シャボンディ諸島編
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夢主視点
「この船に乗ってるクルーの殆どは、医療従事者なんだぁ」
「医療従事者」
「ベポはあの見た目でもまだ子供だから医者になる前に読み書きだし、シャチはなかなか勉強が進んでねぇけど、あの二人以外は何かしらの専門知識を持ってる」
「ペンギンもか」
「俺は薬剤師。まぁ俺の場合船長と同じで総合的に知識を持ってはいる。鍼灸とかも出来るんだぁ」
鍼灸、というのが何なのか分からないのか、ジャンバールが無言で不思議そうにしている。分からなかったら訊いてくれてもいいのにと思うのだが、奴隷生活が長かったせいで自己主張が少し不得手になっているのかも知れない。奴隷を『作る』際にはまず相手の尊厳や感情を奪う場合もある。
「寒くねぇ?」
「大丈夫だ」
薄汚れてボロボロだった服を脱ぎ、上半身を晒しているジャンバールの背へ手を這わせた。
先ほどまではその背中へ残る焼印をどうするか話し合っていたので船長が居たが、話し合いは回復力がどのくらい戻るかを確かめてからだと結論が出たので、船長は出て行ったのである。残されたシルビは新しく作るツナギのサイズの為に、ジャンバールの体型を測らせてもらっていた。
そのついでにこっそり、左手へ灯した黄色い晴の炎をジャンバールの背中へ押し当てている。
死ぬ気の炎の中でも『活性』の特質を持つ晴の炎は、細胞の活性化を図り怪我を治すなどといった回復幇助が出来るものだった。細胞の活性化。つまり再生能力の活性化だ。
再生能力を活性化することで回復力を高め、小さな怪我ならあっという間に治すことが出来るそれも、ジャンバールの背に焼き付く“汚れ”には多少手間が掛かる。もう一つの能力である『虹色の光』を使えば一瞬だろうが、それをやってしまえば流石に何をしたとシルビが追求されるだろう。
ある程度薄くなったように感じられた頃を見計らって炎を消した。測るのに使っていたメジャーもまとめて測った記録をメモする。
新しい服を手に入れるまでは着る事になってしまう服へ腕を通しながら、ジャンバールがシルビを振り返った。
「オレも医学知識を身に着けるべきか?」
「将来的には勧めるかも知れねぇけど、俺としてはまずジャンバールが背筋を伸ばして座るようになれる事を推奨する」
意味が分からない、といった様子のジャンバールは、座る時背中を丸めてなるべく小さくなっていようとしている。まるで誰かの視線へ捕まらないように、もしくは巨体である事を貶されないように。
けれどもこの船の上でそれを行なう者はいない。いたとしたらシルビが許さないだろう。船長が乗せた時点で、ジャンバールもシルビの庇護の対象だ。
だから彼は堂々と座るべきである。
「背中の刺青は、姿勢良く座ってた方が綺麗に見えるよ」
「この船に乗ってるクルーの殆どは、医療従事者なんだぁ」
「医療従事者」
「ベポはあの見た目でもまだ子供だから医者になる前に読み書きだし、シャチはなかなか勉強が進んでねぇけど、あの二人以外は何かしらの専門知識を持ってる」
「ペンギンもか」
「俺は薬剤師。まぁ俺の場合船長と同じで総合的に知識を持ってはいる。鍼灸とかも出来るんだぁ」
鍼灸、というのが何なのか分からないのか、ジャンバールが無言で不思議そうにしている。分からなかったら訊いてくれてもいいのにと思うのだが、奴隷生活が長かったせいで自己主張が少し不得手になっているのかも知れない。奴隷を『作る』際にはまず相手の尊厳や感情を奪う場合もある。
「寒くねぇ?」
「大丈夫だ」
薄汚れてボロボロだった服を脱ぎ、上半身を晒しているジャンバールの背へ手を這わせた。
先ほどまではその背中へ残る焼印をどうするか話し合っていたので船長が居たが、話し合いは回復力がどのくらい戻るかを確かめてからだと結論が出たので、船長は出て行ったのである。残されたシルビは新しく作るツナギのサイズの為に、ジャンバールの体型を測らせてもらっていた。
そのついでにこっそり、左手へ灯した黄色い晴の炎をジャンバールの背中へ押し当てている。
死ぬ気の炎の中でも『活性』の特質を持つ晴の炎は、細胞の活性化を図り怪我を治すなどといった回復幇助が出来るものだった。細胞の活性化。つまり再生能力の活性化だ。
再生能力を活性化することで回復力を高め、小さな怪我ならあっという間に治すことが出来るそれも、ジャンバールの背に焼き付く“汚れ”には多少手間が掛かる。もう一つの能力である『虹色の光』を使えば一瞬だろうが、それをやってしまえば流石に何をしたとシルビが追求されるだろう。
ある程度薄くなったように感じられた頃を見計らって炎を消した。測るのに使っていたメジャーもまとめて測った記録をメモする。
新しい服を手に入れるまでは着る事になってしまう服へ腕を通しながら、ジャンバールがシルビを振り返った。
「オレも医学知識を身に着けるべきか?」
「将来的には勧めるかも知れねぇけど、俺としてはまずジャンバールが背筋を伸ばして座るようになれる事を推奨する」
意味が分からない、といった様子のジャンバールは、座る時背中を丸めてなるべく小さくなっていようとしている。まるで誰かの視線へ捕まらないように、もしくは巨体である事を貶されないように。
けれどもこの船の上でそれを行なう者はいない。いたとしたらシルビが許さないだろう。船長が乗せた時点で、ジャンバールもシルビの庇護の対象だ。
だから彼は堂々と座るべきである。
「背中の刺青は、姿勢良く座ってた方が綺麗に見えるよ」