【瑞獣】
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鬼灯視点
閻魔庁へ白澤と一緒に帰ってきた一子は、昨日喧嘩したばかりだというのに顔を合わせた途端二子と仲直りをしてしまった。そんな簡単に仲直りするものならば、喧嘩もしなければいいのにと思っていると紙袋を差し出される。
「何ですか」
「桃マン。一子ちゃんにも手伝ってもらって作ったんだぁ」
「それはありがたくいただきましょう」
お菓子に罪は無い。
紙袋を開ければ出来立てを詰めたとばかりに甘い香りが広がった。休憩時間にでも食べるかと算段をつけて封を閉めると着物の袂を引っ張られる。見下ろせば一子も鬼灯が受け取った物と同じ様な紙袋を開けていて、その中から一つ桃マンを鬼灯へ向けて差し出していた。
「どうしました」
「余るから、鬼灯様に」
既に二子の手へ渡されている二つの桃マンを見て、ああなるほどと昨日からの一連の騒ぎについて理解する。白澤は座敷童子の二人を穏やかに見つめていて、自分よりも『保護者っぽい』と思ってしまった。
確かに自分よりは経験があるのだろうけれど、子供なんて育てた事は無いだろうに。
一子の手から受け取った桃マンを二つに割る。それからそれぞれ一子と二子へ差し出して食べるように言うと、二人が全く同じタイミングで口へ運んだ。
これも正解だろう。
「お手数をお掛けしました」
「たまには何処かへ泊まりに行くのも悪い話じゃねぇだろぉ。今度はちゃんと鬼灯に許可を取って、二人一緒に来なさい」
珍しく驚いたように振り返った一子に、白澤はしゃがんで二人の頭を撫でた。
「また行ってもいいの?」
「あんまり構ってやれねぇけどなぁ」
どうやら一晩にして一子は随分と白澤に慣れたらしい。それに何となくもやっとしたものを覚えたが、双子も白澤も気付いた様子は無かった。
「私は誘っていただけないのですか」
「お前が来たら俺は何処で寝んだよぉ。どう考えても俺が店で寝るしかなくなんだろぉ」
さも当然とばかりに鬼灯が行ったら自分の寝台を使わせるつもりらしい白澤に、コイツは人のことをどう思っているのかと疑問が浮かぶ。立場的に鬼灯の方が下だというのに、鬼灯のことを許容しすぎだろう。
立ち上がって笑みを浮かべた白澤が、座敷童子の二人へそうしたように鬼灯の頭へ手を伸ばす。
「来るなら出来れば気候がいい日に来てくれぇ。でねぇと風邪引くから」
「……白豚でも風邪を、いえ、豚インフルエンザは大変ですね」
「掛かったらゼッテェ移してやるぅ」
口ではそう言っても、実際にインフルエンザへ掛かったら鬼灯へ知らせもせずに治そうとするのだろう。頭へ伸ばされた白澤の手を払って睨みつけた。
臆せず笑う白澤は鬼灯を甘やかしてばかりで喧嘩もしてくれない。そのくせ少しでも喧嘩しようものなら、簡単に突き放せるのだろう彼は卑怯だと思う。
閻魔庁へ白澤と一緒に帰ってきた一子は、昨日喧嘩したばかりだというのに顔を合わせた途端二子と仲直りをしてしまった。そんな簡単に仲直りするものならば、喧嘩もしなければいいのにと思っていると紙袋を差し出される。
「何ですか」
「桃マン。一子ちゃんにも手伝ってもらって作ったんだぁ」
「それはありがたくいただきましょう」
お菓子に罪は無い。
紙袋を開ければ出来立てを詰めたとばかりに甘い香りが広がった。休憩時間にでも食べるかと算段をつけて封を閉めると着物の袂を引っ張られる。見下ろせば一子も鬼灯が受け取った物と同じ様な紙袋を開けていて、その中から一つ桃マンを鬼灯へ向けて差し出していた。
「どうしました」
「余るから、鬼灯様に」
既に二子の手へ渡されている二つの桃マンを見て、ああなるほどと昨日からの一連の騒ぎについて理解する。白澤は座敷童子の二人を穏やかに見つめていて、自分よりも『保護者っぽい』と思ってしまった。
確かに自分よりは経験があるのだろうけれど、子供なんて育てた事は無いだろうに。
一子の手から受け取った桃マンを二つに割る。それからそれぞれ一子と二子へ差し出して食べるように言うと、二人が全く同じタイミングで口へ運んだ。
これも正解だろう。
「お手数をお掛けしました」
「たまには何処かへ泊まりに行くのも悪い話じゃねぇだろぉ。今度はちゃんと鬼灯に許可を取って、二人一緒に来なさい」
珍しく驚いたように振り返った一子に、白澤はしゃがんで二人の頭を撫でた。
「また行ってもいいの?」
「あんまり構ってやれねぇけどなぁ」
どうやら一晩にして一子は随分と白澤に慣れたらしい。それに何となくもやっとしたものを覚えたが、双子も白澤も気付いた様子は無かった。
「私は誘っていただけないのですか」
「お前が来たら俺は何処で寝んだよぉ。どう考えても俺が店で寝るしかなくなんだろぉ」
さも当然とばかりに鬼灯が行ったら自分の寝台を使わせるつもりらしい白澤に、コイツは人のことをどう思っているのかと疑問が浮かぶ。立場的に鬼灯の方が下だというのに、鬼灯のことを許容しすぎだろう。
立ち上がって笑みを浮かべた白澤が、座敷童子の二人へそうしたように鬼灯の頭へ手を伸ばす。
「来るなら出来れば気候がいい日に来てくれぇ。でねぇと風邪引くから」
「……白豚でも風邪を、いえ、豚インフルエンザは大変ですね」
「掛かったらゼッテェ移してやるぅ」
口ではそう言っても、実際にインフルエンザへ掛かったら鬼灯へ知らせもせずに治そうとするのだろう。頭へ伸ばされた白澤の手を払って睨みつけた。
臆せず笑う白澤は鬼灯を甘やかしてばかりで喧嘩もしてくれない。そのくせ少しでも喧嘩しようものなら、簡単に突き放せるのだろう彼は卑怯だと思う。