空白の二年間編
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夢主視点
頂上戦争後のルフィの治療で、慌ただしく動き回ってくれたクルー達をねぎらう為という理由で宴をやる事になり、停泊した島で皆が酒場へ向かう途中、青い蝶が視界を横切った。
久しぶりに来たなと思いつつ、酒場へ向かうクルー達から離れてシルビは足をその自分にしか見えない蝶が向かう方へと向ける。
町の郊外にある森へと羽を進めるその蝶を追い掛けて行く途中、そういえば誰にも声を掛けずに来てしまったと思い出したものの、自分も彼等もいい年をした大人だから大丈夫かと思いなおした。その『いい年をした』奴が何を蝶など追い掛けているのだと言われそうだが、こればっかりはどうしようもない。
弟が兄を追い掛けてしまうのは世の摂理だと思う。それに遅れたとしても会計にさえ間に合えばいいのだ。
蝶であれば簡単に飛び越せる茂みも、普通の人間では押し退かしたりしゃがんで避けたりしなければ進めない。それでも蝶を見失う事だけは嫌で、シルビは途中から一心になって蝶を追いかけていた。
やがてたどり着いた場所で、蝶はそこへあった切り株へと停まる。切り株というより古木が自然に倒れたものの残りなのか、折れた部分からは細い枝が伸びて若い葉が揺れていた。
シルビがその切り株へ歩み寄ろうとした時、シルビが抜けてきたのとは切り株を挟んで反対側にある茂みが揺れる。野生の動物にしては揺れが大きく、シルビは足を止めてそれを見つめた。
暫くして出てきた男にシルビは目を瞬かせ、それからチラリと切り株へ停まっている蝶を見る。男は男でシルビと蝶を交互に見つめ、やがて何かに納得したように頷いた。
「今日のオレは『“世界”と“悪魔”に出会う』という結果が出ていた」
「俺を“悪魔”って呼ぶのは別に構わねぇけど、普通初対面でそんな事言ったら駄目だろぉ」
「だがお前は“逆さまの悪魔”だな」
「話を聞けぇ」
人形の様に表情の無い、金髪の男。『魔術師』バジル・ホーキンス。
「“逆さまの悪魔”……お前は何を望んでいる?」
「アンタが会話をしてくれることかなぁ。船員はどうしたぁ?」
「酒場へ向かうと言っていた。オレも向かっている途中だったが、この方角へ向かうと……」
「『“世界”と“悪魔”に出会う』、ねぇ……。会った後はどうするつもりだったんだぁ?」
「こういう形をしているとは思わなかった。オレの船へ乗せたい」
蝶が切り株へ停まったまま羽を羽ばたかせる。
「どっちを」
「どちらもだ」
男がきっぱりと言い切るのにシルビは口を引き結んだ。どう断れば一番男を納得させて引かせられるかを考える。
とりあえず勧誘したいのなら、初対面の相手を『悪魔』などと言うべきではないと教えるのが先のような気がしたが、初対面ながらもこの男に関しては常識的な発言が逆に似合わない気がしてくるので困った。この男の船に乗る者達も、四六時中この言動に振り回されているのだとしたら、精神的にはハートのクルーより強いかもしれない。
それとも慣れれば平気なのか。
頂上戦争後のルフィの治療で、慌ただしく動き回ってくれたクルー達をねぎらう為という理由で宴をやる事になり、停泊した島で皆が酒場へ向かう途中、青い蝶が視界を横切った。
久しぶりに来たなと思いつつ、酒場へ向かうクルー達から離れてシルビは足をその自分にしか見えない蝶が向かう方へと向ける。
町の郊外にある森へと羽を進めるその蝶を追い掛けて行く途中、そういえば誰にも声を掛けずに来てしまったと思い出したものの、自分も彼等もいい年をした大人だから大丈夫かと思いなおした。その『いい年をした』奴が何を蝶など追い掛けているのだと言われそうだが、こればっかりはどうしようもない。
弟が兄を追い掛けてしまうのは世の摂理だと思う。それに遅れたとしても会計にさえ間に合えばいいのだ。
蝶であれば簡単に飛び越せる茂みも、普通の人間では押し退かしたりしゃがんで避けたりしなければ進めない。それでも蝶を見失う事だけは嫌で、シルビは途中から一心になって蝶を追いかけていた。
やがてたどり着いた場所で、蝶はそこへあった切り株へと停まる。切り株というより古木が自然に倒れたものの残りなのか、折れた部分からは細い枝が伸びて若い葉が揺れていた。
シルビがその切り株へ歩み寄ろうとした時、シルビが抜けてきたのとは切り株を挟んで反対側にある茂みが揺れる。野生の動物にしては揺れが大きく、シルビは足を止めてそれを見つめた。
暫くして出てきた男にシルビは目を瞬かせ、それからチラリと切り株へ停まっている蝶を見る。男は男でシルビと蝶を交互に見つめ、やがて何かに納得したように頷いた。
「今日のオレは『“世界”と“悪魔”に出会う』という結果が出ていた」
「俺を“悪魔”って呼ぶのは別に構わねぇけど、普通初対面でそんな事言ったら駄目だろぉ」
「だがお前は“逆さまの悪魔”だな」
「話を聞けぇ」
人形の様に表情の無い、金髪の男。『魔術師』バジル・ホーキンス。
「“逆さまの悪魔”……お前は何を望んでいる?」
「アンタが会話をしてくれることかなぁ。船員はどうしたぁ?」
「酒場へ向かうと言っていた。オレも向かっている途中だったが、この方角へ向かうと……」
「『“世界”と“悪魔”に出会う』、ねぇ……。会った後はどうするつもりだったんだぁ?」
「こういう形をしているとは思わなかった。オレの船へ乗せたい」
蝶が切り株へ停まったまま羽を羽ばたかせる。
「どっちを」
「どちらもだ」
男がきっぱりと言い切るのにシルビは口を引き結んだ。どう断れば一番男を納得させて引かせられるかを考える。
とりあえず勧誘したいのなら、初対面の相手を『悪魔』などと言うべきではないと教えるのが先のような気がしたが、初対面ながらもこの男に関しては常識的な発言が逆に似合わない気がしてくるので困った。この男の船に乗る者達も、四六時中この言動に振り回されているのだとしたら、精神的にはハートのクルーより強いかもしれない。
それとも慣れれば平気なのか。