原作前日常編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夢主視点
唸っているバンダナへ二日酔いに効く薬を調合して渡し、シルビは朝食の仕度を始める。ローはまだ起きていないが、どうせ昨日も潜水艦へ帰ってきてから医学書を読んでいて寝るのが遅かったのだろうし、何事も無ければ起こすつもりは無い。
「うー……安酒で酔うってのは駄目だねぇ」
「高い酒でも二日酔いになる程飲むのは駄目に決まってるでしょう。昨日の酒は悪すぎたのかも知れませんけど」
酒は百薬の長だが飲みすぎれば毒でもあることは万国共通だろう。この調子ではあまり食べられないだろうなと思いながら、スクランブルエッグを作っていると話しかけられた。
「妹さんとは何を話してたんだい?」
「……別に。今の貧しい暮らしが不満だという愚痴ですよ」
「可愛い子だったけれど、どうにも関わり合いになりたくない子だったね」
気付いていたのか、と振り返ればバンダナは額を押さえながら俯いている。そんなに二日酔いが酷いのなら寝ていてもいいと言いたいところだが、三人しかいない海賊船で一人しか起きていないのも万が一のことがあっては困るので仕方がない。
三人でローテーションを組み続けるのも限度がある。しかもローは船長なのであまり働かないし。
生きている上で困ることなんて誰にだって多々ある。貧しい暮らしだってシルビは経験した事があるし、あの兄妹は年頃になるまで両親が生きていただけ幸せなものだ。
なのに『今の暮らしに納得がいかない』から助けろなんて、愚かしいにも程がある。
「バンダナさん達こそ彼と話してましたけど、どうでした?」
「ああ。思ったんだけど、医者になる意欲のある子を試しに乗せるのは駄目かねぇ?」
「バンダナさんまで船長みてぇな事を。俺はそれを船長から言われると思ってましたよ」
完成した朝食を皿へ盛りテーブルへ運ぶ。案の定気持ち悪そうにしているバンダナへ、量を少なくして良かったと思いつつ自分も席へ着いた。
「意欲があっても、難しいところですよね。才能や下地になる学力も必要ですし、途中で諦めねぇ根気があるかも問題になって来るでしょう?」
「そうだよねぇ。うちらは医者を育てる慈善活動をしてる訳でもないしねぇ」
本当に様々なところでネックになるローの拘りである。
とりあえず今日はまだ出港の予定は無く、備蓄の買出しも済んでいるので自由行動だ。昨日買った本を読みながらこの島の薬になりそうな野草を散策してみるかと考える。
ローは起きてきたらまたあのあばら家へ行くだろうから、あまり行って妹と顔を合わせたくは無いが、昼食はそこで摂っても良い。
今日の予定を決めたところで、船の外に騒がしい気配を感じた。
唸っているバンダナへ二日酔いに効く薬を調合して渡し、シルビは朝食の仕度を始める。ローはまだ起きていないが、どうせ昨日も潜水艦へ帰ってきてから医学書を読んでいて寝るのが遅かったのだろうし、何事も無ければ起こすつもりは無い。
「うー……安酒で酔うってのは駄目だねぇ」
「高い酒でも二日酔いになる程飲むのは駄目に決まってるでしょう。昨日の酒は悪すぎたのかも知れませんけど」
酒は百薬の長だが飲みすぎれば毒でもあることは万国共通だろう。この調子ではあまり食べられないだろうなと思いながら、スクランブルエッグを作っていると話しかけられた。
「妹さんとは何を話してたんだい?」
「……別に。今の貧しい暮らしが不満だという愚痴ですよ」
「可愛い子だったけれど、どうにも関わり合いになりたくない子だったね」
気付いていたのか、と振り返ればバンダナは額を押さえながら俯いている。そんなに二日酔いが酷いのなら寝ていてもいいと言いたいところだが、三人しかいない海賊船で一人しか起きていないのも万が一のことがあっては困るので仕方がない。
三人でローテーションを組み続けるのも限度がある。しかもローは船長なのであまり働かないし。
生きている上で困ることなんて誰にだって多々ある。貧しい暮らしだってシルビは経験した事があるし、あの兄妹は年頃になるまで両親が生きていただけ幸せなものだ。
なのに『今の暮らしに納得がいかない』から助けろなんて、愚かしいにも程がある。
「バンダナさん達こそ彼と話してましたけど、どうでした?」
「ああ。思ったんだけど、医者になる意欲のある子を試しに乗せるのは駄目かねぇ?」
「バンダナさんまで船長みてぇな事を。俺はそれを船長から言われると思ってましたよ」
完成した朝食を皿へ盛りテーブルへ運ぶ。案の定気持ち悪そうにしているバンダナへ、量を少なくして良かったと思いつつ自分も席へ着いた。
「意欲があっても、難しいところですよね。才能や下地になる学力も必要ですし、途中で諦めねぇ根気があるかも問題になって来るでしょう?」
「そうだよねぇ。うちらは医者を育てる慈善活動をしてる訳でもないしねぇ」
本当に様々なところでネックになるローの拘りである。
とりあえず今日はまだ出港の予定は無く、備蓄の買出しも済んでいるので自由行動だ。昨日買った本を読みながらこの島の薬になりそうな野草を散策してみるかと考える。
ローは起きてきたらまたあのあばら家へ行くだろうから、あまり行って妹と顔を合わせたくは無いが、昼食はそこで摂っても良い。
今日の予定を決めたところで、船の外に騒がしい気配を感じた。