原作前日常編2
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シャチ視点
言うまで逃がさない、とばかりにペンギンを見ている船長に対し、ペンギンは珍しく動揺しきっている。たかが猫の鳴き真似に何故そんな動揺するんだと思わなくも無いが、ふだん口にしない事を言わされるのは確かに少し恥ずかしいかもしれない。
そういえばベポの小さい頃も、ペンギンはクマの鳴き真似をするでもなく淡々と話しかけていた気がする。シャチはクマの鳴き声に詳しい訳ではないけれど、まだ喋れなかったベポの真似をしているところに関しては見た覚えは無かった。
だから多分、ベポに対しても鳴き真似をしたことなんてペンギンは無いのだろう。なのに今更、野良猫に対して鳴き真似をしろとか言われたから。
ペンギンは船長から逃げられないと早々に悟ってはいるらしい。逃げる事だけなら出来るだろうけれど逃げれば船長が飽きるまでネチネチと言われるに違いなかった。そんなどうでもいいところに面白みを見出す人だし。
「に、……」
「聞こえねェだろ。もう一回」
どんな拷問だ。いや拷問と呼ぶにはチャチ過ぎるし意味が分からない。
完全にペンギンは嫌がっているのに、というか嫌がっているから言わせようとしているのか。
シャチが助けてやるべきかとバンダナに視線を向けると、もう一度ペンギンが口を開いた。
「に、にゃぁ……」
ペンギンの顔が防寒帽の下で真っ赤になっていて、言い終わった途端ペンギンはしゃがんで羞恥で顔を隠してしまう。
そんな恥ずかしがることでも無いと思っていたけれど。
「……ペンギン、もう一回」
「ゼッテェ嫌だぁ! 何なのコレぇ!? もういいよ絶対二度と言わねぇ。馬鹿みてぇだしなんか恥ずかしいしつか猫が居ねぇのに言っても仕方なかっただろぉ!? ああもう畜生……」
「大丈夫だよペンギン! 可愛かったよ!」
「ベポ、そりゃトドメを刺してるってもんだよ」
「カワイー」
「船長もいい加減にしなさんな。ペンちゃん可哀想だろ」
呆れてペンギンの肩を宥めるようにさするバンダナが船長を窘めている。船長は反省の色もなく満足したとばかりにしゃがんでいるペンギンを見下ろしていたが、ふと何かに気付いてさっき黒猫が走り去っていったほうを振り返った。
何かあったのかとシャチも振り返って、振り返ったことを後悔する。
「げ……」
そこには先ほどの黒猫を筆頭に、この島にいる全てではと思われるほど大量の猫が、爛々と目を輝かせてシャチ達を見つめていた。コレだけいると圧巻どころか恐怖しか感じられない。
「ぺ、ペンギン……」
思わずペンギンに助けを求めれば顔を上げたペンギンが猫の群れを見て目を丸くし、それから納得したように立ち上がった。
「何でも無ぇよ。恥ずかしかっただけだからぁ。ほら解散解散」
ペンギンがそう言うと猫達が一斉に散らばっていく。たまたま通りかかった島民もその散らばっていく猫の群れを見て驚いていた。
「……お前は猫のボスなのか?」
「そんなつもりは無ぇんですけどねぇ」
言うまで逃がさない、とばかりにペンギンを見ている船長に対し、ペンギンは珍しく動揺しきっている。たかが猫の鳴き真似に何故そんな動揺するんだと思わなくも無いが、ふだん口にしない事を言わされるのは確かに少し恥ずかしいかもしれない。
そういえばベポの小さい頃も、ペンギンはクマの鳴き真似をするでもなく淡々と話しかけていた気がする。シャチはクマの鳴き声に詳しい訳ではないけれど、まだ喋れなかったベポの真似をしているところに関しては見た覚えは無かった。
だから多分、ベポに対しても鳴き真似をしたことなんてペンギンは無いのだろう。なのに今更、野良猫に対して鳴き真似をしろとか言われたから。
ペンギンは船長から逃げられないと早々に悟ってはいるらしい。逃げる事だけなら出来るだろうけれど逃げれば船長が飽きるまでネチネチと言われるに違いなかった。そんなどうでもいいところに面白みを見出す人だし。
「に、……」
「聞こえねェだろ。もう一回」
どんな拷問だ。いや拷問と呼ぶにはチャチ過ぎるし意味が分からない。
完全にペンギンは嫌がっているのに、というか嫌がっているから言わせようとしているのか。
シャチが助けてやるべきかとバンダナに視線を向けると、もう一度ペンギンが口を開いた。
「に、にゃぁ……」
ペンギンの顔が防寒帽の下で真っ赤になっていて、言い終わった途端ペンギンはしゃがんで羞恥で顔を隠してしまう。
そんな恥ずかしがることでも無いと思っていたけれど。
「……ペンギン、もう一回」
「ゼッテェ嫌だぁ! 何なのコレぇ!? もういいよ絶対二度と言わねぇ。馬鹿みてぇだしなんか恥ずかしいしつか猫が居ねぇのに言っても仕方なかっただろぉ!? ああもう畜生……」
「大丈夫だよペンギン! 可愛かったよ!」
「ベポ、そりゃトドメを刺してるってもんだよ」
「カワイー」
「船長もいい加減にしなさんな。ペンちゃん可哀想だろ」
呆れてペンギンの肩を宥めるようにさするバンダナが船長を窘めている。船長は反省の色もなく満足したとばかりにしゃがんでいるペンギンを見下ろしていたが、ふと何かに気付いてさっき黒猫が走り去っていったほうを振り返った。
何かあったのかとシャチも振り返って、振り返ったことを後悔する。
「げ……」
そこには先ほどの黒猫を筆頭に、この島にいる全てではと思われるほど大量の猫が、爛々と目を輝かせてシャチ達を見つめていた。コレだけいると圧巻どころか恐怖しか感じられない。
「ぺ、ペンギン……」
思わずペンギンに助けを求めれば顔を上げたペンギンが猫の群れを見て目を丸くし、それから納得したように立ち上がった。
「何でも無ぇよ。恥ずかしかっただけだからぁ。ほら解散解散」
ペンギンがそう言うと猫達が一斉に散らばっていく。たまたま通りかかった島民もその散らばっていく猫の群れを見て驚いていた。
「……お前は猫のボスなのか?」
「そんなつもりは無ぇんですけどねぇ」