ヴェロニカの嵐
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昼前には到達出来た山頂で、シルビはリィの横でしゃがんで眼下に広かる景色を眺める。雲の流れる青空が、地平線で塗り替えられたように地面と交わっているのがハッキリと見えるものの、人工物はあるように思えない。
「……なんか、懐かしい風景って感じだなぁ」
「なつかしい?」
「四回目ぐらい? の人生で生きてた世界は、こういう自然が盛り沢山な場所だったんだぁ」
「そこで野営の技術を培ったのか?」
「うん。それ以前はもう少し文化もあって都会だったからなぁ。ただそこは、動物の他に人を襲う魔物なんて存在も居たんだぁ」
「変な場所だな」
「俺もそう思う」
自分の双眼鏡で景色を眺めていたハンス達が、南側にあった湖を発見して注目している。シルビは肉眼でその湖を見つけることは出来たものの、リィが見つけた建物の屋根までは見えなかった。
視力はシルビよりリィのほうがいいらしい。ハンスから双眼鏡を借りて見れば、なるほど素朴な小屋らしきものの屋根がある。
「今は誰もいなくても、以前は人が住んでいたかもしれない」
「そうだよ。それならきっと通信機がある!」
「行ってみる価値はある」
頂上へ来た成果があったと喜び勇んで山を降りようとするジェームズ達に、シルビとリィも続いた。下りは上りよりも時間は掛からず、思っていたよりも早く他の生徒達と合流する。
発見した屋根の事を報告すれば、留守番をしていた生徒達は喜んだものの人は居ないだろうという憶測にすぐ再び落胆した。一喜一憂とはこのことだろう。
その屋根のある場所へまでの距離をファビエンヌが代表して聞いてくる。実際に見たジェームズとフランク、ハンスの視線がリィとシルビに集まったのは、彼等がもう漠然と、この状況下においてはリィ達に一日の長があると理解しているからだろうか。
「方角はおれがわかる」
「距離的には中学生の体力を考慮しても、明日一日頑張れば休憩を挟んでも夜には辿り着けるんじゃねぇ?」
そう聞かされても、難色を示したのは女子中学生たちだった。
「でも……そこには誰もいないんでしょう」
「だけど、そこへ行けば通信機があるかもしれない。助けを呼べるかもしれないんだよ」
「だって、あるかどうかもわからないんでしょう。それなのに、そんなところまで歩くの?」
一番不満そうなのは女子中学生集団の中ではリーダー格にあるらしいペギー・メイだ。
「必ず助かるって保証もないのに、そこまで行って無駄足になったらどうするのよ」
「君たちは何を言ってるんだ! 行動しなければ何もならない。こんなところでじっとしていても意味は無いんだぞ!」
「……なんか、懐かしい風景って感じだなぁ」
「なつかしい?」
「四回目ぐらい? の人生で生きてた世界は、こういう自然が盛り沢山な場所だったんだぁ」
「そこで野営の技術を培ったのか?」
「うん。それ以前はもう少し文化もあって都会だったからなぁ。ただそこは、動物の他に人を襲う魔物なんて存在も居たんだぁ」
「変な場所だな」
「俺もそう思う」
自分の双眼鏡で景色を眺めていたハンス達が、南側にあった湖を発見して注目している。シルビは肉眼でその湖を見つけることは出来たものの、リィが見つけた建物の屋根までは見えなかった。
視力はシルビよりリィのほうがいいらしい。ハンスから双眼鏡を借りて見れば、なるほど素朴な小屋らしきものの屋根がある。
「今は誰もいなくても、以前は人が住んでいたかもしれない」
「そうだよ。それならきっと通信機がある!」
「行ってみる価値はある」
頂上へ来た成果があったと喜び勇んで山を降りようとするジェームズ達に、シルビとリィも続いた。下りは上りよりも時間は掛からず、思っていたよりも早く他の生徒達と合流する。
発見した屋根の事を報告すれば、留守番をしていた生徒達は喜んだものの人は居ないだろうという憶測にすぐ再び落胆した。一喜一憂とはこのことだろう。
その屋根のある場所へまでの距離をファビエンヌが代表して聞いてくる。実際に見たジェームズとフランク、ハンスの視線がリィとシルビに集まったのは、彼等がもう漠然と、この状況下においてはリィ達に一日の長があると理解しているからだろうか。
「方角はおれがわかる」
「距離的には中学生の体力を考慮しても、明日一日頑張れば休憩を挟んでも夜には辿り着けるんじゃねぇ?」
そう聞かされても、難色を示したのは女子中学生たちだった。
「でも……そこには誰もいないんでしょう」
「だけど、そこへ行けば通信機があるかもしれない。助けを呼べるかもしれないんだよ」
「だって、あるかどうかもわからないんでしょう。それなのに、そんなところまで歩くの?」
一番不満そうなのは女子中学生集団の中ではリーダー格にあるらしいペギー・メイだ。
「必ず助かるって保証もないのに、そこまで行って無駄足になったらどうするのよ」
「君たちは何を言ってるんだ! 行動しなければ何もならない。こんなところでじっとしていても意味は無いんだぞ!」