頂上戦争編
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ジャンバール視点
海軍本部で行なわれるという『火拳のエース』の処刑にハートの海賊団も乗り込むと聞いた。それがどの程度なのかは知らないが、簡単に予想するだけでも苛烈だろう戦争の渦中へ飛び込むことになるとあって、クルー達は準備に大わらわだ。
ジャンバールも新入りだとかそういうことに関わらず、準備の為に忙しく走り回される。
その最中にふと見かけたペンギンは、クルー達が忙しくしているというのに珍しくぼんやりとしていた。
「どうした?」
「ジャンバールかぁ。ちょっとナーバスになってるだけだぁ」
甲板で手摺りに手を置いて立っていたペンギンは、そう言って振り返る。防寒帽のせいでその目元は見えないが、口元は一応笑っていた。
「不安なのか?」
「何が」
「海軍本部へ行くことがだ。危険なのは奴隷生活が長かったオレでも分かるぞ」
「うーん。それは正直どうにでもなるんだよ。白ひげが大暴れしようが海軍大将が大暴れしようが、目下の俺の役目はこの船とクルーと船長を守ることだしぃ」
「じゃあ……」
「でもさぁ、出来ればエースを助けてぇとも思ってる自分が、嫌で」
ペンギンは火拳のエースのことを、まるで知り合いであるかのように呼ぶ。
「アイツの息子っていうのもあるけど、この船に乗る前に少しの間一緒だったっていうのもあるし、俺と彼には直接的にも間接的にも縁がある。だからきっと助けてもいいんだろうが、でも助ける為には俺はきっと今のままじゃなくてある程度本気を出さなけりゃ駄目で、そしたらもしかしたらロー達に嫌われるのかなぁとか、思ってんだぁ」
本気と聞いて人間オークションから逃げる途中の出来事を思い出したが、ペンギンはもしかしてあれが本気では無かったのだろうか。だとしたら彼は船長よりも強いことになるのだが、クルー達から聞いた話では彼は賞金首ではないらしい。
あの時のことは海軍に見られていたので、この処刑騒ぎが終わった後にはペンギンの手配書が出るかも知れないが、それまで世間では『賞金無し』だ。
「トラファルガーに嫌われるのはイヤか」
「船長だけじゃなくジャンバール達からも嫌われたくねぇよ。だから船長が何も聞いてこねぇことに甘えてもいる」
「ならば今更何かをしたところで、トラファルガーは聞かないと思うぞ」
「それが、酷く重い罪であっても?」
地面から湧き出たシャボン玉が弾ける。
「……ごめん。ジャンバールに愚痴っても困るだけだよなぁ。いつか言おうとは思ってるから、それまでは何をしてもあまり気にしねぇでくれぇ」
「そうか。ならばそうしよう」
「ありがとう」
船内からペンギンを呼ぶ声が聞こえて、ペンギンがジャンバールの横をすり抜けて船内へと入っていった。
海軍本部で行なわれるという『火拳のエース』の処刑にハートの海賊団も乗り込むと聞いた。それがどの程度なのかは知らないが、簡単に予想するだけでも苛烈だろう戦争の渦中へ飛び込むことになるとあって、クルー達は準備に大わらわだ。
ジャンバールも新入りだとかそういうことに関わらず、準備の為に忙しく走り回される。
その最中にふと見かけたペンギンは、クルー達が忙しくしているというのに珍しくぼんやりとしていた。
「どうした?」
「ジャンバールかぁ。ちょっとナーバスになってるだけだぁ」
甲板で手摺りに手を置いて立っていたペンギンは、そう言って振り返る。防寒帽のせいでその目元は見えないが、口元は一応笑っていた。
「不安なのか?」
「何が」
「海軍本部へ行くことがだ。危険なのは奴隷生活が長かったオレでも分かるぞ」
「うーん。それは正直どうにでもなるんだよ。白ひげが大暴れしようが海軍大将が大暴れしようが、目下の俺の役目はこの船とクルーと船長を守ることだしぃ」
「じゃあ……」
「でもさぁ、出来ればエースを助けてぇとも思ってる自分が、嫌で」
ペンギンは火拳のエースのことを、まるで知り合いであるかのように呼ぶ。
「アイツの息子っていうのもあるけど、この船に乗る前に少しの間一緒だったっていうのもあるし、俺と彼には直接的にも間接的にも縁がある。だからきっと助けてもいいんだろうが、でも助ける為には俺はきっと今のままじゃなくてある程度本気を出さなけりゃ駄目で、そしたらもしかしたらロー達に嫌われるのかなぁとか、思ってんだぁ」
本気と聞いて人間オークションから逃げる途中の出来事を思い出したが、ペンギンはもしかしてあれが本気では無かったのだろうか。だとしたら彼は船長よりも強いことになるのだが、クルー達から聞いた話では彼は賞金首ではないらしい。
あの時のことは海軍に見られていたので、この処刑騒ぎが終わった後にはペンギンの手配書が出るかも知れないが、それまで世間では『賞金無し』だ。
「トラファルガーに嫌われるのはイヤか」
「船長だけじゃなくジャンバール達からも嫌われたくねぇよ。だから船長が何も聞いてこねぇことに甘えてもいる」
「ならば今更何かをしたところで、トラファルガーは聞かないと思うぞ」
「それが、酷く重い罪であっても?」
地面から湧き出たシャボン玉が弾ける。
「……ごめん。ジャンバールに愚痴っても困るだけだよなぁ。いつか言おうとは思ってるから、それまでは何をしてもあまり気にしねぇでくれぇ」
「そうか。ならばそうしよう」
「ありがとう」
船内からペンギンを呼ぶ声が聞こえて、ペンギンがジャンバールの横をすり抜けて船内へと入っていった。