原作前日常編2
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夢主視点
「ペンギンの父親って、どんな人だったの?」
洗濯物を干している時にシャチに尋ねられ、シルビは防寒帽の下で眉を潜めた。
遡る事数日前、ベポの寝場所を移動しようという話をした時に、ベポに『嫌い』と言われてトラウマを掘り起こされたのはまだ新しい記憶である。
長く生きていることもあってか、シルビは自分でも知らない無意識のうちに色々とそういった物を抱えているみたいなのだが、その中でも『父親』は嫌悪対象の筆頭である事をシャチは知らない。だからトラウマの説明をした時に言った『首を絞めてきた』という話に、その人物がどういう奴なのか気になっただけだろう。
「あ、嫌だったら別にいいんだけど」
「嫌っていうか……うん」
あまりいい記憶、というかいい記憶自体が無いし、そもそも『最初の生物学上の父親』なだけなのであまり覚えてもいない。故意に忘れたというのもあるだろうが。
嫌いな相手を思い出す事自体、あまりしたいものでもない。しかしシャチが聞いてきたのだしと干したシーツを洗濯バサミで留めてから、少しだけ話す為に思い出してみる。
「……金髪だったぁ」
「へー」
「双子の弟が居て、弟は母親と同じ髪の色をしてたんだけど、俺はどっちとも違う髪の色だったから、生まれた瞬間から悪魔扱いだったなぁ」
「え……」
「滅多に帰ってこなかったけど、視界に入る度に物を投げつけられたし食事に毒は混ぜ込まれたし、首を絞めてくるのはそう考えると優しかったのかぁ?」
「ぜんっせん優しくないって!」
あの男のせいで年上の男性が嫌悪対象だったのも、今となっては結構懐かしい思い出だ。出会ったばかりの親友相手に弟を取られたと思って敵意むき出しだったのは、それも関係している。
その後親友の兄であるジョット達と関わったり、幼少期とはいえ金髪だったヴァンに頭を撫でられたり、上司だったリヴァイが転生後に叔父として一緒に生活したりで、本当に随分と緩和しているのだ。
「……そういや声が似てるぅ?」
思い出したついでに船長と叔父の類似点に気付く。恩人のジャックも確かリヴァイに似ていたし、もしかしたら自分は結構あの叔父を信頼していたのかもしれない。
だから比較的簡単に声が似ている船長へ気を許しているのか。
だとしても、今は会えないわけだが。
「碌なヤツじゃなかったんだなー」
「碌な人だったら俺は平穏な幼少期を送っただろうなぁ」
きっと人を殺すのだってもっと遅くなった。
洗濯物を全て干し終えて空になった洗濯籠を抱え上げ話も終わりにする。別にもう少し話したって良くはあったが、既に話す内容の方が無い。
「ああでも、そうだったらシャチ達に会えなかったかもなぁ」
「ペンギンの父親って、どんな人だったの?」
洗濯物を干している時にシャチに尋ねられ、シルビは防寒帽の下で眉を潜めた。
遡る事数日前、ベポの寝場所を移動しようという話をした時に、ベポに『嫌い』と言われてトラウマを掘り起こされたのはまだ新しい記憶である。
長く生きていることもあってか、シルビは自分でも知らない無意識のうちに色々とそういった物を抱えているみたいなのだが、その中でも『父親』は嫌悪対象の筆頭である事をシャチは知らない。だからトラウマの説明をした時に言った『首を絞めてきた』という話に、その人物がどういう奴なのか気になっただけだろう。
「あ、嫌だったら別にいいんだけど」
「嫌っていうか……うん」
あまりいい記憶、というかいい記憶自体が無いし、そもそも『最初の生物学上の父親』なだけなのであまり覚えてもいない。故意に忘れたというのもあるだろうが。
嫌いな相手を思い出す事自体、あまりしたいものでもない。しかしシャチが聞いてきたのだしと干したシーツを洗濯バサミで留めてから、少しだけ話す為に思い出してみる。
「……金髪だったぁ」
「へー」
「双子の弟が居て、弟は母親と同じ髪の色をしてたんだけど、俺はどっちとも違う髪の色だったから、生まれた瞬間から悪魔扱いだったなぁ」
「え……」
「滅多に帰ってこなかったけど、視界に入る度に物を投げつけられたし食事に毒は混ぜ込まれたし、首を絞めてくるのはそう考えると優しかったのかぁ?」
「ぜんっせん優しくないって!」
あの男のせいで年上の男性が嫌悪対象だったのも、今となっては結構懐かしい思い出だ。出会ったばかりの親友相手に弟を取られたと思って敵意むき出しだったのは、それも関係している。
その後親友の兄であるジョット達と関わったり、幼少期とはいえ金髪だったヴァンに頭を撫でられたり、上司だったリヴァイが転生後に叔父として一緒に生活したりで、本当に随分と緩和しているのだ。
「……そういや声が似てるぅ?」
思い出したついでに船長と叔父の類似点に気付く。恩人のジャックも確かリヴァイに似ていたし、もしかしたら自分は結構あの叔父を信頼していたのかもしれない。
だから比較的簡単に声が似ている船長へ気を許しているのか。
だとしても、今は会えないわけだが。
「碌なヤツじゃなかったんだなー」
「碌な人だったら俺は平穏な幼少期を送っただろうなぁ」
きっと人を殺すのだってもっと遅くなった。
洗濯物を全て干し終えて空になった洗濯籠を抱え上げ話も終わりにする。別にもう少し話したって良くはあったが、既に話す内容の方が無い。
「ああでも、そうだったらシャチ達に会えなかったかもなぁ」