シャボンディ諸島編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夢主視点
船長にやっと追いついたと思えば、船長の傍にはキッド海賊団の面々も居て、その視線の先にはクマ耳のついた帽子を被った巨体の男が立っていた。
「……バーソロミュー?」
かつて故郷の島で会った事のあるその男の名を呟けば、聞こえたらしいジャンバールがシルビを振り返る。
バーソロミュー・クマ。現在は王下七武海の一人だが、元は革命軍に居た男である。
彼がどうして革命軍から海軍の手先になったのかは知らないが、彼ならシルビの事を思えているはずだ。運が良ければ見逃してさえくれるだろう。何せ彼は朗らかで優しい性格をしている。
そう考えてクマを睨んでいる船長へ先に声を掛けようとして、クマの開かれた口からビームが出た事に驚いた。
「はぁあああああ!? ビーム!? 何アイツビーム!? いつの間にビーム出せるようになってんだぁああ!?」
「クマを知ってるような口振りだな。ペンギン」
「昔の知り合いですよ。でも、そん時は口からビーム出すような奴じゃ……」
「フツーはビーム出さない。出さないからな!?」
「ゴメン。俺の知り合い普通なのが少ねぇんだよ」
そんな事を話している間にもクマが無言で歩み寄ってくる。キッド海賊団の面々が身構えるのに対し、船長が不敵に笑ってさっきの仕返しだとばかりにユースタスへ話しかけていた。
無駄話をしている間にもクマが襲ってくるだろうに船長は気にしないのか。そうでなくとも海兵の追っ手が来るだろう。もういっその事、一人で先にクマの動きを封じてやろうかと思った。
多分では無く確実にシルビならそれが出来る。クマは悪魔の実の能力者だがそれでしり込みしなければならない様な相手ではないし、そもそも『世界政府の宿敵』であるシルビにたかが七武海が敵うなど。
そんな事を考えていると船長が鋭く名前を呼んできた。シャチやベポが威勢良くクマへと襲い掛かるのに、シルビも遅れて走り出す。
ベポが掛け声と共に繰り出す攻撃は、ベポの今の実力では仕方が無いとはいえ悉く避けられていた。辛うじて脚へ向けて放った蹴りが当たっていたが、痛がっていたのはベポの方だ。そして蹴った瞬間に聞こえた固い音。
何かがおかしいと思う。
銃を取り出して照準をクマの腕に向けた。キッド海賊団の面々がその銃を見て『そんな玩具で』みたいな顔をしていたが、引き金を引いた途端飛び出した本来ありえない大きさの弾丸に驚いている。
命中したそれが、クマの腕へ大穴を開けた。そこから見えた内部は『機械』だ。
「機械鎧……いや、ヒューマノイド? でもそんな科学力は……」
蹴った足を痛がるベポとジャンバールが船長の能力で“入れ替えられる”。
流石億越えルーキーだと言うべきか、船長とユースタスが苦戦しつつもバーソロミュー・クマを撃破した。と思ったものの、あのクマが『クマではない』ことに船長も気付いていたらしい。
破けた服やシルビが開けた腕の穴から窺える“それ”を見れば、余程余裕が無い者以外気付いて当然だろうとも思わなくも無いが、その辺はどうでも良かった。
問題はその『倒れているクマ』が『人ではない』という部分だろう。
無論今のこの世界でそこまで高性能な機械人形を造れるのかといえば、ある意味では可能だが一般的に公然と造るので有れば研究段階だろうし、多額の資金と複雑怪奇な設計図が必要になる。作れない事はないが。
「そうだよ作れねぇ訳が無ぇんだよ実際作ってんじゃねぇかよ俺ぇええええ!」
内心で頭を抱えつつ海兵を蹴り飛ばす。その背後では“二体目”のバーソロミュー・クマと対峙している船長達。
一難さってまた一難と言うべきか、追い掛けてきた海兵と同時にやってきた全く同じ見た目の『バーソロミュー・クマ』の姿に、逃亡戦線は再び苦戦を強いられていた。わざわざ倒さずとも隙を見て逃げればいいのだが、船長達は何故か倒す事に固執しているらしい。ルーキーの意地か。
「船長! まだですかぁあああ!?」
「まだとか言うな! そんな事言うならお前が倒せ!」
「え、いいんですか?」
「……ああ」
一瞬、船長がシルビを見て『選択を誤った』とばかりの顔をしたのを忘れない。
しかしそれでも許可を出した船長にシルビは向かってきた海兵の腕を掴み、襲い掛かってきた時の反動を利用して投げ捨ててから、海兵の集団をなぎ払っていたジャンバールへと駆け寄った。
ジャンバールはいきなり駆け寄ってきたシルビに不思議そうにしていたが、シルビは構わず話しかける。
「俺のことを思いっきり上へ放り投げてくれぇ。遠慮なくよろしくぅ!」
「構わないが、何をするんだ?」
「駆逐」
「……破天荒だな」
端的すぎて何の説明にもなっていないであろうそれでも、仲間になったばかりのシルビの頼みを聞いてくれるジャンバールは、結構ノリがいい奴かもしれない。差し出された手へ足を掛けて、手を振り上げる勢いに乗って高く飛び上がる。
思ったよりも高く上がれた事へ思わず機嫌良く口笛を吹き、飛び上がった先で臨界点に至って今度は身体が地上へ向かって落ち始めた。高いところからの落下は好きだが、それを楽しんでいる時間は少ない。
地上からシルビを見上げてくる本物ではない『クマ』に口角が上がる。防寒帽が取れたら困るので、それだけ気をつけながら左手で指を鳴らす。
巨人では無いものの巨体を倒すなら、やはりコレだろう。
船長にやっと追いついたと思えば、船長の傍にはキッド海賊団の面々も居て、その視線の先にはクマ耳のついた帽子を被った巨体の男が立っていた。
「……バーソロミュー?」
かつて故郷の島で会った事のあるその男の名を呟けば、聞こえたらしいジャンバールがシルビを振り返る。
バーソロミュー・クマ。現在は王下七武海の一人だが、元は革命軍に居た男である。
彼がどうして革命軍から海軍の手先になったのかは知らないが、彼ならシルビの事を思えているはずだ。運が良ければ見逃してさえくれるだろう。何せ彼は朗らかで優しい性格をしている。
そう考えてクマを睨んでいる船長へ先に声を掛けようとして、クマの開かれた口からビームが出た事に驚いた。
「はぁあああああ!? ビーム!? 何アイツビーム!? いつの間にビーム出せるようになってんだぁああ!?」
「クマを知ってるような口振りだな。ペンギン」
「昔の知り合いですよ。でも、そん時は口からビーム出すような奴じゃ……」
「フツーはビーム出さない。出さないからな!?」
「ゴメン。俺の知り合い普通なのが少ねぇんだよ」
そんな事を話している間にもクマが無言で歩み寄ってくる。キッド海賊団の面々が身構えるのに対し、船長が不敵に笑ってさっきの仕返しだとばかりにユースタスへ話しかけていた。
無駄話をしている間にもクマが襲ってくるだろうに船長は気にしないのか。そうでなくとも海兵の追っ手が来るだろう。もういっその事、一人で先にクマの動きを封じてやろうかと思った。
多分では無く確実にシルビならそれが出来る。クマは悪魔の実の能力者だがそれでしり込みしなければならない様な相手ではないし、そもそも『世界政府の宿敵』であるシルビにたかが七武海が敵うなど。
そんな事を考えていると船長が鋭く名前を呼んできた。シャチやベポが威勢良くクマへと襲い掛かるのに、シルビも遅れて走り出す。
ベポが掛け声と共に繰り出す攻撃は、ベポの今の実力では仕方が無いとはいえ悉く避けられていた。辛うじて脚へ向けて放った蹴りが当たっていたが、痛がっていたのはベポの方だ。そして蹴った瞬間に聞こえた固い音。
何かがおかしいと思う。
銃を取り出して照準をクマの腕に向けた。キッド海賊団の面々がその銃を見て『そんな玩具で』みたいな顔をしていたが、引き金を引いた途端飛び出した本来ありえない大きさの弾丸に驚いている。
命中したそれが、クマの腕へ大穴を開けた。そこから見えた内部は『機械』だ。
「機械鎧……いや、ヒューマノイド? でもそんな科学力は……」
蹴った足を痛がるベポとジャンバールが船長の能力で“入れ替えられる”。
流石億越えルーキーだと言うべきか、船長とユースタスが苦戦しつつもバーソロミュー・クマを撃破した。と思ったものの、あのクマが『クマではない』ことに船長も気付いていたらしい。
破けた服やシルビが開けた腕の穴から窺える“それ”を見れば、余程余裕が無い者以外気付いて当然だろうとも思わなくも無いが、その辺はどうでも良かった。
問題はその『倒れているクマ』が『人ではない』という部分だろう。
無論今のこの世界でそこまで高性能な機械人形を造れるのかといえば、ある意味では可能だが一般的に公然と造るので有れば研究段階だろうし、多額の資金と複雑怪奇な設計図が必要になる。作れない事はないが。
「そうだよ作れねぇ訳が無ぇんだよ実際作ってんじゃねぇかよ俺ぇええええ!」
内心で頭を抱えつつ海兵を蹴り飛ばす。その背後では“二体目”のバーソロミュー・クマと対峙している船長達。
一難さってまた一難と言うべきか、追い掛けてきた海兵と同時にやってきた全く同じ見た目の『バーソロミュー・クマ』の姿に、逃亡戦線は再び苦戦を強いられていた。わざわざ倒さずとも隙を見て逃げればいいのだが、船長達は何故か倒す事に固執しているらしい。ルーキーの意地か。
「船長! まだですかぁあああ!?」
「まだとか言うな! そんな事言うならお前が倒せ!」
「え、いいんですか?」
「……ああ」
一瞬、船長がシルビを見て『選択を誤った』とばかりの顔をしたのを忘れない。
しかしそれでも許可を出した船長にシルビは向かってきた海兵の腕を掴み、襲い掛かってきた時の反動を利用して投げ捨ててから、海兵の集団をなぎ払っていたジャンバールへと駆け寄った。
ジャンバールはいきなり駆け寄ってきたシルビに不思議そうにしていたが、シルビは構わず話しかける。
「俺のことを思いっきり上へ放り投げてくれぇ。遠慮なくよろしくぅ!」
「構わないが、何をするんだ?」
「駆逐」
「……破天荒だな」
端的すぎて何の説明にもなっていないであろうそれでも、仲間になったばかりのシルビの頼みを聞いてくれるジャンバールは、結構ノリがいい奴かもしれない。差し出された手へ足を掛けて、手を振り上げる勢いに乗って高く飛び上がる。
思ったよりも高く上がれた事へ思わず機嫌良く口笛を吹き、飛び上がった先で臨界点に至って今度は身体が地上へ向かって落ち始めた。高いところからの落下は好きだが、それを楽しんでいる時間は少ない。
地上からシルビを見上げてくる本物ではない『クマ』に口角が上がる。防寒帽が取れたら困るので、それだけ気をつけながら左手で指を鳴らす。
巨人では無いものの巨体を倒すなら、やはりコレだろう。