ヴェロニカの嵐
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「……知ってるかぁ? 水って分解すると水素と酸素なんだぜぇ。つまり気体」
「それは習ったので知っていますが、それが?」
「服を乾燥させるのに水の分子だけを分解させりゃ、早く乾くんじゃねぇかといつも思う」
「出来てもやるなよ。不自然だからな」
リィに釘を刺されて首を竦める。ちょうど頭上から雨の雫が落ちてきたので脱いだばかりのシャツで拭うと、そのシャツを木の枝へと引っ掛けて広げた。
二日続けて着ていた上に、昨夜の雨で絞れば溢れそうなほどびしょ濡れになった服を着替えたのだ。昨夜の雨は止んでおり、今日は一日いい天気になりそうである。
服を干して焚き火の場所へ戻り、昨日のうちに集めておいた木の実で腹を満たす。分配された木の実を幾つか食べずに取っておき、荷物の中にあった空の容器へ入れた。
昨日話し合った予定では、ハンスを連れて頂上へ登るはずである。シルビはそれに付いていくつもりだ。
案の定頂上へ登ってみると言い出したリィに、自分も行くとハンスとフランクが名乗り出る。最上級生としての責任もあるので、二人が名乗り出ることはシルビも予想していた。
ジェームスまでも一緒に来ようとしたのは予想外で、此処へ残るように言おうとしたシルビを、リィが止める。
「ジェームズは残ったほうがいいんじゃないか」
「なんでさ!?」
「こっちの二人に比べて身体が小さいからさ。足も遅いだろう」
「同い年のくせにそういうこと言うか?」
社会的に同い年であってもこの星に着いてからの事を顧みれば、実力も経験も違うと分かるだろうにとシルビは思うのだが、ハンスを見れば目が合って首を振られた。
結局疲れたら帰りに拾うから途中で置いて行くという約束で、ジェームズも連れて出発する。
居残り組を守るシェラに見送られる形で頂上へ向かって山を登り始め、道無き山を進み始めると、最後尾を追っていたシルビにハンスが話しかけてきた。リィは先頭を進んでいる。
「君もジェームズは残ったほうが良いと思っただろう」
「リィを標準で考えちゃ駄目だろぉ?」
「僕は君も標準に考えたら駄目だと思い始めてるよ。君と知り合って数年目だが、驚いてばっかりだ」
「……嫌になったかぁ?」
「まさか。君はすぐに人を試すようなことを言う。まるで距離を測りかねてるみたいだ」
先頭との距離が空いたのでハンスが少しだけ足を速めた。それの後に付く形で足を動かしながら、シルビは腰に着けていたウォレットチェーンを軽く叩く。
舌打ちは流石に前を行くハンスへ聞こえてしまうだろうから我慢した。
「それは習ったので知っていますが、それが?」
「服を乾燥させるのに水の分子だけを分解させりゃ、早く乾くんじゃねぇかといつも思う」
「出来てもやるなよ。不自然だからな」
リィに釘を刺されて首を竦める。ちょうど頭上から雨の雫が落ちてきたので脱いだばかりのシャツで拭うと、そのシャツを木の枝へと引っ掛けて広げた。
二日続けて着ていた上に、昨夜の雨で絞れば溢れそうなほどびしょ濡れになった服を着替えたのだ。昨夜の雨は止んでおり、今日は一日いい天気になりそうである。
服を干して焚き火の場所へ戻り、昨日のうちに集めておいた木の実で腹を満たす。分配された木の実を幾つか食べずに取っておき、荷物の中にあった空の容器へ入れた。
昨日話し合った予定では、ハンスを連れて頂上へ登るはずである。シルビはそれに付いていくつもりだ。
案の定頂上へ登ってみると言い出したリィに、自分も行くとハンスとフランクが名乗り出る。最上級生としての責任もあるので、二人が名乗り出ることはシルビも予想していた。
ジェームスまでも一緒に来ようとしたのは予想外で、此処へ残るように言おうとしたシルビを、リィが止める。
「ジェームズは残ったほうがいいんじゃないか」
「なんでさ!?」
「こっちの二人に比べて身体が小さいからさ。足も遅いだろう」
「同い年のくせにそういうこと言うか?」
社会的に同い年であってもこの星に着いてからの事を顧みれば、実力も経験も違うと分かるだろうにとシルビは思うのだが、ハンスを見れば目が合って首を振られた。
結局疲れたら帰りに拾うから途中で置いて行くという約束で、ジェームズも連れて出発する。
居残り組を守るシェラに見送られる形で頂上へ向かって山を登り始め、道無き山を進み始めると、最後尾を追っていたシルビにハンスが話しかけてきた。リィは先頭を進んでいる。
「君もジェームズは残ったほうが良いと思っただろう」
「リィを標準で考えちゃ駄目だろぉ?」
「僕は君も標準に考えたら駄目だと思い始めてるよ。君と知り合って数年目だが、驚いてばっかりだ」
「……嫌になったかぁ?」
「まさか。君はすぐに人を試すようなことを言う。まるで距離を測りかねてるみたいだ」
先頭との距離が空いたのでハンスが少しだけ足を速めた。それの後に付く形で足を動かしながら、シルビは腰に着けていたウォレットチェーンを軽く叩く。
舌打ちは流石に前を行くハンスへ聞こえてしまうだろうから我慢した。