シャボンディ諸島編
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ロー視点
新しく勧誘したジャンバールの背には、奴隷だった証明が肌に焼き付いていた。
「噂には聞いちゃいたが、これが“竜の蹄”か」
言葉通り肌へ焼き付けられた奴隷の印。触ればジャンバールは痛がりはしなかったものの、僅かに肩を震わせる。全く天竜人の奴等も嫌なものを押し付けるものだと思いこそすれ、奴等が人を人と思っていないことを思い出して嫌悪感が浮かんだ。
ジャンバールが巨人だったからかそれとも他の者も同じなのか、焼印は肌に強く押し付けられたらしく表皮を切除すればいいとかそういう問題ではない。
「皮膚を剥がしますか?」
「腕とは違うんだぞ」
だからペンギンの提案は最初から否定する。図案が見たいからという理由だけで腕の刺青を剥がそうとした前科のある副船長は、冗談だと言ってローと同じ様にジャンバールの背の焼印へと触れた。
出来ればあまり見られたくは無いからと、医務室に居るのは三人だけだ。奴隷だった証など確かにあまり見られたい物ではないだろう。
だがこれからは奴隷ではなくなり、ハートのクルーとして海賊になるのだ。こんなものを残しておくのはハートの船長として業腹である。
「人体の再生能力の限界を利用したモノですから、健康になれば少しは薄れるんだけど、時間が掛かるんだよなぁ」
「そうなのか?」
「奴隷相手に質の良い食事をさせねぇだろぉ。だから尚更跡に残る。クルーに不健康な食事をさせるつもりはねぇし、薬で新陳代謝や再生能力を上げる事も出来る」
「つまり時間は掛かるが今すぐ手を掛けずとも薄くはなる……。ジャンバール、どうする?」
選択はジャンバール本人にさせる為に話を振れば、背中を丸めて座っていたジャンバールが肩越しにローを見た。
人間オークションの店前でも、ジャンバールは同じ様に座っていたのだ。だかきっとそれは、長い奴隷生活で身に染み付いてしまった癖で、本来ならもっと堂々と座れるはずだ。
奴隷生活はジャンバールからそういった些細な事からも誇りを奪っていた。
だが今のジャンバールは誇りを持つことが許されている。
「船長の、いいようにしてくれ」
その返事にペンギンがローを見る。
主体性の無い命令を待つような言葉にも思えるそれが、しかしジャンバールの『自由』を示す言葉だと誰が気付かずにいられるか。
「暫くは食事療法で薄くすることを目指すか。ハートのジョリーロジャーはそれからでも遅くねえだろ。そうだな、ペンギン」
「アイアイ、船長」
新しく勧誘したジャンバールの背には、奴隷だった証明が肌に焼き付いていた。
「噂には聞いちゃいたが、これが“竜の蹄”か」
言葉通り肌へ焼き付けられた奴隷の印。触ればジャンバールは痛がりはしなかったものの、僅かに肩を震わせる。全く天竜人の奴等も嫌なものを押し付けるものだと思いこそすれ、奴等が人を人と思っていないことを思い出して嫌悪感が浮かんだ。
ジャンバールが巨人だったからかそれとも他の者も同じなのか、焼印は肌に強く押し付けられたらしく表皮を切除すればいいとかそういう問題ではない。
「皮膚を剥がしますか?」
「腕とは違うんだぞ」
だからペンギンの提案は最初から否定する。図案が見たいからという理由だけで腕の刺青を剥がそうとした前科のある副船長は、冗談だと言ってローと同じ様にジャンバールの背の焼印へと触れた。
出来ればあまり見られたくは無いからと、医務室に居るのは三人だけだ。奴隷だった証など確かにあまり見られたい物ではないだろう。
だがこれからは奴隷ではなくなり、ハートのクルーとして海賊になるのだ。こんなものを残しておくのはハートの船長として業腹である。
「人体の再生能力の限界を利用したモノですから、健康になれば少しは薄れるんだけど、時間が掛かるんだよなぁ」
「そうなのか?」
「奴隷相手に質の良い食事をさせねぇだろぉ。だから尚更跡に残る。クルーに不健康な食事をさせるつもりはねぇし、薬で新陳代謝や再生能力を上げる事も出来る」
「つまり時間は掛かるが今すぐ手を掛けずとも薄くはなる……。ジャンバール、どうする?」
選択はジャンバール本人にさせる為に話を振れば、背中を丸めて座っていたジャンバールが肩越しにローを見た。
人間オークションの店前でも、ジャンバールは同じ様に座っていたのだ。だかきっとそれは、長い奴隷生活で身に染み付いてしまった癖で、本来ならもっと堂々と座れるはずだ。
奴隷生活はジャンバールからそういった些細な事からも誇りを奪っていた。
だが今のジャンバールは誇りを持つことが許されている。
「船長の、いいようにしてくれ」
その返事にペンギンがローを見る。
主体性の無い命令を待つような言葉にも思えるそれが、しかしジャンバールの『自由』を示す言葉だと誰が気付かずにいられるか。
「暫くは食事療法で薄くすることを目指すか。ハートのジョリーロジャーはそれからでも遅くねえだろ。そうだな、ペンギン」
「アイアイ、船長」