原作前日常編
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バンダナ視点
残酷な所業を行なっていた女領主の屋敷から脱出した夜から、その港町もハートの海賊団も関係なくてんやわんやの騒ぎだった。
連れて行かれた娘達が帰ってきた者はうれし泣きをするが、帰ってこなかった者達のことを考えるとそうそう喜んでもいられず、屋敷へ家族の遺品か何かが残ってやしないかと見に行った者が、屋敷の奥の惨状を見て吐くや叫ぶやの大騒ぎ。
それとは全く関係なく、船長とペンギンがベポに『臭い』と言われて落ち込んでいた。おそらくあの二人はシャチ達よりも長く屋敷にいたし、ペンギンに至っては血だらけの死体を抱え降ろしたとも言っていたから、血の匂いが染み付いてしまったのだろう。
「……ただいまぁ」
「おかえり。風呂は温めなおさないとぬるいかもよ」
「先に珈琲飲みてぇです」
甲板のタラップを医療道具の入った鞄を提げたペンギンが疲れたように上がってくる。
血の匂いを消す為に船長が風呂へ入ると言い出した後、ペンギンは再び船を降りて血塗れの格好のまま、住民達と屋敷へ戻り色々話し合っていたのだ。主に船長が見つけたらしい財宝の事や、屋敷の奥へ放置されている死体の事で。
それから日が昇って暫く経った今までずっと陸に居た。
「後で船長にも報告しますけど、財宝の三分の一は『強奪』という形でハートの物にする事にしました。残りの三分の二は町の人達で好きにしてもらいます」
「随分と優しい対応だねえ」
「その『強奪』分とは別に、金を払えば死体のエンバーミング処理をすると言ってきました。全部の死体をやるとなりゃあそこの財宝だけじゃ足りねぇでしょう」
既に黒く乾ききっている血のこびり付いた服のまま、ペンギンは眠そうにクルーが持って来てくれた珈琲に口を付ける。そういえばペンギンは徹夜状態なのかと今更思い至った。
「領主はどうしたんだい?」
「あれは……一応舌を噛んで自殺しねぇようにして、使用人達と一緒に拘束してあります。彼女を裁くのは町の人がやるべきでしょう。使用人の中に数人小額ですけど賞金首が居たし、海軍へ引き渡すのでも」
欠伸を噛み殺して話すペンギンとは逆に、風呂へ入って一眠りもして元気そうな船長が船内から出てくる。
「まだそんな格好なのか」
「さっきまでコニーのお姉さんのエンバーミングしてたんですよ。財宝については話をつけてきたんで、今から首を出しに行かねぇでくださいね。恥ずかしいから」
「コニーの姉、か」
バンダナの知らない名前だ。けれども二人が知っているという事は、屋敷で捕まっていた者かその関係者だろう。
残酷な所業を行なっていた女領主の屋敷から脱出した夜から、その港町もハートの海賊団も関係なくてんやわんやの騒ぎだった。
連れて行かれた娘達が帰ってきた者はうれし泣きをするが、帰ってこなかった者達のことを考えるとそうそう喜んでもいられず、屋敷へ家族の遺品か何かが残ってやしないかと見に行った者が、屋敷の奥の惨状を見て吐くや叫ぶやの大騒ぎ。
それとは全く関係なく、船長とペンギンがベポに『臭い』と言われて落ち込んでいた。おそらくあの二人はシャチ達よりも長く屋敷にいたし、ペンギンに至っては血だらけの死体を抱え降ろしたとも言っていたから、血の匂いが染み付いてしまったのだろう。
「……ただいまぁ」
「おかえり。風呂は温めなおさないとぬるいかもよ」
「先に珈琲飲みてぇです」
甲板のタラップを医療道具の入った鞄を提げたペンギンが疲れたように上がってくる。
血の匂いを消す為に船長が風呂へ入ると言い出した後、ペンギンは再び船を降りて血塗れの格好のまま、住民達と屋敷へ戻り色々話し合っていたのだ。主に船長が見つけたらしい財宝の事や、屋敷の奥へ放置されている死体の事で。
それから日が昇って暫く経った今までずっと陸に居た。
「後で船長にも報告しますけど、財宝の三分の一は『強奪』という形でハートの物にする事にしました。残りの三分の二は町の人達で好きにしてもらいます」
「随分と優しい対応だねえ」
「その『強奪』分とは別に、金を払えば死体のエンバーミング処理をすると言ってきました。全部の死体をやるとなりゃあそこの財宝だけじゃ足りねぇでしょう」
既に黒く乾ききっている血のこびり付いた服のまま、ペンギンは眠そうにクルーが持って来てくれた珈琲に口を付ける。そういえばペンギンは徹夜状態なのかと今更思い至った。
「領主はどうしたんだい?」
「あれは……一応舌を噛んで自殺しねぇようにして、使用人達と一緒に拘束してあります。彼女を裁くのは町の人がやるべきでしょう。使用人の中に数人小額ですけど賞金首が居たし、海軍へ引き渡すのでも」
欠伸を噛み殺して話すペンギンとは逆に、風呂へ入って一眠りもして元気そうな船長が船内から出てくる。
「まだそんな格好なのか」
「さっきまでコニーのお姉さんのエンバーミングしてたんですよ。財宝については話をつけてきたんで、今から首を出しに行かねぇでくださいね。恥ずかしいから」
「コニーの姉、か」
バンダナの知らない名前だ。けれども二人が知っているという事は、屋敷で捕まっていた者かその関係者だろう。