頂上戦争編
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ロー視点
「でも火拳のエースは『Dの一族』だな」
そう言った直後のペンギンの表情は読めない。
ペンギンが『Dの一族』について何かを知っている節があることには、以前から気付いていた。それもペンギンの能力と同じく話すことが無いから黙認していたが、その『Dの一族』が処刑されるという状況に陥っても黙り込んでいるのには少し業が煮える。
何かを知っているくせに動かないのなら、ペンギンは『ロー』がそうなっても動かないのか。
防寒帽の下で目を伏せたらしいペンギンにシャチやワカメが戸惑っている。
「『Dの一族』だろうが何だろうが、今の俺は『ハート海賊団副船長』であり――トラファルガー・ローの物です。それが一人で好き勝手に動くのは、貴方の沽券に関わる」
「助けには行きたいのか」
「……会いには、行きてぇです」
言葉を選んだ言い方だ。
「じゃあオレが行くって言ったら行くのか」
「それが貴方の考えなら」
「なら行くぞ」
「え?」
予想していなかったとばかりに顔を上げたのはペンギンだけでは無く、バンダナも驚きすぎて持っていた煙草を落としかけていた。火は点いていないのでいいが、もし点いていたら火事になる。
「い、行くって、火拳の処刑にですかい?」
「ああ」
「処刑場って、海軍本部……ですよね?」
「そうらしいな。詳しい位置は海図を見ねェと分からねェが」
「大将とかたくさん居ますよ!?」
「馬鹿、大将は三人だけだろ。海兵がたくさん居んだよ!」
「同じだって! しかも白ひげまで」
騒ぎ出すクルー達の声を無視して、ペンギンだけが真っ直ぐにローを見返していた。その手元にあるメモ用紙には読めない文字で何かが書き連ねてある。
おそらく島から手に入れた情報へ関する事なのだろうが、ローには読めなかったし一つとして意味が分からなかった。
ローにだって分からないことはたくさんある。かつての恩人の言葉の真意も、ペンギンがそこまでローに従う理由も。
ただペンギンに関してはローが船長として命令しなければ、きっといなくなりはしないと。
「助けるつもりですか」
「ああ」
『Dの一族』であるのなら助けてみようと思う考えを肯定すれば、ペンギンはどうしようもないとばかりに深く溜息を吐いた。
「……貴方のそういうところ、好きですよ」
「告白か。熱烈だな」
「そりゃどうもぉ。熱烈さは海軍の本拠地へ突っ込む貴方には負けます」
防寒帽を少しずらしその影から見えたペンギンの眼は、しかしそれでも到底覚悟を決めたとは思えない。
不安なら言ってくれれば聞いてはやるのに、と思う。
「でも火拳のエースは『Dの一族』だな」
そう言った直後のペンギンの表情は読めない。
ペンギンが『Dの一族』について何かを知っている節があることには、以前から気付いていた。それもペンギンの能力と同じく話すことが無いから黙認していたが、その『Dの一族』が処刑されるという状況に陥っても黙り込んでいるのには少し業が煮える。
何かを知っているくせに動かないのなら、ペンギンは『ロー』がそうなっても動かないのか。
防寒帽の下で目を伏せたらしいペンギンにシャチやワカメが戸惑っている。
「『Dの一族』だろうが何だろうが、今の俺は『ハート海賊団副船長』であり――トラファルガー・ローの物です。それが一人で好き勝手に動くのは、貴方の沽券に関わる」
「助けには行きたいのか」
「……会いには、行きてぇです」
言葉を選んだ言い方だ。
「じゃあオレが行くって言ったら行くのか」
「それが貴方の考えなら」
「なら行くぞ」
「え?」
予想していなかったとばかりに顔を上げたのはペンギンだけでは無く、バンダナも驚きすぎて持っていた煙草を落としかけていた。火は点いていないのでいいが、もし点いていたら火事になる。
「い、行くって、火拳の処刑にですかい?」
「ああ」
「処刑場って、海軍本部……ですよね?」
「そうらしいな。詳しい位置は海図を見ねェと分からねェが」
「大将とかたくさん居ますよ!?」
「馬鹿、大将は三人だけだろ。海兵がたくさん居んだよ!」
「同じだって! しかも白ひげまで」
騒ぎ出すクルー達の声を無視して、ペンギンだけが真っ直ぐにローを見返していた。その手元にあるメモ用紙には読めない文字で何かが書き連ねてある。
おそらく島から手に入れた情報へ関する事なのだろうが、ローには読めなかったし一つとして意味が分からなかった。
ローにだって分からないことはたくさんある。かつての恩人の言葉の真意も、ペンギンがそこまでローに従う理由も。
ただペンギンに関してはローが船長として命令しなければ、きっといなくなりはしないと。
「助けるつもりですか」
「ああ」
『Dの一族』であるのなら助けてみようと思う考えを肯定すれば、ペンギンはどうしようもないとばかりに深く溜息を吐いた。
「……貴方のそういうところ、好きですよ」
「告白か。熱烈だな」
「そりゃどうもぉ。熱烈さは海軍の本拠地へ突っ込む貴方には負けます」
防寒帽を少しずらしその影から見えたペンギンの眼は、しかしそれでも到底覚悟を決めたとは思えない。
不安なら言ってくれれば聞いてはやるのに、と思う。