原作前日常編
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夢主視点
小銃の弾も手に入れて聞き出した部屋へと向かう。女主人が真面目に領主としての役割を果たしていないのをいいことに、今回のようにフラフラと罠に掛かった海賊の財宝を勝手に私物化していたらしい。トップが駄目だと下も駄目になるという典型だが、聞けば彼らは元々そうして罠に掛かった海賊や旅人の生き残りだといっていた。
だったら尚更命乞いなどしても無駄だとは思わなかったのか、甚だ不可解でならない。
急いでいるせいか無駄に広く感じられる屋敷をエントランスへ向かえば、向かい側の扉が閉まったところの様だった。船長とコニーが無事に拘束から逃れて向かったのだろうかとその後を追いかけようとすると、今更になって武器を携えて使用人達が飛び出してくる。
使用人としての態度をかなぐり捨て、元の荒くれ者だった勢いを前面に押し出してきている彼らに、シルビは息を吐いて小銃の銃口を向けた。
「急いでんだよ。邪魔されると手加減するの面倒になんだろぉ」
「一人で何を言ってやがっ!?」
「はい、一人目ぇ」
小銃を回転させてリロードする。一応狙っているのは致命傷にはならない場所だ。急いで止血してちゃんとした処置を受ければ何も問題は無い。
問題は無いが、そうさせてやるつもりは態度次第では無かった。
「散弾欲しかったなぁ」
もう一発、と思って引き金に掛けた指へ力を込めた瞬間、向かおうとしていた扉の向こうでも銃声が響く。
思わず振り返りながら撃ってしまったものだから、手元が狂って誰かの胸に直撃してしまった気もするが、無視して走り出し扉に体当たりする様に押し開いた。
廊下の先にはバスローブの女がコニーを庇うように立っている船長と対峙していて、扉が開いた音に反応して振り返った女が、確認もせずに持っていた猟銃を撃つ。
「うぉっ!?」
「ペンギン!」
倒れたことで弾は避けられたが帽子が脱げてしまった。防寒帽と船長の帽子が転がっていくのに、身体を起こして手を伸ばすとその先へ二発目が着弾する。
結わえる余裕も無く散らばる髪を掻き梳いて女を見れば、女はシルビを見て場違いに微笑み銃を降ろした。
「あら、海賊にはお嬢さんもいたのね。そうだと知っていれば貴方も是非招待したのに」
しゃがんだ姿勢のまま女を見る。その女こそこの屋敷の主であり『女吸血鬼』紛いな事をしでかしていた張本人なのだろう。
バスローブ以外には何も身に纏っておらず、前も閉めていないので身体の殆どが丸見えだ。コニーという子供がいるというのに教育に悪いなと、こちらも場違いな事を考える。よく考えればシルビの服は血塗れだし、他にもこの屋敷には子供には見せられないものが沢山あったが。
それよりシルビのことを『お嬢さん』と勘違いした女に、訂正すべきかと思っていると背後の穴があいた扉が開かれた。シルビを追って使用人達が来たのだ。
使用人達は勢い付いてきたものの、しゃがんでいるシルビより先に雇い主でもある女の姿を眼にして固まる。驚いたのか見惚れたのかは分からない。
「ペンギン!」
「了解! 船長!」
その一瞬に、落とした帽子二つを投げる。女の頭上を通過して船長の元へ向けて。
「――“ROOM”!」
小銃の弾も手に入れて聞き出した部屋へと向かう。女主人が真面目に領主としての役割を果たしていないのをいいことに、今回のようにフラフラと罠に掛かった海賊の財宝を勝手に私物化していたらしい。トップが駄目だと下も駄目になるという典型だが、聞けば彼らは元々そうして罠に掛かった海賊や旅人の生き残りだといっていた。
だったら尚更命乞いなどしても無駄だとは思わなかったのか、甚だ不可解でならない。
急いでいるせいか無駄に広く感じられる屋敷をエントランスへ向かえば、向かい側の扉が閉まったところの様だった。船長とコニーが無事に拘束から逃れて向かったのだろうかとその後を追いかけようとすると、今更になって武器を携えて使用人達が飛び出してくる。
使用人としての態度をかなぐり捨て、元の荒くれ者だった勢いを前面に押し出してきている彼らに、シルビは息を吐いて小銃の銃口を向けた。
「急いでんだよ。邪魔されると手加減するの面倒になんだろぉ」
「一人で何を言ってやがっ!?」
「はい、一人目ぇ」
小銃を回転させてリロードする。一応狙っているのは致命傷にはならない場所だ。急いで止血してちゃんとした処置を受ければ何も問題は無い。
問題は無いが、そうさせてやるつもりは態度次第では無かった。
「散弾欲しかったなぁ」
もう一発、と思って引き金に掛けた指へ力を込めた瞬間、向かおうとしていた扉の向こうでも銃声が響く。
思わず振り返りながら撃ってしまったものだから、手元が狂って誰かの胸に直撃してしまった気もするが、無視して走り出し扉に体当たりする様に押し開いた。
廊下の先にはバスローブの女がコニーを庇うように立っている船長と対峙していて、扉が開いた音に反応して振り返った女が、確認もせずに持っていた猟銃を撃つ。
「うぉっ!?」
「ペンギン!」
倒れたことで弾は避けられたが帽子が脱げてしまった。防寒帽と船長の帽子が転がっていくのに、身体を起こして手を伸ばすとその先へ二発目が着弾する。
結わえる余裕も無く散らばる髪を掻き梳いて女を見れば、女はシルビを見て場違いに微笑み銃を降ろした。
「あら、海賊にはお嬢さんもいたのね。そうだと知っていれば貴方も是非招待したのに」
しゃがんだ姿勢のまま女を見る。その女こそこの屋敷の主であり『女吸血鬼』紛いな事をしでかしていた張本人なのだろう。
バスローブ以外には何も身に纏っておらず、前も閉めていないので身体の殆どが丸見えだ。コニーという子供がいるというのに教育に悪いなと、こちらも場違いな事を考える。よく考えればシルビの服は血塗れだし、他にもこの屋敷には子供には見せられないものが沢山あったが。
それよりシルビのことを『お嬢さん』と勘違いした女に、訂正すべきかと思っていると背後の穴があいた扉が開かれた。シルビを追って使用人達が来たのだ。
使用人達は勢い付いてきたものの、しゃがんでいるシルビより先に雇い主でもある女の姿を眼にして固まる。驚いたのか見惚れたのかは分からない。
「ペンギン!」
「了解! 船長!」
その一瞬に、落とした帽子二つを投げる。女の頭上を通過して船長の元へ向けて。
「――“ROOM”!」