原作前日常編
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青年視点
家に帰ったら玄関を開ける前からいい匂いがしていた。家の中には妹だけの筈なのに、楽しげな話し声も聞こえていて、珍しく客でも来ているのかと思いながら扉を開けると賞金首がいる。
「なっ、な!?」
「おかえり」
しかも挨拶された。
ただいまと返すべきなのかを悩んで、そういえば家にいたはずの妹はと思って慌てて妹を探すと、妹は台所で防寒帽を被った男と夕食を作っている。いい匂いはその男がかき混ぜている鍋からだ。
絶句していると後ろを、バンダナを着けた男が歩いていってテーブルの席へ着く。その男にもやはり帰宅の挨拶をされて、その声で妹と防寒帽の男が振り返りオレに気付いた。
「お帰りなさい兄さん」
「……た、ただいま」
朗らかに微笑む妹とは逆に、防寒帽の男はオレを無視して鍋へと向き直る。その男へ妹が味付けの相談で話しかけていた。オレのことは既に意識に無い。
なんで海賊がウチに、とか、お前ソイツ昨日オレの事足蹴にして殺そうとした奴だぞ、とか、五人分の食材ウチにあったっけ、とか、色々思うことが有り過ぎて言葉が出なかった。そうしてオレが何も出来ないでいるうちにも夕食が完成したのか、皿に盛った料理を運ぼうとする防寒帽の男と妹に押されるままテーブルへ着く。
ここ暫くどころか両親が生きていた頃以来のような豪勢な食事だ。多分一般家庭では普通の夕食なのだろうけれど、これだけの食材があったら十日は食っていける。
一口食ったら泣きそうなほど美味かった。
「ウチの副船長の料理はどうだい?」
「……美味い」
バンダナの男へ素直に返すと頭を撫でられる。誰かに頭を撫でられたのなんて久しぶりだ。
妹を見ればそれはもう楽しげに、防寒帽の男へ話しかけながら食べている。
帽子に『PENGUIN』なんて入っているが、それが名前なのだろうか。だとしたらなんて自己主張の強い奴である。
この家には無かったはずの酒を飲みながら食べているトラファルガー・ローは、目が合うとニヤニヤと笑った。思わず身を引けば防寒帽の男が咎めるようにトラファルガーを呼ぶ。
「船長」
「ああ、悪いな。怯えさせるつもりはなかったんだ」
口ではそう言ってもトラファルガーの視線はオレから離れない。妹がいる手前、堂々とトラファルガーの手下に助けを求める事も出来ず、食べるのにも戸惑っていると今度はバンダナの男の方が、トラファルガーの肘を小突いて視線を逸らさせた。
もしかしたらこの二人はちょっといい奴かも知れない。
家に帰ったら玄関を開ける前からいい匂いがしていた。家の中には妹だけの筈なのに、楽しげな話し声も聞こえていて、珍しく客でも来ているのかと思いながら扉を開けると賞金首がいる。
「なっ、な!?」
「おかえり」
しかも挨拶された。
ただいまと返すべきなのかを悩んで、そういえば家にいたはずの妹はと思って慌てて妹を探すと、妹は台所で防寒帽を被った男と夕食を作っている。いい匂いはその男がかき混ぜている鍋からだ。
絶句していると後ろを、バンダナを着けた男が歩いていってテーブルの席へ着く。その男にもやはり帰宅の挨拶をされて、その声で妹と防寒帽の男が振り返りオレに気付いた。
「お帰りなさい兄さん」
「……た、ただいま」
朗らかに微笑む妹とは逆に、防寒帽の男はオレを無視して鍋へと向き直る。その男へ妹が味付けの相談で話しかけていた。オレのことは既に意識に無い。
なんで海賊がウチに、とか、お前ソイツ昨日オレの事足蹴にして殺そうとした奴だぞ、とか、五人分の食材ウチにあったっけ、とか、色々思うことが有り過ぎて言葉が出なかった。そうしてオレが何も出来ないでいるうちにも夕食が完成したのか、皿に盛った料理を運ぼうとする防寒帽の男と妹に押されるままテーブルへ着く。
ここ暫くどころか両親が生きていた頃以来のような豪勢な食事だ。多分一般家庭では普通の夕食なのだろうけれど、これだけの食材があったら十日は食っていける。
一口食ったら泣きそうなほど美味かった。
「ウチの副船長の料理はどうだい?」
「……美味い」
バンダナの男へ素直に返すと頭を撫でられる。誰かに頭を撫でられたのなんて久しぶりだ。
妹を見ればそれはもう楽しげに、防寒帽の男へ話しかけながら食べている。
帽子に『PENGUIN』なんて入っているが、それが名前なのだろうか。だとしたらなんて自己主張の強い奴である。
この家には無かったはずの酒を飲みながら食べているトラファルガー・ローは、目が合うとニヤニヤと笑った。思わず身を引けば防寒帽の男が咎めるようにトラファルガーを呼ぶ。
「船長」
「ああ、悪いな。怯えさせるつもりはなかったんだ」
口ではそう言ってもトラファルガーの視線はオレから離れない。妹がいる手前、堂々とトラファルガーの手下に助けを求める事も出来ず、食べるのにも戸惑っていると今度はバンダナの男の方が、トラファルガーの肘を小突いて視線を逸らさせた。
もしかしたらこの二人はちょっといい奴かも知れない。