シャボンディ諸島編
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ワカメ視点
「ペンギンは、母親のようだな」
ジャンバールの言葉にワカメは時が止まった気がした。ペンギンは面倒見がいい上に世話好きなのでハートの海賊団内でこっそりと保護者扱いされているが、お母さんと呼ぶと怒る。
そもそもにして男なのにお母さんと呼ばれて喜ぶ奴が居るだろうか、いやいないだろうという話でもあるが。
怒らないにしても言ったクルーにハリセンがお見舞いされるとか、機嫌が悪くなるといった行動を取るのが常だ。言った相手が船長でも躊躇も何も無いそれに、ジャンバールもクルーになって早々その洗礼を受けるのかと意味も無く固唾を呑む。
だがペンギンが何を言うよりも先に、再びジャンバールが口を開いた。
「男に母親の様だというのは失礼だったな。すまない」
「……他の奴等にもよく言われるけど、俺はそんなに母親みてぇかなぁ」
「まだクルーになって短いが、皆がお前を頼りにしているのは良く分かった。見守るのが得意なんだろうな」
そう言ってぎこちなく笑みを浮かべるジャンバールに、ペンギンは怒らない。むしろ率直に言われて戸惑っているような雰囲気でさえある。
「お前の母親はそういう人だったのか?」
「どうしてそう思うんだぁ?」
「単なるイメージだが、父親然と言うよりは母親然としている。……オレも自分の母親を見たのなんて何十年も前が最後だが、母親の影響を受けたのかと思ったんだ」
ペンギンが微笑んだ。
「俺を通してでもあの人を褒められるのは嬉しいぜぇ。でも早世だったから、あんまり影響は受けてねぇかもなぁ」
「そうなのか」
朗らかに話を続ける二人は、周りのワカメ達が驚いている事に気付いているだろうか。
普段であれば怒るだろうペンギンが怒らずむしろ嬉しげな態度を取り、更には穏やかに談笑を続けている。それがどんなに驚くべき事なのか知らないジャンバールは、気安くペンギンとの会話を楽しんでいるようだった。
シャチとイルカがこそこそとワカメの傍に寄ってきて耳打ちする。
「……怒らなかったな」
「つまりペンギンに母親の話を振れば怒られないのか」
「ジャンバールがまだ新入りだからかも知れないよ?」
「うーん、検証しないと分かんねー……」
今後怒らせない為の作戦会議を小声で行ないつつペンギンとジャンバールを眺めていれば、船長がやってきた。
「楽しそうだな。何の話だ?」
「もうすぐ上陸出来るのでツナギのサイズの話です」
「ああ……」
「何か言いたげですね。どうしました?」
「なんか、子供の服を買う母おゃッ――」
盛大に良い音をさせて船長がハリセンに打たれる。驚いているジャンバールを振り返り、船長を倒したペンギンは飄々と『忠告』していた。
「念の為言っておくけど、母親っぽくても冗談では『お母さん』とかって呼ばねぇでくれぇ。俺は年上の息子は欲しくねぇから」
「……分かった」
「あとこうして船長やクルーを叩く時があるけど、気にしなくていいからなぁ」
「覚えておこう」
ニッコリと微笑むペンギンに対し、ジャンバールもいつか叩かれるのかと思うとワカメ達は今から同情せざるを得ない。
ハートのクルーになった者の定めだと、諦めるしかなかった。
「ペンギンは、母親のようだな」
ジャンバールの言葉にワカメは時が止まった気がした。ペンギンは面倒見がいい上に世話好きなのでハートの海賊団内でこっそりと保護者扱いされているが、お母さんと呼ぶと怒る。
そもそもにして男なのにお母さんと呼ばれて喜ぶ奴が居るだろうか、いやいないだろうという話でもあるが。
怒らないにしても言ったクルーにハリセンがお見舞いされるとか、機嫌が悪くなるといった行動を取るのが常だ。言った相手が船長でも躊躇も何も無いそれに、ジャンバールもクルーになって早々その洗礼を受けるのかと意味も無く固唾を呑む。
だがペンギンが何を言うよりも先に、再びジャンバールが口を開いた。
「男に母親の様だというのは失礼だったな。すまない」
「……他の奴等にもよく言われるけど、俺はそんなに母親みてぇかなぁ」
「まだクルーになって短いが、皆がお前を頼りにしているのは良く分かった。見守るのが得意なんだろうな」
そう言ってぎこちなく笑みを浮かべるジャンバールに、ペンギンは怒らない。むしろ率直に言われて戸惑っているような雰囲気でさえある。
「お前の母親はそういう人だったのか?」
「どうしてそう思うんだぁ?」
「単なるイメージだが、父親然と言うよりは母親然としている。……オレも自分の母親を見たのなんて何十年も前が最後だが、母親の影響を受けたのかと思ったんだ」
ペンギンが微笑んだ。
「俺を通してでもあの人を褒められるのは嬉しいぜぇ。でも早世だったから、あんまり影響は受けてねぇかもなぁ」
「そうなのか」
朗らかに話を続ける二人は、周りのワカメ達が驚いている事に気付いているだろうか。
普段であれば怒るだろうペンギンが怒らずむしろ嬉しげな態度を取り、更には穏やかに談笑を続けている。それがどんなに驚くべき事なのか知らないジャンバールは、気安くペンギンとの会話を楽しんでいるようだった。
シャチとイルカがこそこそとワカメの傍に寄ってきて耳打ちする。
「……怒らなかったな」
「つまりペンギンに母親の話を振れば怒られないのか」
「ジャンバールがまだ新入りだからかも知れないよ?」
「うーん、検証しないと分かんねー……」
今後怒らせない為の作戦会議を小声で行ないつつペンギンとジャンバールを眺めていれば、船長がやってきた。
「楽しそうだな。何の話だ?」
「もうすぐ上陸出来るのでツナギのサイズの話です」
「ああ……」
「何か言いたげですね。どうしました?」
「なんか、子供の服を買う母おゃッ――」
盛大に良い音をさせて船長がハリセンに打たれる。驚いているジャンバールを振り返り、船長を倒したペンギンは飄々と『忠告』していた。
「念の為言っておくけど、母親っぽくても冗談では『お母さん』とかって呼ばねぇでくれぇ。俺は年上の息子は欲しくねぇから」
「……分かった」
「あとこうして船長やクルーを叩く時があるけど、気にしなくていいからなぁ」
「覚えておこう」
ニッコリと微笑むペンギンに対し、ジャンバールもいつか叩かれるのかと思うとワカメ達は今から同情せざるを得ない。
ハートのクルーになった者の定めだと、諦めるしかなかった。