原作前日常編2
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夢主視点
「……ここ、何処ですか?」
目を覚まして早々泣いて生きている事に喜んでいたレミは、落ち着くと今度は現状把握に努める。以前一緒に行動した異世界では最初、現状把握もせずに歩き回っていたから、流石に学んでいるらしい。
「トリップ先だってのは分かってんだよなぁ。……潜水艦の船室なんだけど」
「潜水艦?」
潜水艦の中だというのは間違っていないが、その潜水艦の航海している場所を説明して分かるかどうか。レミが海図を読めるとも思わない。
そもそも海図を読めたところで、レミの場合この世界の説明からしなければならないのだと思い出した。面倒なので場所の説明はもう少し落ち着いて時間を作ってからでもいいと判断して、シルビは先に船長へ会わせるかと考える。
「とりあえずこの船の船長呼んでくるぜぇ。海に落ちたレミ少女を助けて乗せる許可をくれた人だから、ちゃんとお礼を言いなさい」
「あ、はい。シルビさんも喚んじゃってすみません」
「……俺は呼ばれた覚え無ぇけどぉ?」
「え? でもあたし海に落ちながらシルビさんのこと呼びましたよ?」
不思議がるレミとシルビの約束に組み込まれたルールで、レミが死にそうな危険に遭ったりレミが助けを求めたりした場合、シルビは何処のどんな世界に生きていたとしても強制的にレミの元へ召喚されるシステムが、どういった仕組みか分からないが確立していた。
実のところシルビがレミを守るよう頼んできた相手にやらせたもので、仕組みも聞けば分かるのだろうが聞く気は無い。
「俺が今はこの世界に生きてるからかなぁ?」
「そうなんですか?」
「うん。その説明も後にしようなぁ。君が目を覚ましたら呼びに来いって言われてんだよ」
可能性としては呼ぶ前からこの世界にいたからか、偶然とはいえ近くにレミが現れたかだろう。深く考えるつもりも無いのでシルビはそれも後回しにして立ち上がった。
レミがシルビの顔を見て安心出来るようにと外していた防寒帽を手に取り被る。クルーには素顔を極力見せるなという命令は、こういう時本気で面倒臭い。
「――……『ハートの海賊団』?」
帽子の角度を直したところでレミが呟く。聞こえたそれは今現在シルビが副船長をやっている海賊団の通称で、まだ何も説明していないレミが知っている筈も無いのだが。
そう思ったところで、彼女の世界の事を思い出した。
「……そういやレミ少女の世界だとアレだっけかぁ」
「『ハートの海賊団』!? っていうかシルビさん『ペンギン』!?」
どうやらこの世界も、レミの世界ではゲームか漫画になっているらしい。
レミの世界には多くのゲームや漫画があって、レミがトリップする世界というのはそのゲームや漫画の世界だったりする。
初めてシルビがレミと出会った世界も、レミが言うには『アビス』というゲームのエンディング後の世界だったらしい。しかしその世界はシルビが大幅にゲームのストーリーと違う行動をした為、大分違う結果になっていた。
シルビにとってはそのゲームを知らないのでどんな未来になろうが構いはしない。だが『ゲームの中』だからと否定されては困ると思う。初めてトリップしたばかりのレミはそんな感じだったらしい。
けれども彼女はその『ゲームの中』と思っていた世界を見て、その場所もまた現実であると理解した。
では、そんな少女にとっては漫画の中の人物でもあるのだろう船長はどんな風に映るのか。少し気になりはしたものの、レミは船長と対面してもシルビの後ろへ隠れているだけだった。隠れているというより怯えているので、漫画の中の船長は怖いキャラクターだったのだろうかと考えてみる。
レミを紹介された船長は、つまらなそうにシルビを見た。
「本当に知り合いなのか」
「ええ、一緒に旅をした事だってありますよ」
嘘は言っていない。この世界で会ったのは初めてだが一緒に旅をした事だってある。
「空から落ちてくるようなガキとどんな接点があるんだ」
「擬似的な保護者です。色々危険に巻き込まれる子ですからねぇ。今回もどうせ危険に巻き込まれるんでしょう」
「どのくらいいるんだ?」
「それは分かりません。長ければ数年、短かけりゃ数日でしょう」
「次の島までじゃないのか」
「次の島で俺も降りていいってんならそれでも構いませんよ。俺はこの子がいる間はこの子を優先しますから」
船長がその言葉にジトリとレミを睨む。さっきも言ったのだから既に承諾している筈なので、これはただのポーズだろう。もしかしたら嫉妬かもしれないが、そんな訳は流石に無いと思った。
いい歳した男が少女に嫉妬。しかもその理由が副船長を取られそうだからとか、ありえない。
「……お前はどうしたいんだ?」
初めて船長がレミに話しかける。
「お、お礼とか、何も出来ること無いんですけど、その、シルビさんと離れるのは嫌です。……出来る事は何でもしますから、お、お願い、します」
レミを観察していた船長が、シルビを見てから溜息を吐いて帽子の角度を直した。
「邪魔だと思ったら海のど真ん中でも降ろすからな」
レミを降ろしたらシルビもレミが元の世界へ戻れるまで降りる。今度は脅し半分忠告半分だろう。
シルビはまだこの船を降りたいとは思っていないので、レミには是非邪魔にはならないで欲しかった。
「……ここ、何処ですか?」
目を覚まして早々泣いて生きている事に喜んでいたレミは、落ち着くと今度は現状把握に努める。以前一緒に行動した異世界では最初、現状把握もせずに歩き回っていたから、流石に学んでいるらしい。
「トリップ先だってのは分かってんだよなぁ。……潜水艦の船室なんだけど」
「潜水艦?」
潜水艦の中だというのは間違っていないが、その潜水艦の航海している場所を説明して分かるかどうか。レミが海図を読めるとも思わない。
そもそも海図を読めたところで、レミの場合この世界の説明からしなければならないのだと思い出した。面倒なので場所の説明はもう少し落ち着いて時間を作ってからでもいいと判断して、シルビは先に船長へ会わせるかと考える。
「とりあえずこの船の船長呼んでくるぜぇ。海に落ちたレミ少女を助けて乗せる許可をくれた人だから、ちゃんとお礼を言いなさい」
「あ、はい。シルビさんも喚んじゃってすみません」
「……俺は呼ばれた覚え無ぇけどぉ?」
「え? でもあたし海に落ちながらシルビさんのこと呼びましたよ?」
不思議がるレミとシルビの約束に組み込まれたルールで、レミが死にそうな危険に遭ったりレミが助けを求めたりした場合、シルビは何処のどんな世界に生きていたとしても強制的にレミの元へ召喚されるシステムが、どういった仕組みか分からないが確立していた。
実のところシルビがレミを守るよう頼んできた相手にやらせたもので、仕組みも聞けば分かるのだろうが聞く気は無い。
「俺が今はこの世界に生きてるからかなぁ?」
「そうなんですか?」
「うん。その説明も後にしようなぁ。君が目を覚ましたら呼びに来いって言われてんだよ」
可能性としては呼ぶ前からこの世界にいたからか、偶然とはいえ近くにレミが現れたかだろう。深く考えるつもりも無いのでシルビはそれも後回しにして立ち上がった。
レミがシルビの顔を見て安心出来るようにと外していた防寒帽を手に取り被る。クルーには素顔を極力見せるなという命令は、こういう時本気で面倒臭い。
「――……『ハートの海賊団』?」
帽子の角度を直したところでレミが呟く。聞こえたそれは今現在シルビが副船長をやっている海賊団の通称で、まだ何も説明していないレミが知っている筈も無いのだが。
そう思ったところで、彼女の世界の事を思い出した。
「……そういやレミ少女の世界だとアレだっけかぁ」
「『ハートの海賊団』!? っていうかシルビさん『ペンギン』!?」
どうやらこの世界も、レミの世界ではゲームか漫画になっているらしい。
レミの世界には多くのゲームや漫画があって、レミがトリップする世界というのはそのゲームや漫画の世界だったりする。
初めてシルビがレミと出会った世界も、レミが言うには『アビス』というゲームのエンディング後の世界だったらしい。しかしその世界はシルビが大幅にゲームのストーリーと違う行動をした為、大分違う結果になっていた。
シルビにとってはそのゲームを知らないのでどんな未来になろうが構いはしない。だが『ゲームの中』だからと否定されては困ると思う。初めてトリップしたばかりのレミはそんな感じだったらしい。
けれども彼女はその『ゲームの中』と思っていた世界を見て、その場所もまた現実であると理解した。
では、そんな少女にとっては漫画の中の人物でもあるのだろう船長はどんな風に映るのか。少し気になりはしたものの、レミは船長と対面してもシルビの後ろへ隠れているだけだった。隠れているというより怯えているので、漫画の中の船長は怖いキャラクターだったのだろうかと考えてみる。
レミを紹介された船長は、つまらなそうにシルビを見た。
「本当に知り合いなのか」
「ええ、一緒に旅をした事だってありますよ」
嘘は言っていない。この世界で会ったのは初めてだが一緒に旅をした事だってある。
「空から落ちてくるようなガキとどんな接点があるんだ」
「擬似的な保護者です。色々危険に巻き込まれる子ですからねぇ。今回もどうせ危険に巻き込まれるんでしょう」
「どのくらいいるんだ?」
「それは分かりません。長ければ数年、短かけりゃ数日でしょう」
「次の島までじゃないのか」
「次の島で俺も降りていいってんならそれでも構いませんよ。俺はこの子がいる間はこの子を優先しますから」
船長がその言葉にジトリとレミを睨む。さっきも言ったのだから既に承諾している筈なので、これはただのポーズだろう。もしかしたら嫉妬かもしれないが、そんな訳は流石に無いと思った。
いい歳した男が少女に嫉妬。しかもその理由が副船長を取られそうだからとか、ありえない。
「……お前はどうしたいんだ?」
初めて船長がレミに話しかける。
「お、お礼とか、何も出来ること無いんですけど、その、シルビさんと離れるのは嫌です。……出来る事は何でもしますから、お、お願い、します」
レミを観察していた船長が、シルビを見てから溜息を吐いて帽子の角度を直した。
「邪魔だと思ったら海のど真ん中でも降ろすからな」
レミを降ろしたらシルビもレミが元の世界へ戻れるまで降りる。今度は脅し半分忠告半分だろう。
シルビはまだこの船を降りたいとは思っていないので、レミには是非邪魔にはならないで欲しかった。