【瑞獣】
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
桃太郎視点
「お風呂は一人で入れるかぁ? それとも俺か桃タロー君と入る?」
「白澤様と入る」
それもそれでどうなのか。
夕食後に寛いでいる間も、一子はどうしてか白澤にべったりだった。白澤もそれを大して気にした様子もなく、本を読みながら片手で一子の髪を撫でたりしていたのを、桃太郎は微妙な気分で眺めていたのである。
そうして風呂へ入る前のその会話で、更に微妙な気分になった。
多分白澤に他意はない。相手は見た目幼女だし初めての『人様の家にお泊り』である訳だし、客を気遣っているだけだと思う。
しかし二人の見た目のせいで犯罪臭を感じるのも確かで。
着替えが無いからと白澤の服を借りに、一子が白澤の部屋へ行くのに桃太郎は白澤を思わず呼び止めた。白澤は予想していたのか一子を一人で行かせて桃太郎を見る。
「年上好みだよ俺は」
「人の考えを読むなよ!」
「イザナミとかイザナギが居なけりゃ結構イイと思ってるよ。でもアイツ性格がなぁ……」
「知りたくなかった友人事情!」
冗談なのか本気なのか分かりかねる発言をして、白澤はポケットから取り出した携帯を操作してから桃太郎へと投げ渡してきた。受け取った携帯の画面には『鬼灯』の文字。
「風呂に行ってる間に連絡とって、二子ちゃんの様子を聞いておいてくれぇ。あと二子ちゃんから事情を聞いたかも」
「あ、はい」
奥の部屋から一子の白澤を呼ぶ声がする。それに返事をした白澤が眼を細めるのにまだ何かあるのかと思った。だが白澤は特に何も言わずに一子の元へ向かう。
渡された携帯を後ろ手に持って桃太郎も入っていけば、引き出しの開けられた箪笥の前で一子が白澤の服を掴んでいた。現世の服であるティシャツだ。
「これ着ていい?」
「寒くねぇ? あーでも寝るだけだし布団に入れば暖けぇかぁ」
そういえば白澤は一子を何処で寝かせるつもりなのか。
二人が店を出て裏手にある露天風呂へ向かってから、桃太郎は白澤の携帯で鬼灯へ電話する。思ったより着信を告げてから時間を掛けて出た鬼灯は、普段より二割増しで声が低い気がした。
『白豚さんですか。一子はどうしてます』
「や、あの、桃太郎です。二人は今風呂に行ってて……」
『……。まあいいでしょう』
数秒の無言は桃太郎と同じ事を思いでもしたのだろうか。白澤に頼まれた事を尋ねると、鬼灯は珍しく困っているようだった。
『二子に話を聞いてみましたが、要領を得ずに黙り込んでいるものでして』
「へー、鬼灯様にはすぐに言いそうなものですけれどね」
『いえ、私も子育ては慣れていませんので』
そんな事を言ったら白澤の方が慣れていなそうだと思う。
「お風呂は一人で入れるかぁ? それとも俺か桃タロー君と入る?」
「白澤様と入る」
それもそれでどうなのか。
夕食後に寛いでいる間も、一子はどうしてか白澤にべったりだった。白澤もそれを大して気にした様子もなく、本を読みながら片手で一子の髪を撫でたりしていたのを、桃太郎は微妙な気分で眺めていたのである。
そうして風呂へ入る前のその会話で、更に微妙な気分になった。
多分白澤に他意はない。相手は見た目幼女だし初めての『人様の家にお泊り』である訳だし、客を気遣っているだけだと思う。
しかし二人の見た目のせいで犯罪臭を感じるのも確かで。
着替えが無いからと白澤の服を借りに、一子が白澤の部屋へ行くのに桃太郎は白澤を思わず呼び止めた。白澤は予想していたのか一子を一人で行かせて桃太郎を見る。
「年上好みだよ俺は」
「人の考えを読むなよ!」
「イザナミとかイザナギが居なけりゃ結構イイと思ってるよ。でもアイツ性格がなぁ……」
「知りたくなかった友人事情!」
冗談なのか本気なのか分かりかねる発言をして、白澤はポケットから取り出した携帯を操作してから桃太郎へと投げ渡してきた。受け取った携帯の画面には『鬼灯』の文字。
「風呂に行ってる間に連絡とって、二子ちゃんの様子を聞いておいてくれぇ。あと二子ちゃんから事情を聞いたかも」
「あ、はい」
奥の部屋から一子の白澤を呼ぶ声がする。それに返事をした白澤が眼を細めるのにまだ何かあるのかと思った。だが白澤は特に何も言わずに一子の元へ向かう。
渡された携帯を後ろ手に持って桃太郎も入っていけば、引き出しの開けられた箪笥の前で一子が白澤の服を掴んでいた。現世の服であるティシャツだ。
「これ着ていい?」
「寒くねぇ? あーでも寝るだけだし布団に入れば暖けぇかぁ」
そういえば白澤は一子を何処で寝かせるつもりなのか。
二人が店を出て裏手にある露天風呂へ向かってから、桃太郎は白澤の携帯で鬼灯へ電話する。思ったより着信を告げてから時間を掛けて出た鬼灯は、普段より二割増しで声が低い気がした。
『白豚さんですか。一子はどうしてます』
「や、あの、桃太郎です。二人は今風呂に行ってて……」
『……。まあいいでしょう』
数秒の無言は桃太郎と同じ事を思いでもしたのだろうか。白澤に頼まれた事を尋ねると、鬼灯は珍しく困っているようだった。
『二子に話を聞いてみましたが、要領を得ずに黙り込んでいるものでして』
「へー、鬼灯様にはすぐに言いそうなものですけれどね」
『いえ、私も子育ては慣れていませんので』
そんな事を言ったら白澤の方が慣れていなそうだと思う。