ヴェロニカの嵐
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出発直後に先遣されたシェラが言うには、この先には沢と滝があるらしい。しかし湖がある場所は山の頂上で見た地形からするにその滝の上である。という事は何処かしらから登る必要があるだろう。
「荷物だけ先に俺等が運ぶっていう手も、一応使えるぜぇ」
「つまり荷物分の重量は考えなくていいんだな」
それならまだいいかもしれないと、リィがルート捜索の為に荷物をシルビへ預けて滝へと様子を見にいく。沢に到着して見た滝は二十メートル以上ありそうで、張り出した岩の様子からしてあまり登ることは推奨できない。一人ずつ運ぶという案も無きにしも非ずだが、それをやったら『非常識』だ。
沢で昼時になったこともあり、生徒達はリィが戻ってくるまで休憩である。森に入って木の実を集める女子達に混じり薪を拾い集めていると、ふと小さな気配を感じてシルビは顔を上げた。
これは、いる。
「ファビエンヌ女史。悪ぃけどこの薪運んでもらっていいかぁ?」
「いいけど、どうしたの?」
「狩り」
その一言で一応の理解はしたのだろうファビエンヌを横目に、シルビはベルトへ挟んでいた即席ナイフを手に持った。
「戻ったらシェラに『肉』って言っといてくれぇ」
「……本当に捕まえる気?」
「運が良けりゃなぁ」
気配と足音を殺して茂みへと入っていく。生徒達の立てる物音が小さくなった辺りで、身を屈めて周囲の物音に聞き耳を立てた。
暫く耳を澄ませて気配を確認してから、シルビは即席ナイフを構える。即席なのでまた作れる為惜しみはしないが、出来れば回収したいところだ。
やがて沢のシェラ達の元へ戻ったのか、背後にあった生徒達の気配が遠ざかる。気配を殺し続けていれば、何の異変も無い筈の茂みが揺れた。だんだん近付いてくるその音がシルビの鼓膜を揺らす。
投げた即席ナイフは、野兎の僅か横へと逸れて木の幹へと突き刺さった。
その音とすぐ傍を何かが通り抜けたという感覚に驚いて、野兎は一目散に逃げていく。流石に追いかけるのは難しいだろう。
完全に気配が去ったのを確認してから、シルビは舌打ちしつつ立ち上がって幹に刺さった石の破片を抜き取った。刺さった衝撃で刃毀れしているそれに、更に機嫌が降下する。
薪と木の実を集めてシェラ達の元へ戻れば、誰が捕ったのか魚までいた。といっても、それが誰かであるかくらい予想は付くが。
「おかりなさい。どうでした?」
「野兎がいたけど、捕れなかったぁ」
「それは残念ですね」
収穫無しで食料を分けてもらうのも嫌なので、シェラに頼まれて魚を捌くのを手伝っていればリィが戻ってきた。
その手には随分と大きい兎が提げられていて、本気でシルビだけが収穫ゼロである。
「荷物だけ先に俺等が運ぶっていう手も、一応使えるぜぇ」
「つまり荷物分の重量は考えなくていいんだな」
それならまだいいかもしれないと、リィがルート捜索の為に荷物をシルビへ預けて滝へと様子を見にいく。沢に到着して見た滝は二十メートル以上ありそうで、張り出した岩の様子からしてあまり登ることは推奨できない。一人ずつ運ぶという案も無きにしも非ずだが、それをやったら『非常識』だ。
沢で昼時になったこともあり、生徒達はリィが戻ってくるまで休憩である。森に入って木の実を集める女子達に混じり薪を拾い集めていると、ふと小さな気配を感じてシルビは顔を上げた。
これは、いる。
「ファビエンヌ女史。悪ぃけどこの薪運んでもらっていいかぁ?」
「いいけど、どうしたの?」
「狩り」
その一言で一応の理解はしたのだろうファビエンヌを横目に、シルビはベルトへ挟んでいた即席ナイフを手に持った。
「戻ったらシェラに『肉』って言っといてくれぇ」
「……本当に捕まえる気?」
「運が良けりゃなぁ」
気配と足音を殺して茂みへと入っていく。生徒達の立てる物音が小さくなった辺りで、身を屈めて周囲の物音に聞き耳を立てた。
暫く耳を澄ませて気配を確認してから、シルビは即席ナイフを構える。即席なのでまた作れる為惜しみはしないが、出来れば回収したいところだ。
やがて沢のシェラ達の元へ戻ったのか、背後にあった生徒達の気配が遠ざかる。気配を殺し続けていれば、何の異変も無い筈の茂みが揺れた。だんだん近付いてくるその音がシルビの鼓膜を揺らす。
投げた即席ナイフは、野兎の僅か横へと逸れて木の幹へと突き刺さった。
その音とすぐ傍を何かが通り抜けたという感覚に驚いて、野兎は一目散に逃げていく。流石に追いかけるのは難しいだろう。
完全に気配が去ったのを確認してから、シルビは舌打ちしつつ立ち上がって幹に刺さった石の破片を抜き取った。刺さった衝撃で刃毀れしているそれに、更に機嫌が降下する。
薪と木の実を集めてシェラ達の元へ戻れば、誰が捕ったのか魚までいた。といっても、それが誰かであるかくらい予想は付くが。
「おかりなさい。どうでした?」
「野兎がいたけど、捕れなかったぁ」
「それは残念ですね」
収穫無しで食料を分けてもらうのも嫌なので、シェラに頼まれて魚を捌くのを手伝っていればリィが戻ってきた。
その手には随分と大きい兎が提げられていて、本気でシルビだけが収穫ゼロである。