シャボンディ諸島編
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夢主視点
偉大なる航路の前半と後半を結ぶ地にして、運命をもう一度混ぜ合わせる場所。シャボンディ諸島。
その先に広がる偉大なる航路後半の海『新世界』へ到る前に、多くの海賊が次の目的地となる魚人島へ行くための船のコーティングに立ち寄る場所だ。
「上陸前に言っておきますが、人身売買に捕まったら助けはするけど、その後一ヶ月は死体処理をしてもらいます」
「ペンギンさん……あの、それは、その、一ヶ月は死体を作るってコトでしょうか?」
「死体に防腐処理を施して美しいミイラ大量生産します。良かったなぁ。これで船も賑やかに……」
「お前ら絶対捕まるな!」
「アイアイ、船長! 絶対人身売買に捕まりません!」
揃って盛大に唱和するクルー達に、シルビとしては何だか釈然としないものを感じる。
そのシルビが『ペンギン』と呼ばれて乗っている、ルーキーと名高い億超の賞金首トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団も、その島へと停泊したところだった。
実のところハートの海賊団が乗る船は潜水艦であり、他の船たちの様にコーティングを施して貰う必要はない。よってこの島へ立ち寄った理由も従来の停泊同様備蓄や食料の補充であり、後はこれから更なる厳しさを増す航路へ発つ前の、クルー達の息抜きを兼ねていた。
しかしながらこのシャボンディ諸島は近くに海賊の天敵である海軍本部があったり、シルビの長年の天敵扱いである天竜人共が住む地、マリージョアがあったりとなかなかに物騒な島なのである。警戒はしすぎるに越したことはない。
巨大な植物ヤルキマン・マングローブの樹脂によるシャボン玉を活用する、独特の文化が発展しているその島にシルビが降り立つのは優に半世紀近く振りだった。
根に溜まった土が大地を作り上げその僅かな隙間から生まれるシャボン玉に、船から降りたクルー達が子供ほどではないがはしゃいでいる。
「ペンギン! ペンギンシャボン玉!」
「はいはい。シャボン玉だなぁ。転ぶなよぉ」
「あべしっ」
盛大に転んだクルーからはそっと目を逸らせば、船のタラップの上では船長がマングローブを見上げていた。
事前に情報は集められるだけ集めて、有益そうなものや気になるものは船長へ報告してある。シルビも個人的に気になるものがあった。
億越えの『ルーキー』達がちょうどタイミング良く、このシャボンディ諸島へ集まっている事ではない。そんなのは海賊結成時期を考えれば簡単に予測できる。
シルビが気になるのは、この島に『冥王シルバーズ・レイリー』が居るかもしれないことだ。
『冥王シルバーズ・レイリー』とは、かつて海を制した海賊王ゴール・D・ロジャー率いる海賊船で副船長を担っており、シルビとも極々浅いながら縁がある男だ。
最後に会ったのも既に十年以上前、ロジャーが処刑されてから数年後のことである。
つまりシルビの生存を知っている人物であり、しかしながらシルビが故郷の島を出て放浪し今はハートの海賊団にいることなどは知らないだろう。
故郷を出る前から島外の者と連絡を取り合うことは滅多に無かったし、今も故郷の島へ手紙の一つも送らない筆不精だが、一応会えるのなら会いたいと思う。
「シャボンディパーク行く奴こっち集合! シャボンディパーク!」
「シャチは絶対誰かと行動しろよ。財布空にするんだから」
「分かってるよ!」
船番以外には自由行動を言い渡したものの、クルー達の行き先は大体がこの島の名物となっているシャボンディパークらしかった。自由行動の意味があるのかと思いもしたが、下手に単独行動をして問題を起こされるよりはずっといい。
シルビは単独行動で『シルバーズ・レイリー』を探しに行こうと思っていたのだが、その襟首を船長に掴まれた。
「船長?」
「何処に行くんだ? 人間オークション行くんだろうが」
「この島に知り合いが居るかも知れねぇので、オークションが開かれるまで探しに行こうかと思ったんですが」
「一人でか?」
相手は本当にこの島へ居るのかどうかも分からない相手だ。人間オークションの開催時間までに見つかるとも思えず、殆ど無駄足覚悟の散策である。
なので下手に連れを作っていくのも遠慮したい。
「ペンギンこの島に知り合い居るの?」
「居るかも知れねぇってだけだぁ。向こうは俺のこと忘れてるかも知れねぇし」
最後に会ったのはロジャーが処刑された数年後で、シルビなどまだ『普通の子供』であればやっと流暢に喋るようになれたとかそういう時期だ。そんな昔の子供だった頃とは見た目も変わってしまった。目立つ特徴は何一つ変わっていないようだが。
「まあペンギンなら一人でも大丈夫そうだし、別にいいんじゃね? 船長一緒にシャボンディパーク行きましょうよ!」
「あんまり興味ねェな」
「キャプテンも一緒だときっと楽しいよ!」
「じゃあ後から合流しますから」
ベポとシャチに誘われて、というか少々強引に引っ張られて船長達がシャボンディパークへと向かう。保護者かと思ったのは内心に仕舞いこみ、実のところシルビもハートの海賊団内では保護者ポジションであることには気付かないまま、シルビはそれを見送った。
ベポはともかく、シャチは親離れをしてもいいと思うのだが、甘やかしすぎなのかも知れない。
偉大なる航路の前半と後半を結ぶ地にして、運命をもう一度混ぜ合わせる場所。シャボンディ諸島。
その先に広がる偉大なる航路後半の海『新世界』へ到る前に、多くの海賊が次の目的地となる魚人島へ行くための船のコーティングに立ち寄る場所だ。
「上陸前に言っておきますが、人身売買に捕まったら助けはするけど、その後一ヶ月は死体処理をしてもらいます」
「ペンギンさん……あの、それは、その、一ヶ月は死体を作るってコトでしょうか?」
「死体に防腐処理を施して美しいミイラ大量生産します。良かったなぁ。これで船も賑やかに……」
「お前ら絶対捕まるな!」
「アイアイ、船長! 絶対人身売買に捕まりません!」
揃って盛大に唱和するクルー達に、シルビとしては何だか釈然としないものを感じる。
そのシルビが『ペンギン』と呼ばれて乗っている、ルーキーと名高い億超の賞金首トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団も、その島へと停泊したところだった。
実のところハートの海賊団が乗る船は潜水艦であり、他の船たちの様にコーティングを施して貰う必要はない。よってこの島へ立ち寄った理由も従来の停泊同様備蓄や食料の補充であり、後はこれから更なる厳しさを増す航路へ発つ前の、クルー達の息抜きを兼ねていた。
しかしながらこのシャボンディ諸島は近くに海賊の天敵である海軍本部があったり、シルビの長年の天敵扱いである天竜人共が住む地、マリージョアがあったりとなかなかに物騒な島なのである。警戒はしすぎるに越したことはない。
巨大な植物ヤルキマン・マングローブの樹脂によるシャボン玉を活用する、独特の文化が発展しているその島にシルビが降り立つのは優に半世紀近く振りだった。
根に溜まった土が大地を作り上げその僅かな隙間から生まれるシャボン玉に、船から降りたクルー達が子供ほどではないがはしゃいでいる。
「ペンギン! ペンギンシャボン玉!」
「はいはい。シャボン玉だなぁ。転ぶなよぉ」
「あべしっ」
盛大に転んだクルーからはそっと目を逸らせば、船のタラップの上では船長がマングローブを見上げていた。
事前に情報は集められるだけ集めて、有益そうなものや気になるものは船長へ報告してある。シルビも個人的に気になるものがあった。
億越えの『ルーキー』達がちょうどタイミング良く、このシャボンディ諸島へ集まっている事ではない。そんなのは海賊結成時期を考えれば簡単に予測できる。
シルビが気になるのは、この島に『冥王シルバーズ・レイリー』が居るかもしれないことだ。
『冥王シルバーズ・レイリー』とは、かつて海を制した海賊王ゴール・D・ロジャー率いる海賊船で副船長を担っており、シルビとも極々浅いながら縁がある男だ。
最後に会ったのも既に十年以上前、ロジャーが処刑されてから数年後のことである。
つまりシルビの生存を知っている人物であり、しかしながらシルビが故郷の島を出て放浪し今はハートの海賊団にいることなどは知らないだろう。
故郷を出る前から島外の者と連絡を取り合うことは滅多に無かったし、今も故郷の島へ手紙の一つも送らない筆不精だが、一応会えるのなら会いたいと思う。
「シャボンディパーク行く奴こっち集合! シャボンディパーク!」
「シャチは絶対誰かと行動しろよ。財布空にするんだから」
「分かってるよ!」
船番以外には自由行動を言い渡したものの、クルー達の行き先は大体がこの島の名物となっているシャボンディパークらしかった。自由行動の意味があるのかと思いもしたが、下手に単独行動をして問題を起こされるよりはずっといい。
シルビは単独行動で『シルバーズ・レイリー』を探しに行こうと思っていたのだが、その襟首を船長に掴まれた。
「船長?」
「何処に行くんだ? 人間オークション行くんだろうが」
「この島に知り合いが居るかも知れねぇので、オークションが開かれるまで探しに行こうかと思ったんですが」
「一人でか?」
相手は本当にこの島へ居るのかどうかも分からない相手だ。人間オークションの開催時間までに見つかるとも思えず、殆ど無駄足覚悟の散策である。
なので下手に連れを作っていくのも遠慮したい。
「ペンギンこの島に知り合い居るの?」
「居るかも知れねぇってだけだぁ。向こうは俺のこと忘れてるかも知れねぇし」
最後に会ったのはロジャーが処刑された数年後で、シルビなどまだ『普通の子供』であればやっと流暢に喋るようになれたとかそういう時期だ。そんな昔の子供だった頃とは見た目も変わってしまった。目立つ特徴は何一つ変わっていないようだが。
「まあペンギンなら一人でも大丈夫そうだし、別にいいんじゃね? 船長一緒にシャボンディパーク行きましょうよ!」
「あんまり興味ねェな」
「キャプテンも一緒だときっと楽しいよ!」
「じゃあ後から合流しますから」
ベポとシャチに誘われて、というか少々強引に引っ張られて船長達がシャボンディパークへと向かう。保護者かと思ったのは内心に仕舞いこみ、実のところシルビもハートの海賊団内では保護者ポジションであることには気付かないまま、シルビはそれを見送った。
ベポはともかく、シャチは親離れをしてもいいと思うのだが、甘やかしすぎなのかも知れない。