも良いから、ここから離れたいなとシャチが思っていると、ベポが何かに気付いて酒場の外へと出て通りを眺めた。
「ペンギーン! 何処行ってたの?」
手を振るベポに倣ってシャチも店の外へ出れば、ペンギンが誰かを連れて歩いてくる。その連れてきたのが誰だか分かった時、シャチは思わず声を上げてしまった。
「げっ、なんでホーキンスなんて連れて来るんだよ!?」
「なんでって、見つけたからかぁ?」
「せ、船長ー!」
酒場の中から裸コートが出てきて、ペンギンが連れて来たホーキンスの足元で泣き出す。やっぱりアイツだけ毛色が違うと思った。