【瑞獣】
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桃太郎視点
桃源郷の桃を集めに出掛けた白澤が、背中の籠に不貞腐れている子供を入れていた。
というか座敷童子の一子である。
「どうしたんですかそれ」
「拾った?」
自分でもよく分かって無いとばかりに首を傾げた白澤が、籠を降ろして一子を抱き上げた。それから椅子へ座らせて無視するところは、マイペースだなと思わなくも無い。
鬼灯へ連絡を取ったのか聞こうとして籠から桃を取り出している白澤へ近付くと、悪い部分がある桃を選り分けていた白澤は桃太郎を振り返って口の前で人差し指を立てる。これは聞くなということなのだろうかと思いつつ一子を見れば、一子は不貞腐れている様子を隠すことなく動かない。
白澤が一子へ話しかけたのは採ってきた桃を片付け終えてからで、仕事中の休憩も兼ねて淹れたお茶を片手に隣の椅子へ腰を降ろし、俯きがちの顔を覗き込む。
「今日は泊まっていくかぁ?」
「……うん」
そんな事よりももっと聞くべき事があるだろうと突っ込みかけた。けれども白澤の問い掛けに頷いた後、幼子が親へそうするように白澤の白衣へ手を伸ばして握り締めた一子を見てしまっては、桃太郎も何も言えなくなる。
手馴れた様子であやしている白澤も白澤だが、もしかして彼は一子が一人で来た理由も分かっているのか。だとしたらせめて桃太郎には教えて欲しい。従業員だし。
「じゃあ今日の夕飯は七時からです。何かあったら俺か桃タロー君に言いなさい」
それだけ言って白澤は一子の頭を一撫でし、薬の生成をする為に椅子から立ち上がってさっさと作業に入ってしまった。相変わらずマジメな時とサボる時の落差が激しいが、とりあえず今日はマジメに仕事をする日らしい。
サボる時は朝からずっと桃園で昼寝をしている場合もあるので、店にいるだけマシなのか。
無言でそんな白澤の後ろ姿を見つめていた一子は、やがて見つめている事に飽きたとばかりに椅子から降りると兎を追いかけて店の外へと出て行った。桃太郎が窓から窺えば兎の一匹を捕まえてモフっている。
「どうしたんでしょうね」
「桃タロー君は……そういや一人っ子かぁ」
「そうですけどソレが?」
薬研で薬種を粉砕していた白澤が桃太郎を振り返って微笑んだ。
「じゃあ兄弟喧嘩とかしたことねぇだろぉ」
「……あ!?」
「声がでけぇよ。理由までは分かんねぇけどいつも一緒に居るのが一人で来てんだぁ。そんなことだろぉ」
つまりもう一人の座敷童子と喧嘩をして、家出をした訳か。
「でもなんでここまで来たんですかね?」
「他に行く場所があると思ってんのかぁ?」
何処か引っかかる言い方だった。
桃源郷の桃を集めに出掛けた白澤が、背中の籠に不貞腐れている子供を入れていた。
というか座敷童子の一子である。
「どうしたんですかそれ」
「拾った?」
自分でもよく分かって無いとばかりに首を傾げた白澤が、籠を降ろして一子を抱き上げた。それから椅子へ座らせて無視するところは、マイペースだなと思わなくも無い。
鬼灯へ連絡を取ったのか聞こうとして籠から桃を取り出している白澤へ近付くと、悪い部分がある桃を選り分けていた白澤は桃太郎を振り返って口の前で人差し指を立てる。これは聞くなということなのだろうかと思いつつ一子を見れば、一子は不貞腐れている様子を隠すことなく動かない。
白澤が一子へ話しかけたのは採ってきた桃を片付け終えてからで、仕事中の休憩も兼ねて淹れたお茶を片手に隣の椅子へ腰を降ろし、俯きがちの顔を覗き込む。
「今日は泊まっていくかぁ?」
「……うん」
そんな事よりももっと聞くべき事があるだろうと突っ込みかけた。けれども白澤の問い掛けに頷いた後、幼子が親へそうするように白澤の白衣へ手を伸ばして握り締めた一子を見てしまっては、桃太郎も何も言えなくなる。
手馴れた様子であやしている白澤も白澤だが、もしかして彼は一子が一人で来た理由も分かっているのか。だとしたらせめて桃太郎には教えて欲しい。従業員だし。
「じゃあ今日の夕飯は七時からです。何かあったら俺か桃タロー君に言いなさい」
それだけ言って白澤は一子の頭を一撫でし、薬の生成をする為に椅子から立ち上がってさっさと作業に入ってしまった。相変わらずマジメな時とサボる時の落差が激しいが、とりあえず今日はマジメに仕事をする日らしい。
サボる時は朝からずっと桃園で昼寝をしている場合もあるので、店にいるだけマシなのか。
無言でそんな白澤の後ろ姿を見つめていた一子は、やがて見つめている事に飽きたとばかりに椅子から降りると兎を追いかけて店の外へと出て行った。桃太郎が窓から窺えば兎の一匹を捕まえてモフっている。
「どうしたんでしょうね」
「桃タロー君は……そういや一人っ子かぁ」
「そうですけどソレが?」
薬研で薬種を粉砕していた白澤が桃太郎を振り返って微笑んだ。
「じゃあ兄弟喧嘩とかしたことねぇだろぉ」
「……あ!?」
「声がでけぇよ。理由までは分かんねぇけどいつも一緒に居るのが一人で来てんだぁ。そんなことだろぉ」
つまりもう一人の座敷童子と喧嘩をして、家出をした訳か。
「でもなんでここまで来たんですかね?」
「他に行く場所があると思ってんのかぁ?」
何処か引っかかる言い方だった。