【瑞獣】
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サタン視点
ギリシャの地獄であるタルタロスの底には巨大な扉がある。その扉の存在は各国の神々の重鎮しか知らず、EU地獄を治める立場であるサタンはもちろんそれを知っていた。
見上げざるをえない巨大な扉だ。それには何重にも鎖が巻き付いていて、扉の中心にいる石像がそれをまとめている。石像には『大いなる封印』という名前があって、それはそういう『事象』なのだ。
「あの扉の向こうさ、何があると思う?」
「さあ? 私は知りません」
ベルセバブはあの扉の事を知っている。その妻のリリスも知っている。
ただどちらも扉の向こうのことは知らなかった。サタンが知らないのだからそれも当然と言えば当然か。
開けてみたいと思ったことは、正直、ある。本当に開けてみようとしたことはない。何故ならあの扉を開ければ“恐ろしいこと”が起こると何となく察しているからだ。
それは日本の地獄にいるあの黒髪の鬼より恐ろしい。
EU地獄で悪魔の王であるサタンですらそう思う。他の地獄をそれぞれ治めている神や神話上サタンと同じく悪魔の王とされている神へも聞いてみたが、誰もが同じ答えを返してきていた。
イスラム神話のイブリスには聞いていない。この世界にその名前はあってもその姿を見た者は一人もいないような相手である。
きっとどこかの洞窟に引きこもっているか何かしているのだろう。あれは悪魔の王という概念を持っていても少し『特別』だ。
「最近悪魔を召還する人間も少ないし、暇だよね。いや悪魔が暇なのはいいこと?」
悪魔の手を煩わせずに自分の欲へ忠実でいられる世の中は平穏だろう。昔は悪魔を召還して契約しなければ欲望に忠実でいるのも大変で、その度に偉大なる父の手下である天使達が忙しかった。
元天使であるサタンとしては、働かない生活はオススメしたいくらい楽しい。ただ天使達はどこまでも偉大なる父に盲目で困る。
「悪魔が暇って事はその悪魔を退治すべき天使も暇って事だよね。ならミカエル達も平穏か」
「サタン様ったら。天使も悪魔も仕事してなかったら存在を忘れられちゃうわ」
「あーうん。そっかあ」
「アタシ、お仕事してるサタン様もダーリンも好きよ。それで増えるお金も」
リリスに言われてベルセバブがやる気を出していた。サタンも筋トレをしようとして、ふとさっきのリリスの言葉に引っかかるモノを感じる。
けれども何に引っかかったのか思い出せず、かわいいメイドが一礼して横をすり抜けていくのにすぐに忘れた。
ギリシャの地獄であるタルタロスの底には巨大な扉がある。その扉の存在は各国の神々の重鎮しか知らず、EU地獄を治める立場であるサタンはもちろんそれを知っていた。
見上げざるをえない巨大な扉だ。それには何重にも鎖が巻き付いていて、扉の中心にいる石像がそれをまとめている。石像には『大いなる封印』という名前があって、それはそういう『事象』なのだ。
「あの扉の向こうさ、何があると思う?」
「さあ? 私は知りません」
ベルセバブはあの扉の事を知っている。その妻のリリスも知っている。
ただどちらも扉の向こうのことは知らなかった。サタンが知らないのだからそれも当然と言えば当然か。
開けてみたいと思ったことは、正直、ある。本当に開けてみようとしたことはない。何故ならあの扉を開ければ“恐ろしいこと”が起こると何となく察しているからだ。
それは日本の地獄にいるあの黒髪の鬼より恐ろしい。
EU地獄で悪魔の王であるサタンですらそう思う。他の地獄をそれぞれ治めている神や神話上サタンと同じく悪魔の王とされている神へも聞いてみたが、誰もが同じ答えを返してきていた。
イスラム神話のイブリスには聞いていない。この世界にその名前はあってもその姿を見た者は一人もいないような相手である。
きっとどこかの洞窟に引きこもっているか何かしているのだろう。あれは悪魔の王という概念を持っていても少し『特別』だ。
「最近悪魔を召還する人間も少ないし、暇だよね。いや悪魔が暇なのはいいこと?」
悪魔の手を煩わせずに自分の欲へ忠実でいられる世の中は平穏だろう。昔は悪魔を召還して契約しなければ欲望に忠実でいるのも大変で、その度に偉大なる父の手下である天使達が忙しかった。
元天使であるサタンとしては、働かない生活はオススメしたいくらい楽しい。ただ天使達はどこまでも偉大なる父に盲目で困る。
「悪魔が暇って事はその悪魔を退治すべき天使も暇って事だよね。ならミカエル達も平穏か」
「サタン様ったら。天使も悪魔も仕事してなかったら存在を忘れられちゃうわ」
「あーうん。そっかあ」
「アタシ、お仕事してるサタン様もダーリンも好きよ。それで増えるお金も」
リリスに言われてベルセバブがやる気を出していた。サタンも筋トレをしようとして、ふとさっきのリリスの言葉に引っかかるモノを感じる。
けれども何に引っかかったのか思い出せず、かわいいメイドが一礼して横をすり抜けていくのにすぐに忘れた。