原作前日常編2
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夢主視点
船長が海に落ちた。のを、助けに行ったイルカとシャチが風邪を引いた。
襲撃を受けての終わり頃、敵の数も戦意も減り気が緩んだ瞬間の出来事で、シルビは敵船のマスト上に居た敵船員を海へ蹴り飛ばしていたから、そのどちらも助けに行けなかったのだ。他のクルー達が潜水艦の上で、慌てて無力状態の船長を船内へ押し込んだのは見た。
騒ぎが済んで一通りの後始末を終わらせ、シルビが船内へ戻った時には三人とも着替えも終えていたから、気にする事はないと思って一夜。
「二三日安静にしてなさい。副船長命令」
「……うー」
「鼻が、詰まるぅ……」
寝台で掛け布の下に潜り込んでいる二人の顔は赤い。熱も高くなっているイルカの額へ触れれば、シルビの手の冷たさが心地よいのか目を細める。
解熱剤も用意したほうがいいかと用意する薬について考えながら手を離した。料理番へ療養食を作っても貰わなければならない。
振り返れば出入り口のところでワカメとベポが覗き込んでいる。二人の様子がおかしい事へ始めに気付いたのはワカメだし、ベポも遊んでもらう約束をしていたとか言っていたから、心配なのだろう。
部屋を出ればベポが足へしがみ付いてきた。
「大丈夫なのか? 二人とも」
「ただの風邪だよ。医者の集団が居る船でちゃんと養生してんだから、大丈夫」
「やっぱり昨日海に落ちたのが悪かったのかな」
「だろうなぁ。船長に報告しねぇと」
日々を好き勝手に生活している船長は今日もまだ起きてきていない。昨日は帽子が濡れたとかで落ち込みながら必死に乾かしていたが、夕食後も乾かないと頑張っていた気がする。
まさかそれで徹夜していたらどうしようかと、ベポの手を引いて船長室へ向かう。
船長に報告した後の、イルカとシャチが抜けた分の今日の当番を誰に代わってもらうかを考えながら、シルビは途中で料理番に食事の事を伝えに行くワカメと分かれて、船長室の扉をノックした。
「船長? 入りますよ」
いつもなら寝ていようと聞こえる返事が無い。見上げてきたベポと顔を見合わせて扉を開ければ、普段よりも少し熱の篭った室温。
嫌な予感がして机に突っ伏している船長へと近付いて顔を覗きこむ。案の定普段よりも血行のいい顔色はしかし、決して健康的なそれでではなく熱があるからだ。
「ベポ、食堂に行ってワカメに『一人追加』って伝えてくれるかぁ?」
「アイッ」
部屋を駆け出していくベポを見送ってから船長の肩を軽く叩く。重そうに開けられた眼には生理的な涙の膜。
「ベッド行けぇ」
船長が海に落ちた。のを、助けに行ったイルカとシャチが風邪を引いた。
襲撃を受けての終わり頃、敵の数も戦意も減り気が緩んだ瞬間の出来事で、シルビは敵船のマスト上に居た敵船員を海へ蹴り飛ばしていたから、そのどちらも助けに行けなかったのだ。他のクルー達が潜水艦の上で、慌てて無力状態の船長を船内へ押し込んだのは見た。
騒ぎが済んで一通りの後始末を終わらせ、シルビが船内へ戻った時には三人とも着替えも終えていたから、気にする事はないと思って一夜。
「二三日安静にしてなさい。副船長命令」
「……うー」
「鼻が、詰まるぅ……」
寝台で掛け布の下に潜り込んでいる二人の顔は赤い。熱も高くなっているイルカの額へ触れれば、シルビの手の冷たさが心地よいのか目を細める。
解熱剤も用意したほうがいいかと用意する薬について考えながら手を離した。料理番へ療養食を作っても貰わなければならない。
振り返れば出入り口のところでワカメとベポが覗き込んでいる。二人の様子がおかしい事へ始めに気付いたのはワカメだし、ベポも遊んでもらう約束をしていたとか言っていたから、心配なのだろう。
部屋を出ればベポが足へしがみ付いてきた。
「大丈夫なのか? 二人とも」
「ただの風邪だよ。医者の集団が居る船でちゃんと養生してんだから、大丈夫」
「やっぱり昨日海に落ちたのが悪かったのかな」
「だろうなぁ。船長に報告しねぇと」
日々を好き勝手に生活している船長は今日もまだ起きてきていない。昨日は帽子が濡れたとかで落ち込みながら必死に乾かしていたが、夕食後も乾かないと頑張っていた気がする。
まさかそれで徹夜していたらどうしようかと、ベポの手を引いて船長室へ向かう。
船長に報告した後の、イルカとシャチが抜けた分の今日の当番を誰に代わってもらうかを考えながら、シルビは途中で料理番に食事の事を伝えに行くワカメと分かれて、船長室の扉をノックした。
「船長? 入りますよ」
いつもなら寝ていようと聞こえる返事が無い。見上げてきたベポと顔を見合わせて扉を開ければ、普段よりも少し熱の篭った室温。
嫌な予感がして机に突っ伏している船長へと近付いて顔を覗きこむ。案の定普段よりも血行のいい顔色はしかし、決して健康的なそれでではなく熱があるからだ。
「ベポ、食堂に行ってワカメに『一人追加』って伝えてくれるかぁ?」
「アイッ」
部屋を駆け出していくベポを見送ってから船長の肩を軽く叩く。重そうに開けられた眼には生理的な涙の膜。
「ベッド行けぇ」