原作前日常編2
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バンダナ視点
船長がペンギンの部屋へ向かって一時間ほど経って、自分のせいかと落ち込んでいたベポを落ち着かせ食堂で船長が戻ってくるのを待っていると、二人分の足音と話し声が近付いてきた。
「新しいベッド買うにしても、ベポのベッドは大きくした方がいいでしょう?」
「ベポばっかり特別扱いするなよ」
「いやいや特別扱いしてんの船長ですからぁ」
「ペンギン!」
ベポ用のベッドの相談をしながら食堂に入ってきたその姿のうち、背の低い方にベポが突進していく。体当たり同然に飛びつかれてもよろけずに抱き止めたペンギンは、ぎゅうぎゅうとしがみ付かれたままベポの頭を撫でた。
「ごめんなぁベポ。心配させたみてぇで」
「オ、オレ、オレもゴメンナサイ! ペンギンのこと嫌いじゃないからね!」
そう叫んだベポの言葉に、一瞬ペンギンがぎこちない動きをした気がしたが、気のせいだったのかいつもの防寒帽の下へ口元に笑みを浮かべている。バンダナが船長を見れば、船長は横目でそれを眺めているだけだった。
「そっか。……でも、これからは嘘でも『嫌い』って言わねぇでくれるかぁ?」
「……なんで?」
「泣くからぁ」
「はぁ!?」
「状況によっては不整脈や吐き気や最悪呼吸困難になるぅ」
「ちょっと待てそれは聞いてねェぞ」
「条件反射ですよ。首も絞められましたからねぇ」
不思議がるベポを撫でたまま遠い目をするペンギンに、バンダナ達は説明を求めて当人では無く船長を見る。一時間もペンギンのところへ居たからには引き篭もっていた理由も聞いたはずだという推測からだったが、それにしたって『首も絞められた』というのはあまり面白い話ではない。
そんな不穏な訳のある話なら、今後の為にもバンダナ達だって知っておきたかった。
バンダナ達とペンギンを交互に見やり言いにくそうにしている船長とは違い、ペンギンが大して気にした風でもなく口を開く。その手がさりげなくベポの耳を塞いでいた。
「昔、生物学上の父親に嫌われてて、何度も首を絞めて殺されかけたんです。その時言われてたもんだからちょっとトラウマで」
「それ『ちょっと』違う! 殺人未遂起こってる!」
「だから苦手なんだろぉ。皆も悪ぃけどあまり言わねぇでくれると……」
「もうちょっと真面目にもっと早く教えて欲しかったな!」
口々に叫ぶクルー達へ何故だとばかりの顔をするペンギンに、いつもの事だが呆れてしまう。自分に無頓着なのもここへ極まれりというか。
ベポの寝場所の話から意外な形で発覚したペンギンの弱点だが、どうにも弱点なんて生易しい言葉で表すには重い。当の本人は理由を話して今後その言葉を言われるだろう心配が減ったからか、もういつもの調子を取り戻していた。
もしかしたらペンギンには他にも色々、触れてはいけない琴線が隠されていそうだと思ったのはバンダナだけではないだろう。
船長がペンギンの部屋へ向かって一時間ほど経って、自分のせいかと落ち込んでいたベポを落ち着かせ食堂で船長が戻ってくるのを待っていると、二人分の足音と話し声が近付いてきた。
「新しいベッド買うにしても、ベポのベッドは大きくした方がいいでしょう?」
「ベポばっかり特別扱いするなよ」
「いやいや特別扱いしてんの船長ですからぁ」
「ペンギン!」
ベポ用のベッドの相談をしながら食堂に入ってきたその姿のうち、背の低い方にベポが突進していく。体当たり同然に飛びつかれてもよろけずに抱き止めたペンギンは、ぎゅうぎゅうとしがみ付かれたままベポの頭を撫でた。
「ごめんなぁベポ。心配させたみてぇで」
「オ、オレ、オレもゴメンナサイ! ペンギンのこと嫌いじゃないからね!」
そう叫んだベポの言葉に、一瞬ペンギンがぎこちない動きをした気がしたが、気のせいだったのかいつもの防寒帽の下へ口元に笑みを浮かべている。バンダナが船長を見れば、船長は横目でそれを眺めているだけだった。
「そっか。……でも、これからは嘘でも『嫌い』って言わねぇでくれるかぁ?」
「……なんで?」
「泣くからぁ」
「はぁ!?」
「状況によっては不整脈や吐き気や最悪呼吸困難になるぅ」
「ちょっと待てそれは聞いてねェぞ」
「条件反射ですよ。首も絞められましたからねぇ」
不思議がるベポを撫でたまま遠い目をするペンギンに、バンダナ達は説明を求めて当人では無く船長を見る。一時間もペンギンのところへ居たからには引き篭もっていた理由も聞いたはずだという推測からだったが、それにしたって『首も絞められた』というのはあまり面白い話ではない。
そんな不穏な訳のある話なら、今後の為にもバンダナ達だって知っておきたかった。
バンダナ達とペンギンを交互に見やり言いにくそうにしている船長とは違い、ペンギンが大して気にした風でもなく口を開く。その手がさりげなくベポの耳を塞いでいた。
「昔、生物学上の父親に嫌われてて、何度も首を絞めて殺されかけたんです。その時言われてたもんだからちょっとトラウマで」
「それ『ちょっと』違う! 殺人未遂起こってる!」
「だから苦手なんだろぉ。皆も悪ぃけどあまり言わねぇでくれると……」
「もうちょっと真面目にもっと早く教えて欲しかったな!」
口々に叫ぶクルー達へ何故だとばかりの顔をするペンギンに、いつもの事だが呆れてしまう。自分に無頓着なのもここへ極まれりというか。
ベポの寝場所の話から意外な形で発覚したペンギンの弱点だが、どうにも弱点なんて生易しい言葉で表すには重い。当の本人は理由を話して今後その言葉を言われるだろう心配が減ったからか、もういつもの調子を取り戻していた。
もしかしたらペンギンには他にも色々、触れてはいけない琴線が隠されていそうだと思ったのはバンダナだけではないだろう。