【瑞獣】
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桃太郎視点
鬼灯が送り込んだエージェント、もとい座敷童子によって白澤の『極楽満月』はここ暫く繁盛の一途を辿っている。連日訪れる客に大盛況なのは店としては儲かるので良いことだが、桃太郎としては白澤の考えが分からない。
座敷童子の存在に気付いているのかいないのか、客が頻繁に訪れるようになってからのある日の夕食時に、最近繁盛してますねと恐る恐る話を振ってみたところ、白澤は果実酒を飲みながら。
『漢方薬屋が繁盛しても良い事は無ぇよ』
と言っただけだったからだ。
それ以来桃太郎は座敷童子のことも白澤も怖くてその話題は出さないようにしている。
客が来れば流石に真面目に働く白澤は、ここ連日の急がしさのせいか段々と口数が減っていた。サボったり勝手に居なくなったりはしないし、今まで勝手に休業にしていた穴を埋めるように休業日でも店を開けるなどもしていたが、そんな白澤の姿勢を見てか、座敷童子の効果は強まっているように思える。
桃太郎にはしっかりと休みを取らせて、そのくせ自分は休まずに接客と調合を続ける白澤は、真面目すぎて何だか白澤らしくない。
「どう思うよ?」
「真面目に働くってカッコイイよ!」
シロに相談したのが間違いだった。
白澤から貰った休みにお供だった三匹へ会いに行って話してみたのだが、返ってきた感想は最近獄卒としての仕事に生き甲斐を感じているからか、どうも桃太郎の違和感は伝わっていない。
やはり桃太郎の気のせいか普段とのギャップかと結論を出しかけた時、イザナミが寄ってくるのが見えた。白澤と仲が良いらしくその関係で桃太郎とも顔を合わせることが増えた女神は、桃太郎が挨拶しても普通に無視する。
「また店を閉めておるのか?」
「いえ、今日は休業日です。一応店は開いてますけど。何か御用でしたか?」
「白澤に電話したのじゃが繋がらんのでな。いつもなら直ぐに出るじゃろう?」
出るだろうと言われても知らない。いや、プライベート用の携帯は結構直ぐに出ていた気がする。
「最近忙しいんですよ。店が繁盛していて」
「苦しみを緩和する薬を売る店が繁盛してどうする」
無碍なく言い切られはしたが、なるほどと思った。イザナミは仕方ないとばかりに鼻を鳴らして腰へ手を当てる。その女神へ話しかけていくシロは勇者だ。
「でもでもイザナミ様! 真面目に働くのは偉いでしょ?」
「何を言うておる」
「だって白澤様っていつもサボってるじゃん」
「あやつは本来至極真面目な奴じゃよ」
「え、嘘」
「嘘なものか。アレは元々……元々、動いてなければ泣いて倒れるような者じゃった」
「へー白澤様も泣くんだー」
過去形であった事に引っかかりを覚えつつ後日、やっと座敷童子に気付いた白澤が、不動産屋を挟んで店を一度手放してまで座敷童子を追い出した。
鬼灯が送り込んだエージェント、もとい座敷童子によって白澤の『極楽満月』はここ暫く繁盛の一途を辿っている。連日訪れる客に大盛況なのは店としては儲かるので良いことだが、桃太郎としては白澤の考えが分からない。
座敷童子の存在に気付いているのかいないのか、客が頻繁に訪れるようになってからのある日の夕食時に、最近繁盛してますねと恐る恐る話を振ってみたところ、白澤は果実酒を飲みながら。
『漢方薬屋が繁盛しても良い事は無ぇよ』
と言っただけだったからだ。
それ以来桃太郎は座敷童子のことも白澤も怖くてその話題は出さないようにしている。
客が来れば流石に真面目に働く白澤は、ここ連日の急がしさのせいか段々と口数が減っていた。サボったり勝手に居なくなったりはしないし、今まで勝手に休業にしていた穴を埋めるように休業日でも店を開けるなどもしていたが、そんな白澤の姿勢を見てか、座敷童子の効果は強まっているように思える。
桃太郎にはしっかりと休みを取らせて、そのくせ自分は休まずに接客と調合を続ける白澤は、真面目すぎて何だか白澤らしくない。
「どう思うよ?」
「真面目に働くってカッコイイよ!」
シロに相談したのが間違いだった。
白澤から貰った休みにお供だった三匹へ会いに行って話してみたのだが、返ってきた感想は最近獄卒としての仕事に生き甲斐を感じているからか、どうも桃太郎の違和感は伝わっていない。
やはり桃太郎の気のせいか普段とのギャップかと結論を出しかけた時、イザナミが寄ってくるのが見えた。白澤と仲が良いらしくその関係で桃太郎とも顔を合わせることが増えた女神は、桃太郎が挨拶しても普通に無視する。
「また店を閉めておるのか?」
「いえ、今日は休業日です。一応店は開いてますけど。何か御用でしたか?」
「白澤に電話したのじゃが繋がらんのでな。いつもなら直ぐに出るじゃろう?」
出るだろうと言われても知らない。いや、プライベート用の携帯は結構直ぐに出ていた気がする。
「最近忙しいんですよ。店が繁盛していて」
「苦しみを緩和する薬を売る店が繁盛してどうする」
無碍なく言い切られはしたが、なるほどと思った。イザナミは仕方ないとばかりに鼻を鳴らして腰へ手を当てる。その女神へ話しかけていくシロは勇者だ。
「でもでもイザナミ様! 真面目に働くのは偉いでしょ?」
「何を言うておる」
「だって白澤様っていつもサボってるじゃん」
「あやつは本来至極真面目な奴じゃよ」
「え、嘘」
「嘘なものか。アレは元々……元々、動いてなければ泣いて倒れるような者じゃった」
「へー白澤様も泣くんだー」
過去形であった事に引っかかりを覚えつつ後日、やっと座敷童子に気付いた白澤が、不動産屋を挟んで店を一度手放してまで座敷童子を追い出した。