ヴェロニカの嵐
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数日経った朝食後、ほぼただの日課となっている通信機の操作をしていたトビーが奇声をあげた。今まで何の反応も無かった通信機へ電波が飛び込んできたという。
その僅かな電波を逃がさないように、シルビとジェームズも慌てて通信機を覗き込む。
「何だよ! これに今まで気付かなかったのか!?」
「そんなこと言ったって……昨日までこんな電波は出てなかったんだ! 絶対に!」
「二人とも煩せぇ!」
「だってシルビだってそう思うだろう!? あり得ないだろう!」
「――どういう意味だ?」
機械に詳しくないリィが尋ねてくるのに、通信機を二人へ任せシルビは振り返る。
「この捕まえた電波は――誘導波なんだぁ」
多くは宇宙港で使われるのが一般的に知られているだろう。要は牽引のロープのような物で、この電波に従って入ってくれば安全に停泊できるというものだ。この電波の周波数でいうなら宇宙船の誘導波である可能性が高い。
しかしそうなると疑問が残る。何故今まではこの電波に気付けなかったのかと、この惑星へ宇宙港があるのかという点だ。
誘導波が出ているという事は、それが出ている場所には機材がありその機材を動かしている人間が居るはずである。トビーがそれを考えて連絡を取ろうと試みていたが、音声通信が出来る気配は無かった。
「発信源を特定できるか?」
「地図があれば少しはマシだっただろうが、別の地点に行って測定して計算して、方向と大体の距離が出せる程度かなぁ」
「別の地点?」
「軸だよ軸。一点からじゃ計測できねぇ」
「ここからだと何処になる?」
「東南に十キロ離れたところでもう一度計測すれば、かなり正確な位置が出せる」
「トビー、それを持って一緒に来い」
計測の為に行くつもりなのかリィがトビーへ声を掛ける。トビーも直ぐに理解して慌てて二階へ行き、自分の荷物の中から万能手帳を持って戻ってきた。
万能手帳には超小型頭脳が内蔵されているらしいので、計測にあると便利だろう。
「出来れば一ヶ所じゃなくもう数ヶ所で測定した方がいい。その辺はトビーと相談しろぉ」
「シルビはどうする」
後ろに立って話を聞いているだろうジェームズの視線を感じる。
「……待ってるよ。大人数で行っても邪魔だしなぁ」
「そうか」
リィはジェームズの視線に気付いているのかいないのか、トビーと一緒に小屋を飛び出して行った。
ジェームズはどうもリィを巻き込んで崖から落ちた日から、名誉挽回のチャンスを虎視眈々と狙っている。助けられたのが悔しかったのではなく、多分自分のせいでリィが怪我をしたという事が重荷になっているのだろう。
それでわがままを言ったって、逆に意味のないことだとは分かっているのだろうかとシルビは思ってしまうのだが。何せジェームズには、上級生に唆されたからとは言え以前勝手に宇宙船で飛び出した事があるのだ。子供特有の慢心も、過ぎればただの迷惑でしかない。
その僅かな電波を逃がさないように、シルビとジェームズも慌てて通信機を覗き込む。
「何だよ! これに今まで気付かなかったのか!?」
「そんなこと言ったって……昨日までこんな電波は出てなかったんだ! 絶対に!」
「二人とも煩せぇ!」
「だってシルビだってそう思うだろう!? あり得ないだろう!」
「――どういう意味だ?」
機械に詳しくないリィが尋ねてくるのに、通信機を二人へ任せシルビは振り返る。
「この捕まえた電波は――誘導波なんだぁ」
多くは宇宙港で使われるのが一般的に知られているだろう。要は牽引のロープのような物で、この電波に従って入ってくれば安全に停泊できるというものだ。この電波の周波数でいうなら宇宙船の誘導波である可能性が高い。
しかしそうなると疑問が残る。何故今まではこの電波に気付けなかったのかと、この惑星へ宇宙港があるのかという点だ。
誘導波が出ているという事は、それが出ている場所には機材がありその機材を動かしている人間が居るはずである。トビーがそれを考えて連絡を取ろうと試みていたが、音声通信が出来る気配は無かった。
「発信源を特定できるか?」
「地図があれば少しはマシだっただろうが、別の地点に行って測定して計算して、方向と大体の距離が出せる程度かなぁ」
「別の地点?」
「軸だよ軸。一点からじゃ計測できねぇ」
「ここからだと何処になる?」
「東南に十キロ離れたところでもう一度計測すれば、かなり正確な位置が出せる」
「トビー、それを持って一緒に来い」
計測の為に行くつもりなのかリィがトビーへ声を掛ける。トビーも直ぐに理解して慌てて二階へ行き、自分の荷物の中から万能手帳を持って戻ってきた。
万能手帳には超小型頭脳が内蔵されているらしいので、計測にあると便利だろう。
「出来れば一ヶ所じゃなくもう数ヶ所で測定した方がいい。その辺はトビーと相談しろぉ」
「シルビはどうする」
後ろに立って話を聞いているだろうジェームズの視線を感じる。
「……待ってるよ。大人数で行っても邪魔だしなぁ」
「そうか」
リィはジェームズの視線に気付いているのかいないのか、トビーと一緒に小屋を飛び出して行った。
ジェームズはどうもリィを巻き込んで崖から落ちた日から、名誉挽回のチャンスを虎視眈々と狙っている。助けられたのが悔しかったのではなく、多分自分のせいでリィが怪我をしたという事が重荷になっているのだろう。
それでわがままを言ったって、逆に意味のないことだとは分かっているのだろうかとシルビは思ってしまうのだが。何せジェームズには、上級生に唆されたからとは言え以前勝手に宇宙船で飛び出した事があるのだ。子供特有の慢心も、過ぎればただの迷惑でしかない。