頂上戦争編
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海兵視点
頂上戦争の舞台となった海軍本部の処刑場は、見るも無残な光景が広がっていた。
数日経った今でも海賊も海兵も関係なく死体が回収しきれておらず、瓦礫の撤去作業も進んでいない。海賊を退けたといえば聞こえはいいが、ある意味逃げられたような結末は海軍側にも盛大な損害を与え、比較的軽傷な者から一日も早い遺体の回収作業へと回されていた。
バスターコールであったなら何一つ残すことなく消滅していただろうが、今回はそうではない。よって残された瓦礫や折れたり使えなくなって捨てられたりした武器の散らばる広場を歩き回ることは、運よく足を負傷していなかったとしても少し難しかった。
海兵がそれに気付いたのは、偶然だ。
「……人?」
鍛えている海兵でも歩くのが難しい瓦礫の上を、黒衣の人が歩いている。手には青い炎が灯ったランタンを提げ、戦争の時ちょうど海賊が目指した場所である処刑台へと、真っ直ぐに。
ここへは本来海兵以外は来られない。来られたとしてもそれは海賊で、その時は海軍に捕まり処刑される時だろう。しかしながら今現在はその本来の役目を果たせる訳も無く、海兵以外が歩いているというのは考えずともおかしい事だった。
ランタンを提げた黒衣の人は、ゆっくりと立ち止まると破壊された処刑台を見上げ、次の瞬間にはその処刑台の上へと移動している。
悪魔の実の能力者かと思うと同時に、自分よりもっと戦える将校を呼びに行くべきだとも思った。持たされていた電伝虫へと手を伸ばし、誰でもいいから不法侵入者がいると報告しようとしたところで、視線を感じて処刑台を見上げる。
紫の眼が、見ていた。
深く被られた外套のフードの下。距離があって見えるはずが無いというのにハッキリと、紫色の双眸で見つめられていると認識する。
背中に冷や汗が滲み、戦争の最中に海賊と対峙した時なんて比ではない恐怖が全身を襲った。毛穴という毛穴が開き、汗が吹き出る。
「なぁ、センゴク君かガープ君は何処に居るんだぁ?」
離れているというのにすぐ耳元で聞こえた声。咄嗟に自分が知っていた元帥達が居るだろう場所を答えてしまうと、処刑台の上の紫色の目が細められた気がした。
「ありがとう。俺のことは忘れるといい」
視界の処刑台の上から人影が消える。直後立っていられずにその場に座り込んで荒い呼吸を繰り返した。今更になって身体の震えが止まらない。
一体アレはなんだったのか。そもそも“人”だったのかどうか。そんな生易しいものではないとしか思えない恐怖。
暫くしてやっと落ち着きを取り戻し、元帥達の居場所を言ってしまったことはとてもまずい事だったのではと今更ながらに思い至った。
頂上戦争の舞台となった海軍本部の処刑場は、見るも無残な光景が広がっていた。
数日経った今でも海賊も海兵も関係なく死体が回収しきれておらず、瓦礫の撤去作業も進んでいない。海賊を退けたといえば聞こえはいいが、ある意味逃げられたような結末は海軍側にも盛大な損害を与え、比較的軽傷な者から一日も早い遺体の回収作業へと回されていた。
バスターコールであったなら何一つ残すことなく消滅していただろうが、今回はそうではない。よって残された瓦礫や折れたり使えなくなって捨てられたりした武器の散らばる広場を歩き回ることは、運よく足を負傷していなかったとしても少し難しかった。
海兵がそれに気付いたのは、偶然だ。
「……人?」
鍛えている海兵でも歩くのが難しい瓦礫の上を、黒衣の人が歩いている。手には青い炎が灯ったランタンを提げ、戦争の時ちょうど海賊が目指した場所である処刑台へと、真っ直ぐに。
ここへは本来海兵以外は来られない。来られたとしてもそれは海賊で、その時は海軍に捕まり処刑される時だろう。しかしながら今現在はその本来の役目を果たせる訳も無く、海兵以外が歩いているというのは考えずともおかしい事だった。
ランタンを提げた黒衣の人は、ゆっくりと立ち止まると破壊された処刑台を見上げ、次の瞬間にはその処刑台の上へと移動している。
悪魔の実の能力者かと思うと同時に、自分よりもっと戦える将校を呼びに行くべきだとも思った。持たされていた電伝虫へと手を伸ばし、誰でもいいから不法侵入者がいると報告しようとしたところで、視線を感じて処刑台を見上げる。
紫の眼が、見ていた。
深く被られた外套のフードの下。距離があって見えるはずが無いというのにハッキリと、紫色の双眸で見つめられていると認識する。
背中に冷や汗が滲み、戦争の最中に海賊と対峙した時なんて比ではない恐怖が全身を襲った。毛穴という毛穴が開き、汗が吹き出る。
「なぁ、センゴク君かガープ君は何処に居るんだぁ?」
離れているというのにすぐ耳元で聞こえた声。咄嗟に自分が知っていた元帥達が居るだろう場所を答えてしまうと、処刑台の上の紫色の目が細められた気がした。
「ありがとう。俺のことは忘れるといい」
視界の処刑台の上から人影が消える。直後立っていられずにその場に座り込んで荒い呼吸を繰り返した。今更になって身体の震えが止まらない。
一体アレはなんだったのか。そもそも“人”だったのかどうか。そんな生易しいものではないとしか思えない恐怖。
暫くしてやっと落ち着きを取り戻し、元帥達の居場所を言ってしまったことはとてもまずい事だったのではと今更ながらに思い至った。