【瑞獣】
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夢主視点
桃源郷の気候が穏やかである事もあって、アマネは一晩くらい気にするつもりもなく一子へ寝台を譲った。桃太郎が地味にホッとしていたのは釈然としないものがあるが。
桃太郎が来たから客が来た時の場所が無くなったんだぞと言ってやりたい。しかし従業員が欲しいと言ったのはアマネだ。
ふと住み込みでは無く通いにすればいいのではと思いもしたが今更だろう。
一子を寝台で寝かせ、桃太郎が風呂へ入っている間に明日期限の依頼品が無いかを確認していると、奥の部屋から一子が出てきた。来るだろう事は分かっていたので両手を広げれば、今日一日で大分慣れたのか簡単に膝へと乗り上げてくる。
「眠れねぇ?」
「……うん」
幼な子へそうするように背中を叩いてあやす。
「明日になったら鬼灯のところへ連れて行ってあげる。だから今夜は『我慢』出来るなぁ?」
「……うん」
「お菓子も作ってあげるから、今度こそ一緒に食うといい」
「……うん」
「……“五個”作るから、二つは一子ちゃんと二子ちゃんで食べて、もう一つは鬼灯にあげなさい。そうすれば今日みてぇな喧嘩はしねぇよ」
双子で奇数を分ける方法。そのうちの一つ。
服を握る手が強くなるのに、アマネはそういった喧嘩をしたことが無いなぁとボンヤリ思った。
アマネは『弟』達とは、自分の分まであげるような考えだったのだ。だから一個多いとか少ないとかで喧嘩した覚えが無い。その辺は双子と違い完全に判明している『兄という立場』のせいかも知れないが。
「喧嘩できる相手がいることは、幸せだと思うぜぇ」
「……白澤様は、鬼灯様と喧嘩している」
「あれは喧嘩とは言えねぇよ。鬼灯が俺を構って『くれて』いるだけだぁ」
そうだ。アマネと鬼灯の関係は決して喧嘩とかが気軽に出来るものではない。立場を考えれば些細な会話でさえ敬語を使い堅苦しくしなければならないものを、鬼灯が許容しているのだ。
イザナミや麒麟や鳳凰の他、鬼灯だけが『さん』呼びにする。一応アマネの方が格は上であっても。
名前でなくても呼び捨てであるだけ、それが嬉しいとか鬼灯は知らないだろうが。
「わたしと喧嘩する?」
「喧嘩しねぇよ。喧嘩の仕方も分からねぇ」
「あれ、寝たんじゃなかったんですか」
風呂から上がってきたらしい桃太郎が一子を見て不思議がっていた。
明日作るのは桃マンでいいだろうか。明日期限の依頼品も無いようだし、桃マンなら鬼灯も食べる。
というか鬼灯は甘い物なら何でも食べるのでむしろ作るほうが困るのだ。明日も双子へ渡す分とは別に鬼灯の分も作った方がいい。
それに関しては、アマネの方が許容してしまっている気がした。
桃源郷の気候が穏やかである事もあって、アマネは一晩くらい気にするつもりもなく一子へ寝台を譲った。桃太郎が地味にホッとしていたのは釈然としないものがあるが。
桃太郎が来たから客が来た時の場所が無くなったんだぞと言ってやりたい。しかし従業員が欲しいと言ったのはアマネだ。
ふと住み込みでは無く通いにすればいいのではと思いもしたが今更だろう。
一子を寝台で寝かせ、桃太郎が風呂へ入っている間に明日期限の依頼品が無いかを確認していると、奥の部屋から一子が出てきた。来るだろう事は分かっていたので両手を広げれば、今日一日で大分慣れたのか簡単に膝へと乗り上げてくる。
「眠れねぇ?」
「……うん」
幼な子へそうするように背中を叩いてあやす。
「明日になったら鬼灯のところへ連れて行ってあげる。だから今夜は『我慢』出来るなぁ?」
「……うん」
「お菓子も作ってあげるから、今度こそ一緒に食うといい」
「……うん」
「……“五個”作るから、二つは一子ちゃんと二子ちゃんで食べて、もう一つは鬼灯にあげなさい。そうすれば今日みてぇな喧嘩はしねぇよ」
双子で奇数を分ける方法。そのうちの一つ。
服を握る手が強くなるのに、アマネはそういった喧嘩をしたことが無いなぁとボンヤリ思った。
アマネは『弟』達とは、自分の分まであげるような考えだったのだ。だから一個多いとか少ないとかで喧嘩した覚えが無い。その辺は双子と違い完全に判明している『兄という立場』のせいかも知れないが。
「喧嘩できる相手がいることは、幸せだと思うぜぇ」
「……白澤様は、鬼灯様と喧嘩している」
「あれは喧嘩とは言えねぇよ。鬼灯が俺を構って『くれて』いるだけだぁ」
そうだ。アマネと鬼灯の関係は決して喧嘩とかが気軽に出来るものではない。立場を考えれば些細な会話でさえ敬語を使い堅苦しくしなければならないものを、鬼灯が許容しているのだ。
イザナミや麒麟や鳳凰の他、鬼灯だけが『さん』呼びにする。一応アマネの方が格は上であっても。
名前でなくても呼び捨てであるだけ、それが嬉しいとか鬼灯は知らないだろうが。
「わたしと喧嘩する?」
「喧嘩しねぇよ。喧嘩の仕方も分からねぇ」
「あれ、寝たんじゃなかったんですか」
風呂から上がってきたらしい桃太郎が一子を見て不思議がっていた。
明日作るのは桃マンでいいだろうか。明日期限の依頼品も無いようだし、桃マンなら鬼灯も食べる。
というか鬼灯は甘い物なら何でも食べるのでむしろ作るほうが困るのだ。明日も双子へ渡す分とは別に鬼灯の分も作った方がいい。
それに関しては、アマネの方が許容してしまっている気がした。