頂上戦争編
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夢主視点
麦藁少年が目を覚まさないままアマゾン・リリーへ潜伏して数日が経った。
交代制で三時間の仮眠を貰ったシルビは、自分の部屋へと戻るとそのままチェストへ手を掛ける。
シャボンディ諸島で着たばかりの黒い外套とランタンを取り出し、着替えて上へそれを羽織った。防寒帽を脱いで髪をまとめ、それから指を鳴らして第八の炎を灯し、しばらくその炎を見つめてから足を踏み入れる。
何処かの島の、小さく柔らかい草を踏み締める音には誰も気付かなかった。シルビの視線の先には人だかりが出来ていて、外套のフードを深く被ってランタンを提げ、シルビはその人だかりの元へと歩み寄る。
一人、また一人とシルビに気付いて振り返り、警戒を露わにしていった。シルビとしても引く訳には行かず歩調を緩める事も無く前へと、真新しい墓へと近付く。
地面へうずくまるようにして泣いていた男が一人足音に気付いたように振り返り、泣き顔を晒してシルビを見上げ、シルビを誰だか思い出すと縋るように手を伸ばしてきた。
「っ、シルビ、隊長が、エース船長がっ……」
「うん。だから来たんだぁ」
しゃがんで泣いている元スペード海賊団の男の背を撫ぜ、墓を見る。シルビが『エースの知り合い』だと理解したらしい周囲の男達が、訝しがり疑ったりしながらも墓への道を開けた。
立ち上がって墓へと歩み寄る。多くの手向けに囲まれたまだ新しい墓には、シルビが少しの間だけ世話になった船長の名前が掘り込まれていた。
「……君は、助けようと行動しなかった俺を恨むかぁ?」
答える声は無い。
胸の前で十字を切り俯いて黙祷を捧げる。それから隣に建てられた、倍以上の大きさをした墓を見上げた。
その人ともシルビは何度か会ったことがあったが、生まれ変わってからは一度も会っていない。敵ではなかったけれど仲間でもなかった。
ただ同じ海の上に居た。
「エドワード・ニューゲート。船の上の父」
続けようとした言葉を一度は飲み込んで、フードを深く被って顔を隠しながらシルビは口を開く。
「……『死告シャイタン』から、船の上の偉大なる父ニューゲートと太陽の炎を持っていたエースへ。貴方達が旅路の果てへ辿り着けるように。扉を潜り抜けられるように」
痛いほどの沈黙の中、シルビは踵を返して海へと歩き出す。そんなシルビの行動にやっと『シルビ』という第三者について行動する気になった白ひげの傘下の者達が、マルコを呼べだの行かせるなだのと話していた。
それらを全て無視してシルビは丘を砂浜へ向かって海の上へと進み、ある程度沖へ出たところで指笛を鳴らして海王類を呼ぶ。深海から上がってきた海王類の背に乗せてもらい、そのまま更に沖へと向かった。
麦藁少年が目を覚まさないままアマゾン・リリーへ潜伏して数日が経った。
交代制で三時間の仮眠を貰ったシルビは、自分の部屋へと戻るとそのままチェストへ手を掛ける。
シャボンディ諸島で着たばかりの黒い外套とランタンを取り出し、着替えて上へそれを羽織った。防寒帽を脱いで髪をまとめ、それから指を鳴らして第八の炎を灯し、しばらくその炎を見つめてから足を踏み入れる。
何処かの島の、小さく柔らかい草を踏み締める音には誰も気付かなかった。シルビの視線の先には人だかりが出来ていて、外套のフードを深く被ってランタンを提げ、シルビはその人だかりの元へと歩み寄る。
一人、また一人とシルビに気付いて振り返り、警戒を露わにしていった。シルビとしても引く訳には行かず歩調を緩める事も無く前へと、真新しい墓へと近付く。
地面へうずくまるようにして泣いていた男が一人足音に気付いたように振り返り、泣き顔を晒してシルビを見上げ、シルビを誰だか思い出すと縋るように手を伸ばしてきた。
「っ、シルビ、隊長が、エース船長がっ……」
「うん。だから来たんだぁ」
しゃがんで泣いている元スペード海賊団の男の背を撫ぜ、墓を見る。シルビが『エースの知り合い』だと理解したらしい周囲の男達が、訝しがり疑ったりしながらも墓への道を開けた。
立ち上がって墓へと歩み寄る。多くの手向けに囲まれたまだ新しい墓には、シルビが少しの間だけ世話になった船長の名前が掘り込まれていた。
「……君は、助けようと行動しなかった俺を恨むかぁ?」
答える声は無い。
胸の前で十字を切り俯いて黙祷を捧げる。それから隣に建てられた、倍以上の大きさをした墓を見上げた。
その人ともシルビは何度か会ったことがあったが、生まれ変わってからは一度も会っていない。敵ではなかったけれど仲間でもなかった。
ただ同じ海の上に居た。
「エドワード・ニューゲート。船の上の父」
続けようとした言葉を一度は飲み込んで、フードを深く被って顔を隠しながらシルビは口を開く。
「……『死告シャイタン』から、船の上の偉大なる父ニューゲートと太陽の炎を持っていたエースへ。貴方達が旅路の果てへ辿り着けるように。扉を潜り抜けられるように」
痛いほどの沈黙の中、シルビは踵を返して海へと歩き出す。そんなシルビの行動にやっと『シルビ』という第三者について行動する気になった白ひげの傘下の者達が、マルコを呼べだの行かせるなだのと話していた。
それらを全て無視してシルビは丘を砂浜へ向かって海の上へと進み、ある程度沖へ出たところで指笛を鳴らして海王類を呼ぶ。深海から上がってきた海王類の背に乗せてもらい、そのまま更に沖へと向かった。