シャボンディ諸島編
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夢主視点
「ん? ダレだ?」
不思議そうに首を傾げるその少年とは、シルビは今まで直接的に会ったことは無かった。
けれども実は彼の祖父や父親、彼の義兄だという青年と交流があり、話は何度か聞いたことがある。
実年齢よりも子供っぽく、真っ直ぐな黒い瞳にシルビは思わずかつての知り合いを思い出して微笑まざるを得なかった。
「こんにちはぁ」
「おう、コンニチハ!」
モンキー・D・ルフィ。
彼もまたロジャーと同じ『Dの一族』で、少し前には世界政府の組織であるエニエス・ロビーさえ壊滅に追いやった少年。既にその首へ掛かっている額は船長より高いが、『世界政府の宿敵』であるシルビよりは断然低い。
だがあの賞金額の上がり方は『どれだけ世界政府にとって脅威か』であって、強さではなかった。この若さで既に億越えをしているという事は、そういう意味では脅威である。
シルビよりも幼い少年だというのに。
「ニュー、知り合いか?」
「ええハチ。彼はワタシの古い友人よ。レイリーとも友人なの」
「そうなのか?」
タコの魚人なのだろう男に聞かれて曖昧に首を傾げる。
「友人かなぁ?」
「あら、そんなこと言ったらレイリーが可哀そうよ。泣いちゃうかも」
「あの子が泣くとは思えねぇけどなぁ。とにかく、レイリーによろしくぅ」
別れの言葉を告げて店を後にすれば、変な顔をしながらも麦わらの一味と思しき数人が、タコの魚人の後へ続いて店へ入っていく。時間があればその中に加わって話をしても良かったのだが、今のシルビは彼らにとって敵船の副船長だし、その船の船長達が気になって仕方が無い。
とりあえずの目的は達成したということにして、人気のない場所で外套を脱いで第八の炎で繋いだ船内の私室へ放り込む。それから防寒帽を被って船長達が向かった筈のシャボンディパークのある方角へ向かった。
途中でパークの何処へ居るのかを探ろうと『×××』を利用すると、何故か船長達はシャボンディパークではない場所へ居る。居る場所からしてオークション会場へ向かっているのかと慌てて方向転換し、やっと見つけた船長は木箱へ座って近くで起こっている騒動を眺めていた。
「ベポ達とパークに行ってたんじゃねぇんですか」
「飽きたからこっちに来た。見ろ、面白い見せ物やってるぜ」
それ以前に一緒に居た筈のベポ達はどうしたのかと尋ねたかったが、頭上の騒音に警戒も兼ねて見上げる。
なんかデカイのと変な仮面が居た。
デカイとか変な仮面とか、正直黒い外套姿であったり仮面をつけていたりなんて、状況によっては道化師並みの変装もするシルビが言っていい発言ではないとは思うが、第一印象がそれなのは仕方が無い。彼らは正しく巨体で、正しく謎のストライプ模様の仮面を被っていたのだから。
そんな謎の二人が建物を荒らしつつ争っている。遠目に見えた顔は手配書で見た覚えがあった。
「『怪僧』ウルージと、『殺戮武人』キラーですか」
「ああ、オレと同じ『ルーキー』だ」
船長の目が輝いている。今のところは一応あの争いに首を突っ込もうとする気配は無いが、万が一飛び込んでいったらシルビは三人揃って捕まえて海軍へ引き渡す事を今決めた。
一般人も居る場所で争っているだけでもよろしくないというのに、このシャボンディ諸島は海軍本部とマリージョアが近いのだ。何かあればすぐに海兵が来るし、そうでなくとも天竜人が徘徊していたりする。
それに巻き込まれてハートの海賊団にまで害が及べば、そのハートの船長であるローが相手でも遠慮するつもりはない。一応捕まったとしてもローに関しては助けるつもりだが。
「……今物騒な事考えただろ」
「まさかぁ」
妙なところで勘を働かせる船長がシルビを振り返ったところで、盛大に騒いでいる二人の間へ第三者が割り込んでいく。鍛えこまれた身体の、顎へ十字傷のある男だ。
その男にもやはり見覚えがあって、高額賞金首の筆頭である身としてはもう少し大人しくするという事が出来ないのかと呆れてしまう。
「……ん?」
『赤旗』X・ドレークというのが男の手配書に載せられた名前だ。情報によれば元は海軍将校だったらしいので、もしかしたら普通の海賊よりは『死告のシャイタン』の事を知っているかもしれないなと思って眺めていれば、そのドレークが船長の座っている木箱の直ぐ傍を通り抜ける。
船長が呼び止めて変な挨拶をしているが、それは無視してシルビは彼を凝視した。手配書を見ていたから見覚えがあるのだと思ったが、少し違う気がするのだ。
ローの呼びかけに僅かに振り返った彼の、少し汚れた光の浮かぶ眼を見てシルビは眉を顰める。ドレークはそんなシルビの様子にも気付かず、船長の挑発にも乗らずに去っていった。
彼がいなくなり、怪僧と殺戮武人の争いも収まったその場所で、シルビはとりあえずハリセンを出す訳にもいかないので船長の足を踏んだ。
「っ、なんで踏んだ」
「挑発したからですよ。何やってんですかアンタ」
出店でずっと買物をしていたらしいシャチとベポが、両手に食べ物を持って駆け寄ってくる。ある意味タイミングのいい二人だ。
シルビが眉をひそめた理由については、まだ憶測の域を出ていない。
「ん? ダレだ?」
不思議そうに首を傾げるその少年とは、シルビは今まで直接的に会ったことは無かった。
けれども実は彼の祖父や父親、彼の義兄だという青年と交流があり、話は何度か聞いたことがある。
実年齢よりも子供っぽく、真っ直ぐな黒い瞳にシルビは思わずかつての知り合いを思い出して微笑まざるを得なかった。
「こんにちはぁ」
「おう、コンニチハ!」
モンキー・D・ルフィ。
彼もまたロジャーと同じ『Dの一族』で、少し前には世界政府の組織であるエニエス・ロビーさえ壊滅に追いやった少年。既にその首へ掛かっている額は船長より高いが、『世界政府の宿敵』であるシルビよりは断然低い。
だがあの賞金額の上がり方は『どれだけ世界政府にとって脅威か』であって、強さではなかった。この若さで既に億越えをしているという事は、そういう意味では脅威である。
シルビよりも幼い少年だというのに。
「ニュー、知り合いか?」
「ええハチ。彼はワタシの古い友人よ。レイリーとも友人なの」
「そうなのか?」
タコの魚人なのだろう男に聞かれて曖昧に首を傾げる。
「友人かなぁ?」
「あら、そんなこと言ったらレイリーが可哀そうよ。泣いちゃうかも」
「あの子が泣くとは思えねぇけどなぁ。とにかく、レイリーによろしくぅ」
別れの言葉を告げて店を後にすれば、変な顔をしながらも麦わらの一味と思しき数人が、タコの魚人の後へ続いて店へ入っていく。時間があればその中に加わって話をしても良かったのだが、今のシルビは彼らにとって敵船の副船長だし、その船の船長達が気になって仕方が無い。
とりあえずの目的は達成したということにして、人気のない場所で外套を脱いで第八の炎で繋いだ船内の私室へ放り込む。それから防寒帽を被って船長達が向かった筈のシャボンディパークのある方角へ向かった。
途中でパークの何処へ居るのかを探ろうと『×××』を利用すると、何故か船長達はシャボンディパークではない場所へ居る。居る場所からしてオークション会場へ向かっているのかと慌てて方向転換し、やっと見つけた船長は木箱へ座って近くで起こっている騒動を眺めていた。
「ベポ達とパークに行ってたんじゃねぇんですか」
「飽きたからこっちに来た。見ろ、面白い見せ物やってるぜ」
それ以前に一緒に居た筈のベポ達はどうしたのかと尋ねたかったが、頭上の騒音に警戒も兼ねて見上げる。
なんかデカイのと変な仮面が居た。
デカイとか変な仮面とか、正直黒い外套姿であったり仮面をつけていたりなんて、状況によっては道化師並みの変装もするシルビが言っていい発言ではないとは思うが、第一印象がそれなのは仕方が無い。彼らは正しく巨体で、正しく謎のストライプ模様の仮面を被っていたのだから。
そんな謎の二人が建物を荒らしつつ争っている。遠目に見えた顔は手配書で見た覚えがあった。
「『怪僧』ウルージと、『殺戮武人』キラーですか」
「ああ、オレと同じ『ルーキー』だ」
船長の目が輝いている。今のところは一応あの争いに首を突っ込もうとする気配は無いが、万が一飛び込んでいったらシルビは三人揃って捕まえて海軍へ引き渡す事を今決めた。
一般人も居る場所で争っているだけでもよろしくないというのに、このシャボンディ諸島は海軍本部とマリージョアが近いのだ。何かあればすぐに海兵が来るし、そうでなくとも天竜人が徘徊していたりする。
それに巻き込まれてハートの海賊団にまで害が及べば、そのハートの船長であるローが相手でも遠慮するつもりはない。一応捕まったとしてもローに関しては助けるつもりだが。
「……今物騒な事考えただろ」
「まさかぁ」
妙なところで勘を働かせる船長がシルビを振り返ったところで、盛大に騒いでいる二人の間へ第三者が割り込んでいく。鍛えこまれた身体の、顎へ十字傷のある男だ。
その男にもやはり見覚えがあって、高額賞金首の筆頭である身としてはもう少し大人しくするという事が出来ないのかと呆れてしまう。
「……ん?」
『赤旗』X・ドレークというのが男の手配書に載せられた名前だ。情報によれば元は海軍将校だったらしいので、もしかしたら普通の海賊よりは『死告のシャイタン』の事を知っているかもしれないなと思って眺めていれば、そのドレークが船長の座っている木箱の直ぐ傍を通り抜ける。
船長が呼び止めて変な挨拶をしているが、それは無視してシルビは彼を凝視した。手配書を見ていたから見覚えがあるのだと思ったが、少し違う気がするのだ。
ローの呼びかけに僅かに振り返った彼の、少し汚れた光の浮かぶ眼を見てシルビは眉を顰める。ドレークはそんなシルビの様子にも気付かず、船長の挑発にも乗らずに去っていった。
彼がいなくなり、怪僧と殺戮武人の争いも収まったその場所で、シルビはとりあえずハリセンを出す訳にもいかないので船長の足を踏んだ。
「っ、なんで踏んだ」
「挑発したからですよ。何やってんですかアンタ」
出店でずっと買物をしていたらしいシャチとベポが、両手に食べ物を持って駆け寄ってくる。ある意味タイミングのいい二人だ。
シルビが眉をひそめた理由については、まだ憶測の域を出ていない。